前回に引き続き、Intel Innovation 2023からMeteor Lakeの話を解説したい。まず基調講演における説明からスタートしたい。
Meteor Lakeが12月14日に発売
今回Meteor Lakeの発売に先立ち、AIPCと呼ばれる概念(?)が公開された。概念なのか、それともキャンペーンの名称なのか、そのあたりは今ひとつはっきりしないのだが、かつてWi-Fiの搭載を必須にしたことで、Wi-Fiの普及が急速に進んだCentrinoを引き合いに出して説明したあたりは、あるいはキャンペーンの名称にするつもりなのかもしれない。
ただ現時点ではそういう明確なキャンペーンが打たれるかどうかははっきりしていないが、とりあえずインテルやパートナー企業がAIPCと呼ぶものがある、という話である。
このAIPCの中身は、Myriad Xの延長にあるVPUを搭載するCPUである。連載686回で説明したが、Raptor Lakeには“AI M.2 Module”なるものが提供され、これはアプリケーション開発のためのプラットフォームとなり、それがプロセッサー内に統合されるのがMeteor Lake世代である。
ということで、おそらくはMeteor Lakeを搭載したノートPCにAIPCの名前が冠される(AIPCと呼んでいい)ことになるだろう。逆に言えばRaptor Lake世代のノートにAI M.2 Moduleを搭載しても、それはAIPCの基準を満たさなそうである。
そのAIPCの基準となるMeteor Lakeであるが、Core Ultraのブランドで今年12月14日に発売されることが公式に発表された。
当然ながら現時点では細かいSKUなどは公開されていない。このあたりは発売日まで未公表のままだろう。Core Ultraも「第x世代Core Ultra」になるのだろうか? とりあえずMeteor Lakeが初代なので、Meteor Lakeの世代には「第x世代」は付かないと思われる。そのCore Ultraの特徴が下の画像だが、新情報そのものはあまりない。
この連載ではIntel 4とFoverosの話しか説明していないので、この後残った話を順次説明していく予定だ。
ちなみに連載686回のスライドでも、いくつかのアプリケーションベンダーがこのVPUをサポートするアプリケーションを開発していく(そもそもRaptor Lake+AI M.2 Moduleの組み合わせが、そのアプリケーション開発のためのプラットフォームと位置付けられていた)と発表されていたが、実際にマイクロソフトのCopliotがこのVPUの最初のアプリケーションになるようだ。
またこの先のロードマップとして、2024年中にArrow Lake/Lunar Lake/Panther Lakeの3製品が投入されることが明らかになったのも今回の新発表である。
この連載の記事
-
第768回
PC
AIアクセラレーター「Gaudi 3」の性能は前世代の2~4倍 インテル CPUロードマップ -
第767回
PC
Lunar LakeはWindows 12の要件である40TOPSを超えるNPU性能 インテル CPUロードマップ -
第766回
デジタル
Instinct MI300のI/OダイはXCDとCCDのどちらにも搭載できる驚きの構造 AMD GPUロードマップ -
第765回
PC
GB200 Grace Blackwell SuperchipのTDPは1200W NVIDIA GPUロードマップ -
第764回
PC
B100は1ダイあたりの性能がH100を下回るがAI性能はH100の5倍 NVIDIA GPUロードマップ -
第763回
PC
FDD/HDDをつなぐため急速に普及したSASI 消え去ったI/F史 -
第762回
PC
測定器やFDDなどどんな機器も接続できたGPIB 消え去ったI/F史 -
第761回
PC
Intel 14Aの量産は2年遅れの2028年? 半導体生産2位を目指すインテル インテル CPUロードマップ -
第760回
PC
14nmを再構築したIntel 12が2027年に登場すればおもしろいことになりそう インテル CPUロードマップ -
第759回
PC
プリンター接続で業界標準になったセントロニクスI/F 消え去ったI/F史 -
第758回
PC
モデムをつなぐのに必要だったRS-232-CというシリアルI/F 消え去ったI/F史 - この連載の一覧へ