Fujitsu KozuchiをコアコンピタンスにUvance売上7000億円の達成目指す
富士通、AIを“バディ”としてFujitsu Uvanceに融合
2024年02月16日 08時00分更新
Uvanceのオファリングに“必ず”Kozuchiを組み込む PaaS基盤とコンサルティングも展開
Fujitsu Kozuchiを活用してFujitsu Uvanceをどう事業展開していくかについては、富士通の執行役員 SEVP グローバルビジネスソリューションビジネスグループ長である高橋美波氏が説明した。
富士通では、社会課題の解決に向けて、DXだけではなくサステナブルトランスフォーメーション(SX)を具現化していくためにFujitsu Uvanceを立ち上げた。
高橋氏は、このFujitsu Uvanceの各オファリングには、Fujitsu Kozuchiを「必ず」組み込んでいくと語る。「業種特化型ソリューションであれ、クロスインダストリーソリューションであれ、Kozuchiが組み合わさることで、より便利に使っていただける。テクノロジーを使うことで様々なお客様の課題、社会課題を解決していける」(高橋氏)。
特に注力するのが、クロスインダストリー4分野のVertical(垂直領域)オファリングだ。Sustainable Manufacturing/Trusted Society/Consumer Experience/Healthy Livingの各分野でAI機能を実装し、順次提供していく。
AIを組み込んだオファリングの事例として、Trusted Society分野では、大手製造業における「生成AIとAutoMLを活用した需要予測とSCM(サプライチェーンマネジメント)強靭化」が紹介された。各拠点や工程ごとに散在するデータを統合。生成AIとの対話を通して、災害時のサプライチェーンの影響や代替サプライヤー、損益インパクトなどを把握できる。さらに、300種の部品ごとの予測モデルを2か月で構築し、生産計画へと反映。「PSI(生産・販売計画・在庫)を精細化することにより、コスト削減、インパクトの最小化につながる」と高橋氏。
また、Consumer Experience分野における「AI映像解析によるスマートストア化」の事例では、カメラ映像のデータを基に行動検知や属性推定を実施、データ分析やリアルタイム検知による接客フォローなどにつなげている。
この事例は流通業界では主流ともいえる取り組みだが、「リアルタイムで、パーソナライズ化された体験を提供していきたい」と高橋氏。今後、ダイナミックプライシングやパーソナライゼーションにより消費者に最適な購買体験を届ける、AIを活用したリテンション型サービスも展開していく。
Healthy Living分野では、生成AIを用いて治験文書作成のプロセスを変革する新オファリングを、2024年4月から提供予定だ。クラウド上にデータを上げることで、電子カルテとバイタルデータを統合し、患者の利便性を高める仕組みも検証中だという。
また、ユーザーが自由に組み合わせてAIを活用したいという需要に応えるために、PaaS基盤である「Fujitsu Data Intelligence PaaS」をオファリングのひとつとしてサービス化し、あわせてコンサルティングサービスも提供する。
このPaaS基盤は、パートナーシップを組むPalantir(パランティア)やAzure・AWSによるデータ統合、Fujitsu KozuchiのAI機能、富士通のブロックチェーン技術「Fujitsu Track and Trust」で構成される。
Fujitsu Data Intelligence PaaSとテクノロジーコンサルティングサービスは、国内では2024年3月末より、海外では4月末より提供する。PaaS基盤に関しては、国内外で数百人規模の開発体制を配置、コンサルティングはまずは国内で50名体制を築いているという。
高橋氏は、「Uvanceは『2025年度に7000億円の売上』という目標を立てているが、Kozuchiを加えることで優位性を担保していく。7000億を達成するにあたっての“コアコンピタンス”がKozuchiである」と説明した。