PLATEAUはサービス実装のフェーズへ。産学官連携でエコシステム構築を促進する「PLATEAUコンソーシアム」設立
提供: PLATEAU/国土交通省
民間におけるオープンデータ利用の現状と課題
MS&ADインターリスク総研株式会社の芝田達郎氏は、損保業界における活用事例として、「事故発生リスクAIアセスメント」と「洪水被害推定システム」を紹介した。
「事故発生リスクAIアセスメント」は、交通事故の過去データや、人口・人流、ドライブレコーダー、道路、地形などさまざまなデータから事故発生リスク値を算出・可視化し、安全対策へとつなげるサービス。3D都市モデルから死角データを生成し、死角情報を加味した事故発生リスク評価を3D Viewerで表示する取り組みや、住民向けスマートフォンアプリにて注意喚起を実施する取り組みも行っている。
「洪水被害推定システム」は、洪水による被害規模をシミュレーションするサービスだ。LOD1の建築物情報と国土地理院の浸水範囲情報を組み合わせて、被害調査の負担軽減、被害住民への罹災証明の迅速な発行への活用を目指している。
一部の県警から県単位でリスク値を評価したいという要望があることから、課題として県や全国単位でのデータ整備、リスク値の精度を向上させるためLOD2以上の実装を挙げた。
2022年度のPLTEAU AWARDでPLATEAU賞を受賞したチーム「PLATEAU Window’s」の鈴木裕之氏と河野円氏は、ゲームエンジン利用における活用事例と課題を発表した。
「PLATEAU Window」は、高層ビルから見える風景をシミュレーションできるアプリケーションだ(参考資料:https://speakerdeck.com/kohno/plateau-window)。スマートフォンによる操作で、日照シミュレーション、天気の再現、建物の内観/外観シミュレーション、風景シミュレーション、指定したビルのマーキング、動画の書き出しといった機能を持つ。今後のProject PLATEAUへの要望として、低階層の再現性を向上するため点群データの公開、「PLATEAU SDK」の拡充などを求めた。
大林組の湯淺知英氏は、建設業界における活用事例・課題として開発中のデジタルツインアプリ「CONNECTIA」(コネクティア)の概要を紹介した。
3D都市モデルデータ上に必要な建設機械や人のモデルなどを配置することで、発注者や周辺住民への説明や施工関係者への協議資料として活用できる。課題として座標変換の難しさを挙げたほか、地下空間情報の提供、事業者の持つデータをPLATEAUのオープンデータに統合できる仕組みなどを求めた。
会の最後には事務局から、引き続きコンソーシアムの会員を募集している旨の案内があった。入会希望者は、PLATEAUコンソーシアムのサイトから入会届等を入手・記載のうえ、事務局(plateau-office@aigid.jp)に提出することで会員となれる。2024年度からはワーキンググループの活動も予定されており、これまでPLATEAUと関わりがなかった自治体・事業者も一度検討してみてはいかがだろうか。