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情報探索やチーム連携を支援する仕事に使えるAI ― ベータ版を提供開始

Notionに貯めた情報の活用促進!Notion AI Q&Aが登場

2023年11月15日 10時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 情報管理ツール「Notion」を提供するNotion Labs Japanは、Notion AIの新機能「Q&A(以下AI Q&A)」のベータ版リリースを発表した。2023年11月14日のPM11:00をもって、日本を含むすべてのNotion AIのユーザーが利用できる。

 AI Q&Aは、Notionに蓄積した情報全体の活用を生成AIがサポートする、ユーザー待望の機能だ。

 Notion Labs Japanのゼネラルマネージャー アジア太平洋地域担当である西勝清氏は、「生成AIへの興味の高まりを実感する一方で、特に企業ではどう使えば良いのか戸惑っているという声も増え、実際の活用は二極化してきている」と説明する。そんな中、新たに提供するAI Q&Aは、ビジネスで使えるAIだという。

Notion Labs Japan ゼネラルマネージャー アジア太平洋地域担当 西勝清氏

ユーザーの期待に応えるAI機能の第三弾

 Notion AIは、2022年11月にプライベートアルファ版をリリースし、2023年2月に正式提供を開始した。この時点では文章の新規作成や編集、要約、翻訳などを生成AIが支援する「AI ライター」の機能を展開。たとえば、要件仕様書を概要から自動生成するといった使い方ができる。ただし、Notionのページ内の情報のみが対象となる。

 2023年5月には「AI 自動入力」を提供開始。これは、DB上の情報を生成AIが抽出し、一括入力や要約をすることで、繰り返し作業などを支援する機能。主にプロジェクト管理などで活用される。

 今回のAI Q&Aは、Notion AIの第三弾となるAI機能だ。「日本も含む世界のユーザーにNotion AIが利用されている中で、たくさん蓄積されているNotion全体の情報も活用したい、あるいは情報を素早く見つけたいという声が数多く届いている。ユーザーからの声をくみ取り、かつ現状のビジネスやAI活用の課題を解決できるよう、AI Q&Aを開発した」と西氏。

Notion AIの歩み、第三弾となるAI Q&Aが登場

いつもの業務の流れそのままに、情報探索やチーム連携を支援するAI Q&A

 AI Q&Aは、Notion上のドキュメントやDB、Wiki、プロジェクト管理といった、Notion全体に蓄積された情報を生成AIが参照して、質問に回答するAI機能である。Notionの提供するコネクテッドワークススペースを支えるAIに、ワークスペース全体を基にした質問応答が加わる形だ。

ドキュメント、Wiki、プロジェクトといったワークスペースを、文章作成アシスタントや、ページの一括更新、質問応答のAI機能が支える

 大規模言語モデル(LLM)は、OpenAIとAnthropicを使い分けており、AIが情報の検索と順位付けを行ない、回答を生成する仕組みとなる。Notion上の情報を参照するためハルシネーションは発生しづらく、また、かねてから同社が強調するようにユーザーのデータはAIモデルの学習には使用されないため、情報漏洩の心配もない。

 AI Q&Aの特徴は、複雑なプロンプトやナレッジ整備を必要とせずに、ただ質問するだけで、即座にAIが回答してくれることだ。また、画面を切り替える必要がなく、シームレスにAIを使用できるよう設計されている。Notion Labs JapanのSolutions Engineerである早川和輝氏は、「頭に思い浮かんだ質問を問いかけるだけで、適切な情報を引っ張ってくる。製品にAIが組み込まれているため、ページを書きながら、いつもの業務の流れでそのまま利用できる」と説明する。

Notion Labs Japan Solutions Engineer 早川和輝氏

 ここでは、Notion上に社内情報を一元化した全社ページを構築している企業の、AI Q&Aの活用シナリオを紹介する。

 全社ページには、膨大な情報があるため、どこに情報があるのか、どの担当者に詳細を聞くべきか、分からない場面が出てくる。たとえばあるプロジェクトの詳細が知りたい場合には、検索バーでAIに質問すると、Notion上のページに基づく回答が要約され、参照元のページも提示される。このように、情報の探索が容易になり、全体像を把握しつつ、担当者に聞くことなく詳細を確認するのに役立つという。

シナリオ①:Notionの検索バーからプロジェクトの概要を質問

 また、全社ページはさまざまなチームが同時に利用しており、時には他チームの進捗状況を確認する場面も出てくる。たとえば、営業チームが商談を進める中で顧客からフィードバックをもらい、どう扱うか迷った場合には、右下のUIからAIに聞くだけで開発チームへのフィードバック方法や担当者が分かる。別チームへ素早く情報を伝達でき、チーム間の流動性も高められる。

シナリオ②:右下のUIから開発チームへのフィードバック方法を質問

AI QAにより日本のNotion AIの利用者を2倍に

 AI Q&Aのベータ版は、Notion AIのすべてのユーザーが利用できる。Notion AIを利用していないユーザーも、ウェイトリストに登録することで、1ユーザーあたり10回(ワークスペース毎に最大500回)無償で試すことができる。Notion AIの価格(年間契約:メンバー単位で月8ドル/月額契約:メンバー単位で月10ドル)は、AI Q&Aの追加で変更はない。

 早川氏は、「仕事で使えるAIというのが重要。Notionを普段通りに使う中で、AIが時間のかかる日々の意思決定や情報探索のアシストをしてくれる。それによりユーザーの自己解決を促し、無駄なやりとりやミーティングの時間を減らし、本来すべき大切なコミュニケーションに集中できる」と強調する。

 また、大阪ガスやSansan、LayerXといったユーザー企業がベータ版を先行利用しており、特に大阪ガスでは、社内マニュアルやプロジェクト管理などの情報探索の時間を、約35%短縮できると見込んでいるという。

 現在、生成AIのサービスへの採用はどの企業も模索中だが、Notionは、細やかなデザインへの配慮や体験設計という強みを活かして、より自然な形で、誰もが享受できるようAIを組み込んでいくという。そこには、Notion AIを利用するユーザーのフィードバックも反映される。

 西氏は、「日本はNotionのビジネスにおいて世界で2番目の市場で、Notion AIの利用状況も同様。AI Q&Aにより日本のNotion AIのユーザーを2倍にすることを目指している」と今後の展望を語った。

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