AI活用のカメラがスゴい! Pixel 8/8 Pro発表 Pixel Watch 2も 第13回
【写真家レビュー】Pixel 8 Proはカメラとして考えても魅力的なアイテム
2023年12月13日 19時00分更新
写真という静止したメディアで動きや時間を表現する
「アクションパン」をはじめ、AIを活用した機能が充実
動く被写体を簡単に、しかもきれいに流し撮りできる「アクションパン」は、僕がGoogle Pixelシリーズでもっとも気に入っている機能だ。
写真という静止したメディアで、動きや時間をもっとも効果的に表現できる手法が“ブレ”。しかしシャッタースピードを自在に調節できるミラーレスカメラや一眼レフカメラでも、そう簡単にかっこいい表現ができるわけでもない。それが「アクションパン」ならいとも簡単に決まってしまう。僕が知る限りは唯一無二で、レンズ交換式カメラにもこの機能が入ったらいいのに……と思う(処理能力的に難しいだろうけど)。
Google Pixelは撮影やレタッチに関する機能がとにかく豊富。Pixel 6/6 Proから搭載されている「消しゴムマジック」など、他にない独自性というか、とっつきやすさもセールスポイントだ。そんなことはフワちゃんのCMで皆さんもご存知かと思うが、5歳になる息子がついにテレビCMの内容を理解するようになり、僕がPixel 8 Proであれこれ実写していると、「それ消せるスマホでしょ? グーグルピクセル!」と、父の業務内容をすっかり把握。
というわけでPixel 6 ProやPixel 7 Proのレビューに続いて息子に協力してもらったのだが、あれこれ消えたり、AIで生成されるのが楽しくて仕方ない様子。これ撮って、あれ撮っての後にこれ消して、あれ消してと日々実演をせがまれている。グーグルさんからお借りしているデモ端末をお返ししたら、息子はどれほど落胆するだろうか。親として心配だ。
Pixel 8/8 ProのテレビCMでアピールされているのが「編集マジック」なる新機能。これは生成AIを用いて被写体を消すだけでなく、位置やサイズをアレンジできるというものだ。被写体を消去・移動すれば、元あった場所を何かで埋めなければいけない。「消しゴムマジック」ではその周辺から拾った情報で埋めており、まさに何かを消すという感覚だった。
しかし「編集マジック」では、同じように消去した場合でも、本来そこにない(けれど、ありそうな)世界をAIが生成。テレビCMでは被写体の移動を実演していて、正直「この機能っているのかなぁ……」と思っていたが、ただの消去だけでも「消しゴムマジック」より実用性が高い。
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そこで「編集マジック」で背景を指定。なお指で編集したいエリアを囲っても、すべてが指定されるわけではない。おそらく処理能力の問題でまだらに指定されるので、根気よく塗りつぶしていく。ピンチ操作で写真を拡大でき、境界線を細かく指定することも可能だ
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何度かイチからやり直してみたが、生成される背景はすべて木々が生い茂る風景だった。ただし森林風だったり、ヌケのある公園風だったり、シチュエーションはさまざまだ。ちなみにヘルメットは指定外にしたつもりだが、どうしてもわずかに食い込んでしまい、キラキラで未来感のあるものに変化。なかには不思議な角が生えているヘルメットもあった。一方でヘルメットを指定すると、生成AIの利用規約に違反する可能性があるので表示できないという警告が。道徳面への配慮だろうか
ただし「編集マジック」は端末ではなく、クラウドでその処理をしている。よって元画像をGoogleフォトにバックアップする必要があり、もちろんインターネットに接続されている必要がある。被写体を指定するのもスムーズにはいかず、画像処理にも20~30秒、場合によっては1分近く待たされる。背後に写ってしまった通行人とか頭上の電線を消したい、といったシンプルな処理であれば、従来からの「消しゴムマジック」のほうがよいと思う。
一方「編集マジック」は画像処理をすると複数の結果が提示され、保存できるのはひとつだけというのが残念なのだが、気に入るものがなければ異なる結果をリクエストすることもできる。遠景を指定すると世界のさまざまな場所に置き換わり、そうした偶然性を含めて遊ぶのがいいように思う。もちろん少しだけ被写体をずらすといった、本来の使い方も有効だ。
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