◆強制的に横滑りさせる装置で体勢の立て直し方を体験
最後は同じような滑りやすい路面でのブレーキと回避方法を学びます。まずはABSのドライ路面との違いを確認します。スーッと滑っていく感じを体験した後、今度は車両が通過した瞬間に左右に動く板によって、クルマが強制的に横滑りする状態から車両をコントロールする技術を学びます。
板を通過すると、水の壁が現れます。これを避けるべく、ブレーキを踏み続けながら、ハンドルを回すのですが、ゆみちぃ部長によると「想像以上にハンドルを素早く回さないと……」とのこと。車庫入れや交差点での左折でもしない限り、普段の運転でハンドルを一回転以上回すことはマレ。それを40km/h以上の速度で、一気に回すということは普通に走らせている時にはありえません。
こうして、何度も水に壁にぶつかり、水もしたたるイイクルマになったFIT RSから降りたゆみちぃ部長。その顔は充足感に満ちていました。
◆対処方法を知っているのと知らないのでは大きな差になる
「彼女は飲み込みがはやくて、反応もよいですね。あと思い切りもよいですね」とインストラクター。その声を聞くや、ゆみちぃ部長はドヤ顔に。「ですが、それが自信になるか過信になるかはわかりませんけれど」とピシャリと釘をさします。「今日の経験が万が一の時の対処における引き出しになったと思います」。
安全な場所で、緊急時に回避行動を体験すること、雪道など滑りやすい路面でコントロールを失った時の体験は、彼女にとって大きな糧になったことでしょう。普段クルマを乗り回す同行スタッフたちは「やってみたいなぁ」と心底思いましたし「1万6000円でもしものときに回避できるなら安いよね」と正直思いました。
結構ハードな内容であるにも関わらず、スクールの様子を見て思うのは「楽しく学べる」というところ。インストラクターの指導方法が褒めて伸ばす、という感じを強く受けました。その一方で、クルマは楽しい乗り物だけど、コントロールを失うとあっという間にドライバーに牙をむくことも一貫してお話されているのも印象的でした。
運転支援などの技術向上は目覚ましいものがありますが、運転するのは人間です。当たり前のことですが、運転支援がついているからといって、事故に遭遇しないという保証はないのです。50年に渡って交通教育センターもてぎが伝えてきたのは、命の大切さと命を守る方法なのです。
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