電車内で最も好ましい音質
AirPods Pro本体でのステムを用いたモード切り替えは「外部音取り込みモード」→「適応型モード」→「ノイズキャンセリングモード」の3つに増えると切り替えが煩わしいが、慣れれば「適応型モード」→「ノイズキャンセリングモード」だけで良いように個人的には思う。もう少しいうと電車の車内でも「適応型モード」だけでも特に問題はないように思う。ただし静かなレストランなどにいるとBGMを遮断したいことがあり、「適応型モード」ではBGMも普通に聞こえてしまうため、その時にはやはり「ノイズキャンセリングモード」が必要となる。
また面白いことに仕組みはわからないけれども電車内で第2世代AirPods Proの音が一番好ましく聞こえるのは「適応型モード」の時で、ノイズコントロールオフや「ノイズキャンセリングモード」よりもいくぶん細部が明瞭に聞こえるように思える。「外部音取り込みモード」ではもちろんうるさくて音質どころではない。もしかするとノイズコントロールの際の振動板の動きの量にも関係するのかもしれない。
「外部音取り込みモード」と「ノイズキャンセリングモード」を自動で切り替えるという意味では「会話感知」の方がそれに近いと思う。
会話感知をオンに
会話感知をオンにすると自分で声を立てると自動的に「適応型モード」から「外部音取り込みモード」に変わり、黙ると数秒で元の適応型に戻る。室内で動画の会話を流してもそれを感知して切り替わるということはない。
「パーソナライズされた音量」については環境などに応じて音量を調節する機能だが、うるさいところから静かなところまで試したが、あまり極端な変化はないと思う。うるさい車内と静かなホームのベンチで同じ曲で比べても音量レベルはさほど変わらないように思える。あるいはわからないほど自然に調整しているのかもしれないが、この機能のアップルの説明は学習により変化するということなので、使用を重ねると変化するのかもしれない。
またiOS 17ではミュージックアプリにおいて曲と曲をクロスフェードして繋げて再生する機能も増えている。
面白いことに適応型モードをしばらく使用しているとイヤホンを装着しているのか、外しているのかという感覚が曖昧になるようにも感じた。アップルは6月にこれらの機能を導入する際に「パーソナルなオーディオ体験を再定義」と表現した。もしかすると「Apple Vision Pro」が空間コンピュータ・コンセプトで現実の見え方を再定義しようとしているように、アップルはAirPodsで現実の聞こえ方を再定義しようとしているのかもしれない。
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