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西田宗千佳の「AIトレンドトラッキング」 第12回

「Sora」は本当に革命か。実は多彩な動きを見せていた2月の生成AI業界

2024年03月07日 07時00分更新

文● 西田宗千佳 編集●ASCII

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アドビ、PDFやパワポに対話型「AI Assistant」 要約や文書に転用(2月21日)

 現状英語のみだが興味深い流れ。ドキュメントは過去、人が読んで判断するために作られてきたわけだが、もはやそれだけで進むことはない。蓄積されるものをどう効率的に扱うか、蓄積されるものをどうすばやく作るか、は生成AI活用の主軸である。

 Acrobatを持つアドビがそこに攻め込んでくるのは必然だが、さて、他とはどう差別化できるのだろうか。早くもレッドオーシャンな分野だが……。

グーグル、Geminiベースのオープンな軽量LLM「Gemma」を無料公開 商用利用OK(2月22日)

 LLMにおいて、ビッグテックの中ではMetaがオープン路線でマイクロソフトやグーグルはクローズ、と言われてきたが、そうも言えなくなってきた。

 同じ技術で「自社がサービスするためのモデル」と「オープンに使えるもの」を両方公開しつつ、自社のクラウドインフラの活用量を増やす狙いはあるだろう。また、オープンなモデルを使った開発を進めることで、そのノウハウをクローズモデルに適応してサービスを作ってもらうこともできる。

 ところでグーグルは、今後、生成AI技術の頭文字を「Gem」に統一するつもりなのだろうか。

ソフトバンクも参加 モバイルネットワークでAI活用を考えるアライアンスが結成(2月27日)

 モバイル・通信系の話題に見えるが、これも立派なAIの話だ。

 携帯電話事業者の電力消費量は向上し続けているが、その大半は基地局消費だ。携帯電話基地局はチューニングが命になってきているが、それは通信の確実性に加え、不要な場所・時間に出力をコントロールし、消費電力を下げるという意味合いもある。

 それに加え、基地局にエッジAIサーバーを設置してサービスでの活用を目指す場合、どのくらいの粒度でどう使うと効率的で、価値が高まりやすいのかという命題もある。

 そうした「モバイルネットワークでのAI活用」について、各社が参加して知見を共有しよう……というのがこのアライアンスの狙いだ。色々なビジネスが関わってくるので、注目しておいて損はない。

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