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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第57回

日本発のリアルタイム画像生成AIサービスが熱い 大手にとっては“イノベーションのジレンマ”に

2024年03月18日 07時00分更新

文● 新清士 編集●ASCII

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Akuma.ai
http://akuma.ai

 2024年2月、日本発のクラウド型画像生成サービスAkuma.aiが、リアルタイム画像生成機能「AIキャンバス」を搭載したことが話題になりました。3月1日には生成枚数が延べ1200万枚に達したと発表。リアルタイム画像生成技術「LCM」を組み入れたサービスですが、高度なPC環境が不要で、タブレットなどからでも簡単に使えるため、国内外の幅広い層にウケたという経緯です。

日本発の画像生成AIサービス「Akuma.ai」

 Akuma.aiは昨年10月に開始したサービス。開発しているのはキンカクというベンチャーです。キンカクにはANRIやEast Venturesといった日本のシード投資に強いベンチャーキャピタルからの投資資金が入っており、日本の画像生成AI系として注目されている1社です。

 生成サイズは、512×512ピクセルとサイズは小さいですが、リアルタイムのイラスト生成を無料で試すことができます。「爆速化する画像生成AI」で紹介した、Stable Diffusion 1.5でリアルタイム生成ができるLCMを使っていると考えられます。日本語対応しているので、プロンプトに「猫」と入力すれば猫を出すことも可能。プロンプトなしでも何が描かれているのか推測して画像を出力できると思いますが、あえてプロンプトを入れさせているのは、ユーザー側が意識的に特定の画像を出力させていることを明確化させるためでしょうね。

 有料ですが「Enhance」という高解像度化機能もついています。これを使うと、768x768のサイズに拡張したうえ、画質を上げて画像を再生成してくれます。

Enhanceを適用した状態。画質がリアルタイム生成時より上がっている(左)(筆者作成)

 日本製のサービスということで、選択されているモデルはアニメ系に強い印象です。実際にアニメ風のお絵かきに使えるのではないかという動画がSNSに投稿されたりするケースも見られます。

 ラフな画像を描いて、そこから、AIを使って仕上げていくといった方法も試されるようになってきています。

 海外のLCM系サービスとして有力なのは同じくクラウド系のスタートアップの米KREAです。Akuma.aiと同じく512×512ピクセルですが、こちらは使われている学習モデルが、リアル系に強い印象です。

KREAのリアルタイム生成機能を試しているところ(筆者作成)

 描画した画像をレイヤー構造にして操作できるという点が他にない独特な機能になっています。PCの場合、任意のウィンドウに表示している画面を取り込んで生成できる機能もついています。昨年11月以降に、一部ユーザーを対象に公開を進めてきましたが、現在はすべてのユーザーが利用できるようになっています。

▲タブレットを使って指で描いたラフを、KREAを使って仕上げていっている例

 これらのサービスはリアルタイム生成のみで収益化ができるのかというと、単体では難しいようです。どちらのサービスも、リアルタイム生成は無料でできますが、高画質化などの利用回数に制限があり、月10ドル以上の有料プランに誘導するようになっています。

 ただ、リアルタイム生成をしている場合、サーバーへの負担はそれなりに大きいものと推測されます。PC上でLCM系ツール「Krita」とプラグイン「Krita AI Diffusion」を動かすとわかりますが、動作させている間は、常時計算し続けています。使っているGPUがNVIDIA GeForce RTX 4090の場合、512x512と生成画像サイズが小さくても、VRAMは7GB程度、GPUパワーは20%程度は常時使用している状態になります。

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