高精度地図レスでラクラク移動を実現するCiKoMa
まずは搭乗型マイクロモビリティ「CiKoMa」から。一見ゴルフカートのようですが、電源に着脱式可搬バッテリーのHonda Mobile Power Packを4つで動く電気自動車。運転席に数多く並んだモニターが印象的です。
コンセプトは「いつでもどこでも乗れて、意のままに行きたいところへ行き、降りたいところで乗り捨てができる」というもの。カメラとAI技術によって、高精度地図がないエリアでの自動走行を実現しています。単に走るだけでなく、人やクルマが近づいた際、停止や避ける、譲るといった判断をするのが最大のポイントといえます。
また、専用端末を用いて音声でコミュニケーションをすることで、迎えに来させたり、目的地を伝えたり、途中で下車もできます。手を挙げたらやってくるといった動作も可能なのだとか。
それでは乗ってみることにしましょう。実証実験では、道の駅常総から約800m先にあるイチゴ農園「グランベリー大地」までの歩道。道路にはカラーリングがされている以外、とくに変わったことはありません。無人運転の実証実験の中には、道路にセンサーなどを仕込んだり、区画整理をする「新都市型スマートシティ」化する方法があります。
ですが、こうしたことができるのは一部の自治体だけで、適応可能な街が限られます。「既存の街にレトロフィットさせることが、Honda CIの目指すところです」と安井さんは語ります。
腕に専用端末をつけて、音声で「ここに来て。イチゴ農園まで連れて行って」などと伝えると、「CiKoMa」がトコトコとやってきます。運転席と助手席に人が乗っていますが、あくまで監視員役で、運転そのものは完全自動。段階的に無人の走行を目指すそうで、その際は別場所にある管理センターで運行管理するとのこと。
あまり開かないドアをあけて、ちょっと狭い後席に乗ると「CiKoMa」はゆっくりと発進。乗り心地は正直言って「ゴルフカート」よりも酷いのですが、これはハードウェアの実験ではないので目をつぶりましょう。スピードは歩行者と同程度。まぁ、歩道ですからね。ここを歩行者と同じ速度で走行します。
走行中、「CiKoMa」は前から来る人、立ち止まっている人、後ろからランニングで走ってくる人を認識し、適切な行動をします。歩行者が前をふさいでいれば立ち止まったり、回避行動をしたりと、なかなかおりこうさんです。イチゴ農園までは約1kmあり、時間にして約20分の不思議体験。
途中下車する場合は「止まって」といえば、安全な位置で停車します。そのコミュニケーションは、対話型でスマホライク。少し歩き、専用端末で「迎えに来て」と言えば、また迎えにきてくれます。この「専用端末で」というのは、現時点での話。並行してどういった形でコマンドを送るのがベストなのか、というのは継続課題とのこと。
Hondaは2024年頃から、ここで使われている機能の一部を搭載した2人乗りのCI-MEVを用いた実証実験も予定しています。具体的な機能については明かしていませんが、「常総市はコミュニケーション機能を使った無人運転よりも前に、交通事故ゼロを求めている」(安井氏)とのこと。このように意見を広く募りながら開発を進めていく ようです。