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独自LLM「tsuzumi」を2024年3月より提供、精密医療や顧客対応、ソフト開発などで検証開始

小さくて専門知識を持つ「NTT版LLM」、すでにDXのトライアルも進む

2023年11月06日 10時45分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp 写真提供●NTT

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医療や顧客サポート領域でのトライアル運用が進む

 tsuzumiは、10月より社内外で幅広いトライアル運用を開始している。軽量なため、オンプレミスでクローズドに学習できる点が活きる医療やソフトウェア開発の領域、日本語が得意で、柔軟なチューニングやマルチモーダル対応が活きる顧客サポートの領域などにフォーカスして展開される。

 社外での取り組みでは、医療領域の京都大学医学部附属病院と、顧客サポート領域の東京海上日動火災保険の事例が紹介された。

 日本では、電子カルテの導入が進む一方で、同じ症状であっても病院や医師によってカルテの書き方は異なるため、データの集積や分析、活用は進んでいないという。

 京都大学医学部附属病院では、電子カルテデータの構造化に、新医療リアルワールドデータ研究機構(PRiME-R)とともに取り組んでいる。今回tsuzumiを利用することで 、1日に数件の対応が限界だった構造化が1日数万件クラスで可能となり、自動化も実現済みだという。

 今後、構造化したカルテデータの分析が容易になると、それぞれの患者に最適な治療を行うプレシジョンメディシンの推進や、医薬品開発の時間短縮や費用削減に繋がることが期待できるという。

京都大学医学部附属病院のカルテデータの構造化

プレシジョンメディシンや効率的な医薬品開発を促進

 東京海上日動火災保険では、事務稼働を50%以上削減するための取り組みを進めている。同社の事故対応部門では、全国で1万人を超えるオペレーターが損害保険の顧客をサポートしており、通話の後に応対内容を整理してシステムへの入力を行う。このアフターコールワークの業務には、年間約80万時間が費やされているという。

 すでに音声マイニングなどにより改善は進めているが、tsuzumiを組み合わせて、複雑で専門用語が多い通話を要約することで、アフターコールワークを50%以上削減することを目指している。

東京海上日動火災保険のアフターコールワーク業務の削減

 NTTグループ各社でも、tsuzumiの活用が始まっている。NTTデータではソフトウェア開発の領域で検証。オンプレミスのセキュアな環境で学習させつつ、コードやテストシナリオの自動生成などに利用する。開発スピードの向上を狙うとともに、日本語読解が必要とされる工程の品質を高める狙いだ。

 NTTドコモでは、顧客サポート領域における、チャットボットによる応対をtsuzumiが効率化する。高い日本語能力とマルチモーダル対応を活かし、図表も入ったマニュアル類を網羅的に学習。パーソナライズされた最適な回答により、従来1件につき14往復・16分以上要していた複雑な料金プランの対応が、2往復、1分まで短縮する見込みで、これをCX向上につなげたいとした。

NTTデータのソフトウェア開発の領域の活用

NTTドコモのチャットボットの応対改善

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