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最新パーツ性能チェック 第436回

話題のPalworldもフルHDで90fpsに迫る性能!

環境によってはGTX 1650に匹敵!?Ryzen 7 8700G&Ryzen 5 8600Gの実力は脅威

2024年01月29日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトラハッチ/ASCII

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AGESAとメモリークロックの問題

 Ryzen 8000Gシリーズを動かすにはSocket AM5マザーボードと、Ryzen 8000Gシリーズに対応したBIOSが必要となる事は言うまでもない。Ryzen 8000Gシリーズに対応したBIOSは各マザーボードのサポートページをご覧頂きたいが、ある製品はAGESA 1.0.8.0で対応している場合もあるし、別の製品はAGESA 1.1.0.1で対応している場合など、メーカーにより異なる。そのため、必ずマザーメーカーが公開しているCPUとBIOSの対応表を確認してからの更新をお勧めする。ちなみに今回の検証ではAMDよりAGESA 1.1.0.1a準拠のBIOSが提供されている。

 また、メモリーはRyzen 7000シリーズと同様にDDR5-5200が定格の最大値だが、内蔵GPUのパフォーマンスを最大減に引き出すためには、高クロックメモリーが好ましい。AMDによればDDR5-6400がスイートスポットであるとしている。DDR5-5200より上のメモリーはメモリーOC扱いになるため、ショップでのサポートを受ける観点からAPU購入時は高品質なDDR5モジュールをBIOS更新済みマザーボードとセットで購入し、可能なら相性保証や交換保証といった保険もかけることをお勧めする。

 ここでRyzen 7000シリーズではDDR5-6000がスイートスポットなのに、Ryzen 8000GシリーズはDDR5-6400がスイートスポットである、という点に気づいた人もいるだろう。Ryzen 7000シリーズではfclk(Infinity Fabricクロック)とuclk(メモリーコントローラークロック)とmclk(メモリークロック)が「uclk:mclk=1:1」を満たしつつfclk=2000MHzがになるのがベストだった(参考記事:https://ascii.jp/elem/000/004/106/4106507/3/)。DDR5-6000なら、fclkがAutoのままで2000MHzに固定され、6000を越えるとuclk:mclkが1:2になりCPUのパフォーマンスが低下するからだ。

 Ryzen 8000Gシリーズでもこのfclk/uclk/mclkが登場する。ここでのポイントはAMDが推奨するDDR5-6400にするとuclk:mclkが1:2になる、という点だ。CPU性能的に不利ななずなのにこれがスイートスポットである理由は、ゲームのようにCPUよりも内蔵GPUパフォーマンスが重視されるシーンでは、少々CPU側を犠牲にしてもメモリークロック(mclk)を高くしてメモリー帯域を太くした方が有利であるからだ。

 さらに、DDR5-6400で運用する場合は、fclkが2400MHzであることが好ましい。Ryzen 8000Gシリーズはモノリシックダイを採用したことで、7000シリーズよりもfclkが上げやすい。この合わせ技をもってDDR5-6400がスイートスポットになるという訳だ。

 ただ今回検証用に提供されたβ版BIOSはEXPOを利用してDDR5-6400に設定してもfclkは2000MHzに設定されてしまうという不具合がある(次のAGESAで更新されるとのことだが、具体的にどこかは不明)。筆者が確認する限りAGESA 1.1.0.2準拠のBIOSが提供されているマザーボードもあるが、それが実際にこの不具合を解消したものであるかまでは確認がとれていない。

 加えて高クロックメモリーの運用はユーザー責任のOCという側面もあるため、どの個体でもDDR5-6400&fclk 2400MHzで動くという保証はない(レビュアーズガイドでも安定しなければ 設定を下げろとしている)。無理なく確実に動かすのであれば、今まで通りDDR5-6000&fclk 2000MHzを狙った方が良いだろう。このへんは予算・リスク・パフォーマンスの兼ね合いで決断して頂きたい。

テスト用β版BIOSでは、EXPOでDDR5-6400を指定してもfclkは2000MHNzのままだった。2400MHz運用にするには、明示的に設定する必要があった。これが今後のAGESAで訂正されるとのことだが……

実際にfclkがどんな値なのかは、Ryzen Masterで「Fabric Clock」の値をチェックするとよいだろう(赤線部)

メモリークロックの影響も検証する

 今回の検証環境は以下の通りだ。比較対象としてRyzen 8000Gシリーズと同じTDP 65W設定のRyzen 7 7700とRyzen 5 7600、さらに前世代APUであるRyzen 7 5700Gも確保した。ライバル陣営はCPUのコア数が多いがRyzen 7 8700Gと実売価格が比較的近いCore i7-14700Kを準備した。

 純粋なCPUパフォーマンスではCore i7-14700Kが圧倒的に有利だが、内蔵GPUを使用するシーンではRyzen 8000Gシリーズが強いと予想される。下表にGeForce GTX 1650も入っているが、この理由は検証後半、描画性能の検証で解説する。

 検証にあたっては、Resizable BARやSecure Boot、メモリ整合性やHDRなどは全て有効とした。メモリークロックは各CPUの定格最大値(Ryzen 8000GシリーズならDDR5-5200)としている。また、GPUドライバーはRyzen 8000Gシリーズは検証用のβ版(解禁直前に差し替わってとんでもない目にあった)、それ以外のRyzenは24.1.1、GeForceは551.23、インテル製内蔵GPUは31.0.101.5186である。

【検証環境:Socket AM5】
CPU AMD「Ryzen 7 8700G」
(8コア/16スレッド、最大5.1GHz)、
AMD「Ryzen 5 8600G」
(6コア/12スレッド、最大5GHz)、
AMD「Ryzen 7 7700」
(8コア/16スレッド、最大5.3GHz)、
AMD「Ryzen 5 7600」
(6コア/12スレッド、最大5.1GHz)
CPUクーラー ASUS「ROG RYUJIN II 360」
(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASUS「ROG STRIX B650-A GAMING WIFI」
(AMD B650、BIOS 2263)
メモリー G.Skill「F5-6400J3239G16GX2-TZ5NR」(16GB×2、DDR5-5200~6400動作)
グラフィック AMD「Radeon 780M」、
AMD「Radeon 760M」、
AMD「Radeon Graphics」、
ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 OC GDDR6」(GeForce GTX 1650、4GB GDDR6)
ストレージ Micron「CT2000P5PSSD8JP」
(2TB M.2 SSD、PCIe 4.0、システム用)
電源ユニット Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」(1000W、80PLUS Platinum)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」(23H2)
【検証環境:Socket AM4】
CPU AMD「Ryzen 7 5700G」
(8コア/16スレッド、最大4.6GHz)
CPUクーラー ASUS「ROG RYUJIN II 360」
(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASRock「X570 Taichi Razer Edition」
(AMD X570、BIOS 5.50)
メモリー Corsair「CMW32GX4M2Z3600C18」
(16GB×2、DDR4-3200~3600動作)
グラフィック AMD「Radeon Graphics」
ストレージ Micron「CT2000P5PSSD8JP」
(2TB M.2 SSD、PCIe 4.0、システム用)
電源ユニット Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」(1000W、80PLUS Platinum)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」(23H2)
【検証環境:インテル】
CPU インテル「Core i7-14700K」
(20コア/28スレッド、最大5.6GHz)
CPUクーラー ASUS「ROG RYUJIN II 360」
(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASUS「ROG MAXIMUS Z790 HERO」
(Intel Z790、BIOS 1801)
メモリー Corsair「CMW32GX4M2Z3600C18」
(16GB×2、DDR4-3200~3600動作)
グラフィック インテル「UHD Graphics 770」
ストレージ Micron「CT2000P5PSSD8JP」
(2TB M.2 SSD、PCIe 4.0、システム用)
電源ユニット Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」(1000W、80PLUS Platinum)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」(23H2)

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