東京農工大学の研究チームは、人工知能(AI)の手法の1つである深層学習を活用することで、セラミックス材料の高精度な3次元ミクロ構造をモデル化することに成功した。ミクロ構造がサイバー空間内で取り扱えるようになるため、計算シミュレーションや人工知能(AI)を使った材料の探索や機能の解明、高効率なプロセス開発などへの展開がより容易になることが期待されるという。
東京農工大学の研究チームは、人工知能(AI)の手法の1つである深層学習を活用することで、セラミックス材料の高精度な3次元ミクロ構造をモデル化することに成功した。ミクロ構造がサイバー空間内で取り扱えるようになるため、計算シミュレーションや人工知能(AI)を使った材料の探索や機能の解明、高効率なプロセス開発などへの展開がより容易になることが期待されるという。 研究チームは今回、深層学習(完全畳み込みニューラルネットワーク)を、強力な磁石への応用が期待される鉄系高温超伝導セラミックス材料のミクロ構造に応用した。3次元電子顕微鏡を用いて材料から取得したミクロ構造の画像から、奥行方向の情報も加味した高精度な教師データを作成。同データを用いてセラミックス材料のミクロ構造の特徴を学習させたAIモデルを使って、数百枚の電子顕微鏡の2次元画像を元にセラミックス材料の3次元ミクロ構造をモデル化した。 同チームは今回の手法により、従来よりも高精度な深層学習による画像処理に成功し、複雑なセラミックス材料としては世界最高レベルの予測精度を実現。また、従来は1枚の画像処理をするのに専門家が数時間から数日かかっていたが、数百枚の2次元画像から3次元のミクロ構造モデルをわずか数分間で予測できた。 研究論文は、npjコンピュテーショナル・マテリアルズ(npj Computational Materials)のオンライン版に2024年3月5日付けで公開された。(中條)