ハンダ付けそのものは難しい作業ではないですが、付け間違えたパーツや壊れたパーツの交換となると、ちょっと話が変わります。
交換手順は、既存のパーツを外してから付け直すというもの。付け直しはただのハンダ付けなので大丈夫だとして、問題となるのは、パーツを外す作業です。コンデンサーや抵抗といったパーツは、基板の穴に足を通してハンダ付けされているため、なかなか抜けないのです。
それでも、2つの足を片方ずつ交互、もしくは、同時に加熱しながら引っ張ることで何とか抜くことは可能。多少の慣れは必要ですが、時間をかけて少しずつ浮かせるようにすれば取れるでしょう。
3本以上の足のあるパーツになると、さらに大変。1本の足を加熱している間に他の足が冷えてしまうため、ほんのわずかずつしか進めることができません。どうにか引き抜けたとしても、何度も熱と力を加えることになるため、基板のパターンがボロボロになっていることすらあります。
全部の足にハンダを盛って一気に加熱するというテクニックもありますが、足の間隔が広いとこれもまた難しい。そこで通常使われるのが、ハンダ吸い取り器による吸引です。
ハンダが固まってしまう前に
素早く吸い取り器で除去したい
これは、溶かしたハンダを、吸い取り器で除去するという直接的な方法です。ハンダがなくなれば足は簡単に引き抜けるわけですから、理論上は理想的な方法と言えるでしょう。問題があるとすれば、この作業が結構大変なこと。片手でハンダごてを当てて溶かし、十分溶けたところで、もう片方の手に持った吸い取り器を当てて吸う……これが結構難しい。
理由はいくつかありますが、まず、ハンダがすぐに固まってしまうこと。ハンダごてを当てるのをやめてから吸い取り器を当てる間にも温度は下がりますから、もたもたしている暇はありません。では加熱しながら吸い取り器を当てればいいかといえば、それもまた難しい。今度は吸い取り器が斜めになり、先端との間に隙間ができがち。すると、穴の奥までうまく吸い取れず、吸い取れるのは表面だけ……なんてことになります。
とくに、スルーホールは難敵。これは、基板の表から裏まで金属パイプ状に貫通させてある穴のこと。表面だけでなく、穴の内側や裏にもべったりハンダが付いているので、ハンダが溶けにくくなっています。しかも、GNDのような広いパターンに接続されているとそこから熱が逃げ、溶けにくい上に固まりやすいという、ダブルパンチです。
これを回避するには、加熱しながらハンダを吸い取るしかありません。これを可能にしてくれる工具が、電動ポンプを備えた「自動ハンダ吸い取り器」。先端のヒーターでハンダを溶かしながら、内蔵の電動ポンプでハンダを吸い取ってくれるため、ガンコなハンダも吸い取れます。
ただし、2万円前後という価格がネック。頻繁に使うのであれば迷わず購入しておきたいですが、たまにしか使わないなら、普通のハンダ吸い取り器で頑張ればいいか……となりがちです。
そこでオススメなのが、ハンダごてと吸い取り器を合体させたような、太洋電機産業の加熱式手動ハンダ吸い取り器「はんだトルゾー(TP-30)」です。
実売価格は約6000円。通常のハンダ吸い取り器と比べれば4倍くらいしますが、自動の製品と比べれば3分の1以下なので、手が出しやすいというのがいいところ。
この製品を借りられたので、どんな風に使えるのか試してみました。
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