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「Oracle CloudWorld 2023」レポート

ホアン・ロアイザ氏、基調講演でデータ/アプリケーション開発の将来像を語る

生成AI時代の「Oracle DB 23c」はどう変わったか、OCWで新機能発表

2023年10月10日 07時30分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 2023年9月に米国で開催されたオラクルの年次イベント「Oracle CloudWorld 2023(OCW)」。企業向け生成AIサービスOracle Cloud Infrastructure(OCI)の各種新サービスといった発表と並び注目を集めたのが、OCIで一般提供が開始(GA)された最新版データベース(DB)の「Oracle Database 23c」である。

 同社でミッションクリティカルDBテクノロジーのEVPを務めるホアン・ロアイザ氏の基調講演「The Future of Data and App Dev(データとアプリ開発の未来)」では、Oracle DB 23cで搭載された新機能が、開発者やデータサイエンティスト、エンドユーザーまでどんなメリットをもたらすのかが紹介された。

生成AI技術の登場がデータ/アプリ開発の世界にどんな影響を与えるのかも語られた

米オラクル ミッションクリティカルデータベーステクノロジー担当EVPのホアン・ロアイザ(Juan Loaiza)氏

DBシステムが用途に適したかたちで「データを生成する」将来像

 基調講演の冒頭、ロアイザ氏は、データとアプリ開発の世界に大きな変化が起きており、「データとアプリ開発のイノベーションは飛躍的な生産性向上を可能にする」と切り出した。

 このイノベーションのキーワードとなるのが“generate(生成)”だ。「データソリューションを、ハンドコーディング(手作業でのコーディング)ではなく“生成”するようになる」と、ロアイザ氏は将来像を語る。

 こうしたイノベーションの実現に向けて、どんな戦略が必要か。ロアイザ氏は3つの戦略、「用途に適したデータの生成」「アプリの生成」そして「生成AI」を挙げたうえで、特にDBシステムと関係の深い「用途に適したデータの生成」について議論を進めていった。

イノベーションと飛躍的生産性向上をもたらすのが“generate(生成)”の技術

 多くの場合、ユーザーはDBシステムに対して「何のデータ(what)がほしいのか」だけでなく、そのデータを「どのような形/形式で(how)ほしいのか」も伝える必要がある。しかし、こうした状況は近い将来変わっていくというのがロアイザ氏の予測だ。ユーザーがDBシステムに対してデータ利用の「意図(intent)」を伝えれば、DBシステムがその意図を解釈し、データを適切な形で「生成」する将来像を描いているという。

 リレーショナルDBにおいては、ユーザーの意図に基づくデータの生成が(ごく単純なレベルではあるが)実現している。これにより、SQLを使いこなせるデータ専門家はその恩恵を受けられる。一方で、アプリ開発者などその他のユーザーにはそうした手段がまだない。それぞれに適した「データの生成」手段が提供されることで、データを自在に活用したイノベーションが期待できる。これが「用途に適したデータの生成」が必要とされる理由だ。

リレーショナルDBでは、SQL文を使ってほしいデータの形を伝えることにより、「用途に適したデータを生成」できるとロアイザ氏は説明する

一方で、アプリ開発者などその他のタイプのデータユーザーについては、それぞれの用途に応じた別の手段が必要となっている

リレーショナルDBにJSON APIでアクセスできる「Duality View」

 Oracle DB 23cは、まさにそうした目標を掲げて開発された。オラクルでDBサーバーテクノロジー担当EVPを務めるアンディ・メンデルソン(Andy Mendelsohn)氏によると、Oracle DB 23cの開発コード名“App Simple”は、「アプリ開発者に対してもシンプルかつ強力な機能を提供する、魅力的なDB」を目指すという意味で付けられたという。

 ロアイザ氏がまず紹介したのが、Oracle DB 23cで新たに追加された機能「JSON Relational Duality View」だ(“JSONとリレーショナルの二面性ビュー”と訳されている)。この機能を追加した背景として、ロアイザ氏は「正規化されたリレーショナルDBは、データ管理の観点からはすばらしいものだが、(アプリ開発の観点からは)必ずしも便利だとは限らない」からだと説明する。

 Duality Viewをひと言で説明すると、リレーショナルDBのテーブルに格納されているデータをダイレクトに(コピーすることなく)、JSONドキュメントとしてアクセス(参照/挿入/更新/削除)できる機能である。アプリ開発者はJSON API経由でのデータアクセスを望むケースが多く、その意図(用途)に合った形式のデータを「生成」する機能、というわけだ。

新機能「JSON Relational Duality View」を紹介

同機能の利用イメージ。ユーザー(アプリ開発者)の意図するJSONドキュメントのフォーマットにテーブル/カラム名を組み込むことで、JSON形式のビューをシンプルに作成できる

 基調講演では、JSON Relational Duality Viewによって、どんな開発言語でもREST API経由で簡単にクエリや更新ができること、元データは正規化されたテーブルに格納されていること、複数のアプリ側の用途に応じたJSONビューが容易に生成できること、などが紹介された。加えて同機能が、トランザクションの一貫性などの側面でO/Rマッピング(オブジェクトリレーショナルマッピング)よりも優れており、JSONドキュメント専用のDBやキーバリューストアよりも高速に動作することも強調した。

Duality Viewで作成したJSONデータはアクセスが容易であり、しかも専用のドキュメントDBやキーバリューストアよりもパフォーマンスが良いとアピールした

 もうひとつロアイザ氏は、Oracle DB 23cが備える新しい「Property Graph View(プロパティグラフビュー)」も紹介した。こちらもテーブル形式で格納されているデータを使って、関係を表すグラフ形式のビューを「生成」することができる機能である。

JSONビューと同様にリレーショナルDBをグラフDBとして扱える「Property Graph View」

 まとめとしてロアイザ氏は、Oracle DB 23cは「DBに格納されているデータをどう利用したいか」というアプリ開発者の意図に応じてデータを生成できる機能を備えている、と述べた。

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