筆者はどちらかというとAndroid派です。メインはAndroid、サブ機にiPhoneという使い分けをしており、Androidスマホは毎年買い替えているのですが、iPhoneは基本的にほぼ2年おきというスパンです。昨年iPhone 14 Pro Maxを買ったばかりなので、今年は見送る予定だったのですが、アップルの発表会を見て「今年は買いだ!」と180度方向転換したので、今年のiPhoneはなぜ買いなのかという理由を、独断と偏見でお伝えします。
◆その1 USB Type-CでiPhoneに最大の転換期到来
コネクターがこれまでのLightningからUSB Type-Cになりました。これはかなり大きいです。これまでアップルは初代iPhoneからDockケーブル、2012年のiPhone 5でLightningケーブルに変更しましたが、一貫して独自規格で通してきました。EUの規定(モバイル機器は充電端子にUSB Type-Cを採用せよ)もありますが、ついに牙城が崩れ、広く使われているUSB Type-Cになったのですから、これは歴史的瞬間です。個人的にはLightningでもとくに問題ありませんでしたが、最近ずっとコンサバだったiPhoneが大きく動いたというところに価値があるのです。たとえるなら、ポルシェの911が空冷から水冷になったときのような衝撃でした。伝統の空冷を捨てるのか!? みたいな。
iPhone 15シリーズはiPhone史に確実に刻まれるモデル。これだけでもすでに買う意味はあるでしょう。ケーブルが1本で済むとか転送や充電速度が上がるというのは二の次です。単純に快適になるのは、うれCですけどね。
◆その2 同じUSBでもスペックが違うのでProがイイ
USB Type-Cに変わって、端子は横並びになるのかと思いきや、なんと無印は「USB 2」と書いてあります。これだと、ただ端子がUSB Type-Cに変わっただけで、Lightningと大差ありません。まだ仕様がわからないのでなんとも言えませんが、転送速度も充電速度も変わらない可能性があります(USB 2の最大転送速度は480Mbps)。
逆にiPhone 15 Pro/Pro MaxはUSB 3と書いてあります。USB 3には様々な仕様がありますが、最大転送速度が10Gbpsのようなので、おそらくはUSB 3.1か3.2のGen2でしょう。USB 2とUSB 3では性能が大幅に変わるので、どうせ買うなら転送速度が速いUSB 3を搭載したiPhone 15 Pro/Pro Maxをオススメします。USB 2の場合、ファイルを転送するだけならAir Dropのほうが速いかもしれません。
◆その3 チタン採用で軽くなった
iPhone 15 Pro/Pro Max限定にはなりますが、本体の素材にチタンが採用されて約20g軽くなったとか。最近のスマホはレンズのが増えたりバッテリー容量があがって、全体的にスマホは増量傾向にあります。中には数g軽くしているモデルもありますが20g軽量化はなかなかありません。筆者のiPhone 14 Pro Maxは240gでケースが59gですから、現在300g近い重さになっています。iPhone 15 Pro Maxは221gなのでケース込みでも280gで済むのです。iPhone 15 Proも187gと、前モデルと比べて約20g軽くなっています(どちらも正確には19g軽量化)。スマホは軽ければ軽いほどいいので、買う理由には十分なりますね。無印iPhoneやAndroidスマホにももっと軽いモデルはありますが、最上位モデルのPro/Pro Maxが大幅に軽量化されたことに価値があるのです。
ちなみに、20gはどのくらいの重さかというと、卵の卵黄がちょうど20gだそうですよ。
あとチタンといえば、クルマ好きならマフラーやシフトノブを思い出すかと思います。チタン製で青く焼けたマフラー、憧れますよね。そんなチタンが手に持てるとか、これは所有欲が満たされますよ。クルマ好き的にもこのチタン素材だけで今回のiPhone 15 Pro/Pro Maxは買う価値アリです! 筆者はチタンの素材感を見たいので、ナチュラルチタニウム一択です!
◆その4 消音スイッチがアクションボタンに!
USB Type-C採用と並んで、今回で大きく変わったポイントがこのアクションボタンです。初期iPhoneから連綿と受け継がれてきた消音ボタンがついに廃止になりました。というか、ぶっちゃけ使ってました? 筆者は最初にサイレントモードに切り替えて、そこから売却するまでいじった記憶がありません(これまで買ったモデルで)。正直、ホームボタンなくすなら消音ボタンなくしたほうが良くない? とも思っていたくらいなのでこれは朗報です。
アクションボタンとは、特定の動作を割り当てて、たとえばワンタッチでカメラを起動できたりするもの。これ、Androidスマホだと採用しているメーカーはいくつかあるので珍しくはないのですが、iPhoneの場合はDynamic Islandと連動したり、ボタンにハプティックフィードバックを採用したりと、ならではの機能が搭載されるようです。もちろん、従来通り消音にも使えますが、やっぱりカメラやメモをサクっと起動させたいところです。
◆その5 実はものすごくは高くない本体価格
物価上昇に加えて円安で、世の中なんでも値上げ傾向にあると錯覚しがちですが、実はiPhoneは値上げをしていません。筆者がいつも買っている最上位モデルで確認すると、新モデルのiPhone 15 Pro Maxの256GBは1199ドルで日本円で18万9800円。前モデルのiPhone 14 Pro Maxの256GBは1199ドル、日本円で17万9800円でした。おそらく為替の問題でしょうが、1万円の値上げに収まっています。参考までに、iPhone 13 Pro Maxは1199ドル、iPhone 12 Pro MaxとiPhone 11 Pro Maxは1099ドルでした。
そう、実はここ数年アップルは価格据え置きなのです(ドルベースですが)。むしろ日本の円安に配慮している感すらあります。日本は世界で2番目にiPhoneが売れている国ですからね。これだけ性能アップしていて、価格は据え置きなんだから、iPhone 15 Pro(主にPro Max)は非常にコスパがいいと思います。あとiPhoneはリセールバリューもいいので、たとえば前モデルを売ればそんなに大きな支出なく新モデルが買えますからね。
◆【まとめ】歴史的価値からもiPhone 15は買いと言える
筆者は基本的にAndroidユーザーなので、今さらSoCがどうの、カメラがどうのではiPhoneの購買欲は沸きません。Androidのハイエンドモデルはそういった性能でしのぎを削ってますからね。しかし、今回は違います。iPhoneのアイデンティティーともいえたLightning端子と消音スイッチがなくなったのです。そして、本体の素材もチタンという非常に頑丈なマテリアルを選びました。デザインは代わり映えしないしカラバリも地味ですが、USB Type-Cとアクションボタンの採用は歴史的第一歩、分水嶺だと見ます。
EUに言われたから無理矢理……という見方もできなくはありませんが、久々に新しい挑戦をしたアップルに敬意を表して、普段はスペックの数値でしか選ばない筆者が、今年はスペック以外の部分を理由にiPhone 15 Pro Maxを買いたいと思います。
ということで、来年は買わないと宣言しておきますが、どうなるでしょうか。
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