大阪公立大学や東京大学などの国際共同研究チームは、米国ユタ州で稼働中の最高エネルギー宇宙線観測実験「テレスコープアレイ実験」で、244エクサ電子ボルト(エクサは10の18乗)と、極めて高いエネルギーをもった宇宙線の検出に成功。「アマテラス(天照)粒子」と名付けた。244エクサ電子ボルトは、テレスコープアレイ実験による2008年から現在までの15年以上にわたる実験史上、最大のエネルギーであるという。
大阪公立大学や東京大学などの国際共同研究チームは、米国ユタ州で稼働中の最高エネルギー宇宙線観測実験「テレスコープアレイ実験」で、244エクサ電子ボルト(エクサは10の18乗)と、極めて高いエネルギーをもった宇宙線の検出に成功。「アマテラス(天照)粒子」と名付けた。244エクサ電子ボルトは、テレスコープアレイ実験による2008年から現在までの15年以上にわたる実験史上、最大のエネルギーであるという。 2021年5月27日、テレスコープアレイ実験において、1.2キロメートル以上離れているにもかかわらず、合計23台の地上素粒子検出器がマイクロ秒の時間差を持ってほぼ同時に連続的に信号を検出した。この現象は、これらの粒子が、元はひとつの極めて高いエネルギーの宇宙線から生成された空気シャワーであることを示しており、それぞれの検出器で検出された信号の大きさおよび時間差から、空気シャワーの到来方向とエネルギーを算出。元になった宇宙線のエネルギーが244エクサ電子ボルトであることがわかった。 研究チームによると、求められた到来方向には有力な候補天体が見あたらず、天の川銀河近傍の宇宙大規模構造では局所的空洞(ローカルボイド)と呼ばれる方向から到来していることから、未知の天体現象や暗黒物質(ダークマター)の崩壊といった標準理論を超えた新物理起源の可能性も示唆されるとしている。 宇宙から地球に降り注いでいる高エネルギー放射線は「宇宙線」と呼ばれ、100メガ電子ボルトから100エクサ電子ボルトを超えるエネルギーの宇宙線が地球で検出されている。宇宙線の発生源は、宇宙最大の爆発現象であるガンマ線バーストや、活動銀河核中心の超巨大ブラックホールやジェット、強磁場中性子星といった激烈な極限物理現象を起源に持つと予想されているが、いまだ明らかになっていない。 研究論文は、国際学術誌サイエンス(Science)に2023年11月24日にオンライン掲載された。(中條)