アップルのARグラス「Vision Pro」でスマホの次がハッキリ見えた! 「WWDC23」特集 第34回
約50万円のアップル「Vision Pro」予約にいたった経緯を解説する(西田宗千佳)
2024年01月20日 17時00分更新
1月19日22時(日本時間)といえば?
そう、もちろん「Apple Vison Pro」の予約開始時間だ。
まあ普通に考えればハードルは高い。高いだけでなく、「アメリカ市場向けのみ」というのがいろいろ大変だ。普通なら「数ヵ月から1年以内に日本で出るから、それまで待とう」という判断になるだろう。
だが、筆者の友人・知人やSNSで絡む人々はテックガジェットガチ勢ばかりなので、「3500ドル(およそ51万8500円)の高額商品をアメリカから(もしくはアメリカに行って買う)」覚悟が完了した、面構えの違う人々なのでだいぶ麻痺している。
というわけで、その麻痺した頭で購入にいたった経緯をちょっと解説してみよう。
まずは「アカウントの準備」から
アメリカからは事前に「Tips」メールも
すでに述べたように、Vision Proはまずアメリカ市場でだけ売られる。
根本的な理由はアップルのみぞ知る、というところだが、出荷数量が限定されている(だろう)ことに加え、OS開発などに時間がかかると、各国でアプリを揃えるのに時間が欲しいことなど、複数の理由がありそうだ。予約開始後に公開されたFAQによればSiriや音声入力、キーボード入力は英語のみということで、利用にも制限はかかる。
その上で購入するわけだが、当然複数の課題が想定できた。
まずは「アカウント」。アメリカだけで売られるということは、購入と決済にアメリカ向けのApple IDが必要になる可能性がある。
次に「ストア」。これはアメリカのApple Storeであることが必須なのが事前にわかっていた。アメリカのApple IDでもいいが、日本アカウントのままでも、Apple Storeの設定国を「日本」から「United States」に変更すればいい。
アップルからは、予約開始日の公開に合わせ、「USのアカウント」向けに、Vision Proの予約注文に対するTips集がメールで送られてきた。
このメールによれば、
・顔のスキャンをApple Storeアプリで実施するで、Face ID対応のiPhoneかiPad Proを用意するように
・そのためにもApple Storeアプリは最新のものにしておくように
・インサートレンズが必要な場合、メガネの処方箋を用意しておくように
とされている。なので上記の対応はまあ必須条件なのである。
「アメリカへ行って受け取るか?」問題
ここで1つ悩んだのが、「受け取りは店舗のみなのか」ということ。
噂としては「購入者にはガイダンスとフィットの時間があるので、店舗に行かなくてはならない」という話があった。
筆者は昨年6月の発表時に体験しているのだが、確かにちゃんとガイダンスとフィッティグの時間が設けられていた。それを購入時にもやるなら、たしかに「現地に行く」ことが必須となる。
そうすると、渡米費用がさらに追加になる。
……まあ、もうそこまで覚悟はできていたのだが、結果的にいえば、購入はオンラインで完結し、アメリカの住所への配送となるが、店舗へ行く必要はなかった。
これは実は、筆者の予想通りだった。
6月の取材時には、ガイダンスとフィッティング、その後の体験まで含めて1時間近くを要した。だからしっかりと記事が書けたのではあるが、それを購入者全員に強いるのは無理がある。
例えば各店舗に2人のオペレータを用意するとしても、営業時間(仮に8時間とする)内に16人しか捌けない。実際には出入りの時間を考えると、もっと少なくなる。
実はHMDが絡むビジネスにおいては、「顧客オペレーション時間の長さ」が常に課題とされている。それは空間コンピューティングデバイスであるVision Proも同様だ。だとすると、店舗受け取りもできるがiPhoneやMacと同じように「配送」もあるだろう……と予測していた。
Vision Proは高価な商品。この上に渡米+滞在費用が重なるのは避けたい。「当日店舗で手にする」という点には、メディアの人間として強い魅力を感じたものの、「できるなら配送がいいなあ」とは思っていた。
そのため、アメリカ在住の友人には、「いざという時、受け取って日本へ送ってもらう」ことをお願いしておいた。
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