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サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)推進のパートナーに

世界一を目指す5つのキーテクノロジー 富士通が最新の研究成果を披露

2023年10月18日 10時30分更新

文● 大河原克行 編集● 福澤/TECH.ASCII.jp

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 富士通は、2023年10月11日、研究開発戦略に関する説明会を開催した。同社は、事業ブランド「Fujitsu Uvance(ユーバンス)」において、最新の技術基盤を用いて、社会課題のためのオファリングやソリューションを提供しており、そのFujitsu Unvanceを支える5つのキーテクノロジーとして、「Converging Technologies」、「Computing」、「AI」、「Data & Security」、「Network」を掲げている。

Uvanceを支える5 Key technologies

 富士通 執行役員 SEVP CTO、CPO兼システムプラットフォームBG Co-Headのヴィヴェック・マハジャン氏は、「富士通は、Fujitsu Uvanceを通して、最新のソリューションを提供し、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の推進において最大のパートナーになることを目指している。そのベースになるのは、Uvanceを支える5つのキーテクノロジーであり、これらは、世界ナンバー1か、ナンバー2になれるものばかりで、ユーザーに価値を提供できる」と、技術力に自信をみせた。

富士通 執行役員 SEVP CTO、CPO兼システムプラットフォームBG Co-Headのヴィヴェック・マハジャン氏

 富士通 執行役員 EVP 富士通研究所長の岡本青史氏は、「富士通の研究戦略は、最先端技術を開発するだけでなく、これをいち早く公開し、市場のフィードバックをもとに技術を洗練すること、技術コミュニティとの共創により、技術の価値を最大化する共創研究を加速すること、そして、海外拠点のそれぞれの特色を生かし、グローバルの研究ポートフォリオを最適化することが基本となる。先端技術に関しても、早期の事業化を加速する取り組みに力を入れている」と説明する。

富士通 執行役員 EVP 富士通研究所長の岡本青史氏

 説明会では、各研究領域であるAI、データ & セキュリティ、コンバージングテクノロジー(Converging Technologies)、コンピューティング(Computing)、量子コンピューター、プロセッサーのヘッドより、それぞれの研究開発戦略と最新の成果について紹介された。

AI分野の研究開発

 AI分野での基本戦略については、AI適用価値の最大化と迅速な判断を支援する「AI Platform」、激動するビジネス環境下において適切な意思決定を支援する「フレームワーク」、AIトラスト技術によって、グローバルに安心安全な「AI活用環境」の3つを提供することを掲げた。

 2023年4月に発表したAIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi (code name) - Fujitsu AI Platform」では、業務特化型の25個のAIイノベーションコンポーネントを公開済みであり、これを2023年度中に50個にまで拡大するという。

AIの研究開発戦略

Fujitsu Kozuchi (code name) - Fujitsu AI Platform

 富士通 人工知能研究所 所長の園田俊浩氏は、「Fujitsu Kozuchiはトライアルフェーズだが、顧客からの意見を取り入れて、ビジネスモデルやユースケース探索し、Uvanceのオファリングやパートナー製品に統合する取り組みを進めている。すでに250以上の実証や商談が始まっている」という。みずほフィナンシャルグループでは、Fujitsu Kozuchiによる生成AIを活用したシステムの運用、保守の実現に共同で取り組んでおり、今後、セールスおよびマーケティング、顧客業務支援、製品開発分野でも、ドメイン特化型生成AIを開発していくとのことだ。

=富士通 人工知能研究所 所長の園田俊浩氏

 また、業務課題を自然言語で入力するだけで、AIが課題の意図を汲み取り、AIイノベーションコンポーネントを自動生成する技術を開発したことを新たに発表。Fujitsu Kozuchi に、2023年12月末までに搭載する予定だ。園田氏は「Composite AIと呼ぶものであり、AIを活用するまでに、1~2月かかる待ち時間を1日に短縮できる。スピーディに意思決定をしなければならないというニーズに対応することができる」とコメント。現在、富士通では、生成AIに関して、約100人の研究者が参加しているという。

生成AIを活用した AIイノベーションコンポーネントの自動生成

データ & セキュリティ分野の研究開発

 データ & セキュリティ分野での基本戦略については、エコシステム型の新たなサービス開発を加速する「Web3プラットフォーム」、異なる分散型台帳の相互連携でエコシステムを拡大する「オープンソース活動」、データ相互連携でシームレスな認証連携を実現する「新ユーザー体験を創出」を研究戦略に掲げた。

データ & セキュリティの研究開発戦略

 富士通 データ&セキュリティ研究所長の今井悟史氏は、「分散型データ連携により、つながることと守ることを両立するテクノロジーを生み出し、エコシステム型社会システムの創出に向けた研究開発を行なっている。また、Disinformationやなりすまし、データ越境移転などの経済安全保障などのリスクに対応しながら、エコシステム型のデジタル経済圏を生みだすことに貢献したい」と語った。

富士通 データ&セキュリティ研究所長の今井悟史氏

 2023年2月に発表した「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」は、Web3関連の先進技術をグローバルパートナーに提供するとともに、コミュニティ活動を通じてWeb3による新たな体験や価値を提供、事業の創出に向け地域活性化などの実証を加速している。

Web3 Acceleration Platform

 さらに、ネット上の投稿や記事の情報に確からしさ(根拠)を付与し、偽情報を見破るTrustable Internet技術のほか、さまざまなブロックチェーン基盤との相互接続を行うコネクションチェーン技術、複数のカメラ映像データからヒトの行動を高精度に捉え、様々なサービスをまたがるシームレスな認証を実現したり、不審者追跡などの防犯サービスなどに活用できたりするAmbient認証技術を開発していることを紹介した。

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