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業界人の《ことば》から 第573回

IBMはテクノロジーカンパニーである、2nm半導体、生成AI基盤、量子コンピューター

2024年01月15日 08時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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生成AIの時代に求められるwatsonx

 2つめのAIでは、watsonxの取り組みがあげられる。

 IBMは、2023年5月に、エンタープライズ向け生成AI「watsonx」を発表。わずかなデータ、わずかな時間でAIアプリケーションを構築できるwatsonx.aiと、データガバナンスやAIワークフローに最適化したデータストアであるwatsonx.data、責任があり、透明性が高い、説明可能なAIワークフローを実現するwatsonx. governanceの3つを主要コンポーネントとして構成している。そのうち、watsonx.aiと、watsonx.dataの2つのコンポーネントは、2023年7月から一般提供を開始。2023年12月からは、watsonx. governanceの提供も開始している。

watsonxの構成

watsonxは短期間に製品が市場投入された

 さらに注目しておきたいのは、「Granite」である。

 Graniteは、watsonx.aiで利用可能な基盤モデルの新しいファミリーであり、その一部として、granite.8b.japaneseを発表している。ここでは、1兆6000億トークンの高品質な英語、日本語、コードデータを学習したことを公開。そのうち、日本語では5000億トークンを占めているという。

Graniteは高い日本語性能を発揮。今後業種特化型LLMが日本で投入される

 ギルディレクターは、「日本語で高い精度で回答し、他のオープンソースモデルの一般的な回答と比較しても正確に回答できる。最良のパブリックモデルと比較しても満足できるパフォーマンスを発揮している」と、日本語性能の高さを強調する。

 また、日本IBMの山口社長は、2024年2月以降、Graniteをベースにして、日本語環境に最適化した業種特化型のLLMを日本市場に投入する計画があることを明かす。ここでは、医療や保険、メディア分野などの業界ごと、あるいは特定の顧客ごとを対象にしたLLMが開発するという。

 2024年は、日本IBMの生成AIが、日本の企業や業界に浸透する環境が整うことになる。

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