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AWS re:InventのCEO基調講演は生成AIのトピックが中心

生成AIに傾倒するAWS Amazon Qはビジネスユーザーも視野に

2023年11月30日 18時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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Amazon Bedrockはカスタマイズ機能も強化 ガードレール構築も可能に

 Amazon Bedrockは基盤モデルへのアクセスを提供するだけではない。新たに発表されたのはカスタマイズ機能で、ラベルを用いた学習のカスタマイズが可能な「Fine Tuning」、基盤モデルの応答をカスタマイズする「Retrieval Augmented Generation(RAG) with Knowledge Bases」、ラベルなしデータを用いることで継続的な改善を行なう「Continued Pre-training for Amazon Titan Text Lite & Express」の3つになる。「生成AIを自分の事業に合うよう、Amazon Bedrockはカスタマイズを実現できる」と語るセリプスキー氏は、顧客の質問に対して高い精度で応えるデルタ航空の事例を紹介した。

Amazon Bedrockに追加された3つのカスタマイズ機能

 また、Agents for Amazon Bedrockでは生成AIと自社のデータソースを統合し、複数ステップのタスクを実行するエージェントを作成できる。具体的には自然言語で指示を記述し、組織内のシステムへのアクセスを許可し、Lambda関数を定義し、データを選択することでエージェント作成を実現。できたエージェントはユーザーのリクエストを分析し、基盤モデルの推論機能により、リクエストを完了するための処理の順序を決め、実行する。

 セリプスキー氏が繰り返しアピールしたのは、エンタープライズグレードのセキュリティだ。「(AWSは)お客さまのデータは使いません。データはセキュアなコンテナの中にあり、インターネットには公開されず、VPCで転送される。他のAWSと同じアクセス制御を行ないます。各種の規制に対応し、ガバナンスの機能も入っています」と語る。また、イノベーションの可能性は、逆に乱用の可能性でもあるため、リスクを抑える必要がある。そのためには業界内や政府、コミュニティ、学術機関とも連携し、安全で透明性の高いAIを構築するという。

 生成AIを適切に、安全に利用するため、基盤モデルに安全対策を実施する「Guardrails for Amazon Bedrock」もプレビューを開始した。組織のポリシーに従い、望ましくないトピックや有害コンテンツのカテゴリのしきい値を設定。応答がガードレールに抵触をするかを評価・適用し、フィルタリングをかける。

 もとより多くの基盤モデルには安全に利用するための保護機能が組み込まれているが、Guardrails for Amazon Bedrockを用いることで、ユースケースに応じたフィルタリングを適用できる。「たとえば銀行は投資のアドバイスをしないよう構成できる。コマースサイトではオンラインアシスタントが変なことを言わないように設定できる」とセリプスキー氏は利用例を披露した。

いよいよAWSも生成AIアシスタントを投入 その名は「Amazon Q」

 そして、生成AIアシスタントとして新たに発表されたのが「Amazon Q」だ。対話型のインターフェイスで、ユーザーの業務に役立つ情報や知識を提供しており、複数の基盤モデルを採用しているという。Amazon Bedrockと同様にエンタープライズグレードのセキュリティとプライバシーが組み込まれており、トレーニングのためにユーザーの情報は使用しない。さらに17年に渡るAWSのノウハウやテクノロジーも盛り込まれており、開発にはCode Whispererも利用できる。

AWS初となるAIアシスタントの「Amazon Q」

 Amazon Qは利用用途やユーザーによって、複数のサービスが用意されている。開発者やITプロフェッショナルに向けては、AWSを用いたシステム構築を支援。「WebアプリをAWSで作る方法は?」といった質問に対して質問に回答する。また、トラブルシューティングも対応し、AWSのマネジメントコンソールにあるAmazon Qのボタンを押すと、エラーを解析し、解決策を提示する。さらにCode Whispererを介して統合開発環境を利用する場合は、ユーザーのコードについて自らの知見を重ね合わせた回答を提示する。

 より高度な開発支援も可能だ。機能開発で必要な計画立案や処理ロジックの検討、プログラミングテストについてのガイドを受けたり、開発サービスのAmazon CodeCatalystでのタスク完了までの道のりを提示させることが可能。さらにCode Transformationでは既存コードのアップグレードにも利用できる。コードの解析や修正が必要な要素の抽出、コードの生成、パフォーマンス改善の取り込み、テストまで実施してくれるという。

 実際、AWS社内で使ってみたところ驚くべき結果が出たという。1000以上あったJavaアプリケーションをAmazon Q Code TransformationでJava8からJava17へ移行したところ、通常なら数ヶ月から数年かかるところ、なんと2日で完了したという。今後は.NET Frameworkから.NETへの移行もサポートされる予定だ。

 また、ビジネスユーザーに向けては、ユーザーデータや既存システムとの接続により、Webアプリケーションを生成し、ビジネスタスクを支援する。たとえば、「最新のロゴのガイドラインは?」と質問に対して回答したり、Jira、Salesforce、ServiceNow、Zendeskなどの40以上のサービスに対して特定の操作を実行することが可能になる。ただ利用するデータはあくまでユーザーの権限に基づいて得られたものだけ、質問や回答をキーワードでフィルタリングしたり、役割に応じて回答を制御することも可能だ。

各種サービスと接続

 AWSの各種サービスと連携することもできる。たとえば、BIサービスのAmazon QuickSightと連携すれば、ダッシュボードを作成したり、意思決定が容易になる。ストーリー機能を使って「先月の受注数が伸びた理由は?」という質問に回答したり、ビジネスレビュー用のドキュメントを生成することも可能。「Amazon QとQuickSightを使えば、専門のBIアシスタントを得ることができ、ビジネスを解析できます」(セリプスキー氏)。コンタクトセンターサービスのAmazon Connectとの連携では、リアルタイムな会話に基づいて、オペレーターへのアクションを提案したり、関連情報を表示する。AWS Supply Chainと連携すれば、サプライチェーンのデータに対して、回答することができる。

ユーザーごとに異なるAmazon Q。開発者のみならず、ビジネスユーザーも利用可能

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