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「Oracle AI Vector Search(ベクトル検索)」など300以上の新機能を追加したLTSリリース

「Oracle Database 23ai」提供開始、AI対応強化で“23c”から改称

2024年05月09日 16時10分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 米オラクルは2024年5月2日、同社データベース(DB)製品の最新版「Oracle Database 23ai」のクラウドサービス版を提供開始した。LTS(長期サポートリリース)となる23aiでは、「Oracle AI Vector Search」「JSON Relational Duality」「Globally Distributed Database with RAFT」など、300以上の新機能が追加されている。

 5月9日、日本のメディア向けに開催された説明会では、DB製品担当VPであるジェニー・ツァイ・スミス氏が、新機能が開発者やデータユーザーにもたらすメリットなどを紹介した。

オラクルの旗艦データベース製品「Oracle Database 23ai」が提供開始された

米オラクル データベース・プロダクト・マネジメント担当VPのジェニー・ツァイ・スミス(Jenny Tsai-Smith)氏

AIアプリケーション向け機能を強化して「23ai」に改称

 今回提供開始となったのは、Oracle Database 23aiのクラウドサービス版。Oracle Cloud Infrastructure(OCI)の「Oracle Exadata Database Service」「Oracle Exadata Cloud@Customer」「Oracle Base Database Service」および「Oracle Database@Azure」で利用できる。オンプレミス版についても追って提供開始予定だ。

Oracle Cloudのほか、Azure(Oracle Database@Azure)をはじめとする他社クラウド、オンプレミス環境でも稼働する

 Oracle Database 23aiは、昨年10月に「Oracle Database 23c」としてベータ版をリリースしていたバージョンだ。23cを“23ai”に名称変更した理由について、スミス氏は「23cリリース以降の18カ月間、AIによって進化したアプリケーションをサポートするための機能を検討し、追加してきたため」だと説明する。

 また、2019年リリースの「Oracle Database 19c」以来のLTS製品であり、プレミアサポートが5年間、延長サポートが最長3年間受けられる。オラクルとのサポート契約を行っている顧客は、無償でのアップグレードが可能だ。

 なおOCIでは、Autonomous Database(2インスタンス)を含む無料/期間無制限の「Always Freeサービス」を提供しているが、このサービスにおいてもOracle Database 23aiのサポートが開始された。

3つのテーマ「データとAI」「迅速な開発」「ミッションクリティカル」を掲げる

 スミス氏は、Oracle Database 23aiが目標とする「3つのテーマ」にまとめるかたちで、追加された主要な新機能群を紹介した。

 1つめのテーマ“データのためのAI(AI for Data)”では、あらゆるタイプのユーザー(開発者、DBアーキテクト、アナリスト、データユーザー)、あらゆるタイプのアプリケーション、あらゆるタイプのワークロードがメリットを享受できるAIとデータの環境を、シンプルかつスケーラブルなかたちで提供することを目的としている。

“データのためのAI(AI for Data)”を実現する主な新機能

 新機能であるOracle AI Vector Search(AIベクトル検索)は、ベクトル化(エンベッド)された非構造化データ(ドキュメントや画像、ビデオ、音声など)に対して、SQLを使って類似性検索ができるというものだ。ポイントは、同じOracle Databaseに格納されている構造化データ(ビジネスデータなど)と組み合わせて、シームレスに検索処理ができる点である。生成AIをRAG(検索拡張生成)で強化するうえでも、この機能が有用だと説明した。

 「たとえばカスタマーサポートチームが、構造化された顧客データベースと、PDFの(非構造化データの)サポートドキュメントを同時に検索できる。問い合わせを受けたら、過去にあった同様の問い合わせを迅速に参照して、対応ができるようになる」(スミス氏)

 なお、同時にリリースされた「OCI GoldenGate 23ai」でも、異種のベクストルストア間でのベクトルデータのレプリケーションができる新機能が追加されている。これにより、これまで別のベクトルデータベースで処理していたものをOracle Database 23aiに統合することが可能になる。また「Oracle Exadata」では、AI Vector Searchを大幅に高速化するスマートストレージが搭載されている。

Oracle AI Vector Searchの概要。非構造化データ(オブジェクト)をベクトル化(エンベッド)して格納し、SQLを使って類似性検索ができる

 2つめのテーマ“アプリケーション開発の迅速化”では、リレーショナルデータベース上のデータをJSONビューとして取得できるJSON Relational Duality、同じようにグラフビューが取得できる「Operational Property Graph」などの新機能がある。

“アプリケーション開発の迅速化”のための主な新機能

 3つめのテーマ“ミッションクリティカルなデータへの対応”では、グローバル規模の分散データベースにおいて、新たに「Raftレプリケーション」機能がサポートされた。これは、Raftプロトコルを用いて一貫性と可用性を保ちながら、すべてのシャードにデータのコピーを保持する分散データベースの機能である。シャードに障害が発生した場合でも、1秒未満でのフェイルオーバーが可能としている。

グローバル分散データベースのイメージ

 また「Oracle True Cache」機能も追加された。これは自動的にデータベースのリードキャッシュを自動的に構成する機能で、プライマリデータベースの負荷を軽減し、アプリケーションの応答時間を短縮する。データの一貫性が維持されること、アプリケーションに対して透過的であること、SQL、JSON、Graphのすべてのクエリに有効であることなどが特徴だ。

「Oracle True Cache」機能の概要。リード(読み出し)時はインメモリキャッシュを参照し、ライト(書き込み)時はデータベースに書き込みを行う。こうした処理を透過的かつ自動的に行う

 そのほかOracle Database 23aiでは、SQLインジェクション攻撃などの不正なSQLからデータベースを保護する「Oracle SQL Firewall」が組み込まれた。これまではデータベースの外部でファイアウォール(Audit Vault and Database Firewall)を提供していたが、内部にSQL Firewallを組み込んだことで、複雑さやレイテンシの問題が解消できるとスミス氏は説明した。

 まとめとしてスミス氏は、Oracle Database 23aiが、OCIで提供されている「OCI Generative AIサービス」などすべてのAIサービスと連携することを紹介し、「Oracle Databaseにおいては引き続き、AIをサポートする機能を強化し、新しい動きにもしっかり対応していく」と述べた。

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