最新パーツ性能チェック 第436回
話題のPalworldもフルHDで90fpsに迫る性能!
環境によってはGTX 1650に匹敵!?Ryzen 7 8700G&Ryzen 5 8600Gの実力は脅威
2024年01月29日 23時00分更新
CPUパワーはやや控えめだが
GPUを使用するテストでは最強!
では「CINEBENCH 2024」でCPUの力比べといこう。Ryzen 7 8700Gと7700、Ryzen 5 8600Gと7600はコア数もTDPも同じだが、最大ブーストクロックやL3キャッシュの量に違いがある。これがどうスコアーに影響するかチェックしよう。前述の通りメモリークロックは全て各CPUの定格としている。
コア数の単純に多いCore i7-14700Kが最もスコアーを伸ばしているのは予想通り。そしてRyzen 8000Gシリーズは同コア数のRyzen 7000シリーズに対し、マルチスレッドのスコアーにして5~9%低い値にとどまる。
Ryzen 8000Gシリーズはクロックが抑え気味になっているほか、L3キャッシュの搭載量が少ないため、純粋なCPUパワー押しの状態ではどうしてもRyzen 7000シリーズよりも性能は下がってしまうようだ。この点はCPUにパワーを多く割り振ったRyzen 7000シリーズと内蔵GPUにもパワーを割り振ったRyzen 8000Gシリーズという味付けの問題といえる。
また下位のRyzen 5 8600Gよりも上位のRyzen 7 8700Gが7000シリーズに大差をつけられているのは、コア数の多いCPUほどTDPの制限を強くうけることが要因として考えられる。
続いては「UL Procyon」を使い実用面からのパフォーマンスを探ってみよう。まずは「Photohop」と「Lightroom Classic」を動かして性能を評価する“Photo Editing Benchmark”を試す。
総合スコアーではRyzen 7 7700を筆頭にRyzen 7000シリーズが8000Gシリーズをやや上回る。筆者の経験則ではこのベンチ、特にBatch ProcessingはCore i7やi9が安定して強いと認識していたが、今回内蔵GPUを利用したこのテストでは、Core i7-14700KはBatch Processingテストにおいてスコアーが低い。ということはGPUパフォーマンスもかなり影響していると考えられる。ただRyzen 7000シリーズがBatch Processingテストで高スコアーを上げている点を合わせて考えると、CPUパワーとGPUパワーバランスが良くないと内蔵GPUで高スコアーをとることは難しいようだ。
続いては「Premiere Pro」での動画エンコード速度を利用する“Video Editing Benchmark”を使う。総合スコアーの他に、4本のエンコードタスクそれぞれの処理時間もチェックしよう。
H.264もH.265も2通りのタイムライン(含まれているエフェクトなどが異なる)からエンコードされるが、タイムライン1(青色のバー)はCINEBENCHで高スコアーをあげるCore i7-14700KやRyzen 7 7700が強い一方で、タイムライン2(オレンジ色のバー)ではGPUが強力なもの、即ちRyzen 8000Gシリーズが安定して強い。
1世代前のRyzen 7 5700Gはタイムライン2だとRyzen 7 7700と同等ないし短時間で処理を終えられるが、CPUコアも内蔵GPUコアもより新しい設計のRyzen 8000Gシリーズに対しては完全に後れをとっている。
最後にAI処理のベンチマークである“AI Inference Benchmark for Windows”を試してみよう。総合スコアーの他に、テスト中に観測された推論回数も比較する。APIはWindows MLを、AIを処理するデバイスはGPU、計算精度はFP32を指定した。
このテストではRyzen 8000GシリーズのRyzen AI NPUを使っているかは不明だが、推論回数を見ればライバルやRyzen 7000シリーズの内蔵GPUよりも圧倒的に強いことは明らかだ。CPUパワーはRyzen 7000シリーズに比べやや控えめなぶん、GPUを利用するソリューションでは最強といえるだろう。無論ディスクリートのGPUには負けてしまうが、内蔵GPUだけでこれができるというのは大きい。

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