日本IBMの山口明夫社長は、「IBMは、テクノロジーカンパニーである」と切り出す。
IBMの事業は、業界別クラウドソリューションやビジネスサービスを提供するほか、AIや量子コンピューティングなどのイノベーションを提供。テクノロジーの研究・開発、ハードウェアやソフトウェアの提供、コンサルティングサービスの提供、システム開発および保守、運用までのサービス提供などだ。2021年11月には、ITインフラサービスを、キンドリルとして分割している。
日本IBMの山口社長は、「数年前まで、『IBMはサービスカンパニーを目指すと言っていたではないか』と思う人がいるかもしれないが」と前置きしながら、「いまのIBMを表現するならば、サービスとテクノロジーの企業である。だが、どちらかといえば、テクノロジーカンパニーと言ってもらった方が適している」と語る。
米IBMのCEOがジニー・ロメッティ氏までの時代は、IBMは、サービスカンパニーとしての姿勢を強く打ち出していた。しかし、2020年4月に、研究部門出身のアービンド・クリシュナ氏がCEOに就いて以降、テクノロジーカンパニーとしての色を強く打ち出しており、メッセージのバランスが変化している。実際、2022年には、今後10年間で半導体やメインフレーム、人工知能、量子コンピュータなどの研究開発や製造に、200億ドル(約3兆円)を投資する計画を発表。なかでも、2nmの半導体製造プロセスへの投資は、Rapidusとの協業にもつながり、日本の半導体産業の復興に大きな影響を及ぼすことになる。
サービスカンパニーとしての姿勢を捨てたわけではないが、テクノロジーカンパニーとしてのメッセージが増えているのは明らかだ。
5つの価値共創領域
日本IBMでも、同様に、テクノロジーカンパニーとしての姿勢を強く打ち出している。
山口社長は、2022年に5つの「価値共創領域」を打ち出した。これは、2024年においても、日本IBMの事業方針のベースになるものと位置づけている。
「価値共創領域」は、次の5つで構成される。
「社会インフラであるITシステム安定稼働の実現」
「AIやクラウドなどのテクノロジーを活用したDXをお客さまと共に推進」
「CO 2やプラスチック削減などのサステナビリティソリューションの共創」
「半導体、量子、AIなどの先端テクノロジーの研究開発」
「IT/AI人材の育成と活躍の場」
このように、5つの項目のうち、2つの項目で、「テクノロジー」という言葉を使っている。
「サービスを提供するにも、ますますテクノロジーが重要になってくる。日本IBMは、テクノロジーを活用した共創パートナーモデルによって、価値共創領域の観点から、お客様のお役に立つことを目指している」と語る。
2024年の日本IBMも、引き続き、テクノロジーカンパニーとしての姿勢を打ち出し、それを強みとしてサービスを提供していくことになる。
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