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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第839回

「iPhone 15 Pro Max」の5x望遠カメラは予想以上に猫撮り向けだ

2023年10月25日 12時00分更新

文● 荻窪 圭/猫写真家 編集●ASCII

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5x(5倍)望遠カメラに、さらにデジタルズームをかけて10x(10倍)で撮ったキジトラ。思ったよりクオリティが高くて、ついトップ写真に使ってしまった。2023年10月 アップル iPhone 15 Pro Max

 とある造園会社によく猫がいると聞いていたので、出会えないものかと何度か探しに行ってみたが、まだ会えたことがないのである。先日、全然関係ない場所で偶然その造園会社の方と話をする機会があり、聞いてみると、冬になると木を育ててる温室に入って寝てることもあるんですよという。広い敷地でさまざまな樹木を育てており、猫的にはとても遊びやすくて、隠れるところもあっていい場所なのだろう。

 何度か近くを探したのだけど、会えたことがないんですと言うと、「猫って探すと会えないんですよね」と、いきなり真髄を突いてくれた。まさにそのとおり。

 でも、もしやこれはフラグではないかと、帰宅時にいささか遠回りしてその造園会社へ向かってみると……、いました。陰からこっそり顔を出してました。

隙間からひょっこり顔を出したハチワレと遭遇。やっと会えた。2023年10月 アップル iPhone 15 Pro Max

 こういうとき、とっさに取り出せて、しかも望遠カメラを内蔵した「iPhone 15 Pro Max」はありがたい存在なのだ。iPhoneでは、はじめて望遠カメラが5倍に。35mm判換算で言うと、120mm相当と本格的な望遠カメラを搭載してくれたのである。

 というわけで、今回のテーマは、iPhone 15 Pro Maxを持って外に出よう、である。

 そして、当然、猫AFは効く。猫をある程度の大きさで見つけると、画面に「f」アイコンが出て、自動的に前後がボケる「ポートレート」仕様で撮ってくれるようになったのだ。

「iPhone 15 Pro Max」の5xカメラで猫を捉えたの図。右下に「f」と表示されていれば、「ポートレート」仕様で撮影してくれる。

 すると、こんな感じで背景がきれいにボケた写真が撮れる。それも、ボケにくい距離の被写体だと少ししかボケないなど、ちゃんと計算されてるので、あまり不自然にならないのだ。なかなかえらい。

ちょこんと座って、こっちをじーっと見つめる神社猫。丸っこい感じがなんともかわいい。背景をちょっとぼかすことで、猫がはっきりと見えるのだ。2023年10月 アップル iPhone 15 Pro Max

 では、iPhone 15 Pro Maxを持って猫散歩である。

 とある駐車場の前を通りがかると、ど真ん中で、どてーーーっと寝てるキジトラを発見。近くに自転車を止め、そーっと近づいて5x(5倍)望遠で撮る。

 これは、ポートレート機能を使って背景を大きくぼかしたのがミソ。2匹いたのだけど、手前の1匹だけを目立たせると同時に、ぼかしたおかげで後ろに止まってる車のナンバーがボケて読めなくなってるのだ。

 このように公表する写真だと、人の顔や車のナンバーはモザイクをかけるか、大きくボカして特定できないようにしているのだけど、ポートレート機能はそんなときも役立つわけだ。

駐車場の真ん中で、ぐでーっと寝てる猫を発見。急に近づいて逃げられても嫌なので、まずは遠くから。奥には黒猫も見える。2023年10月 アップル iPhone 15 Pro Max

 ごろんと転がってるキジトラ、目が合っても動じないので、そっと近づいてみる。でも、動じない。あまりに寝姿が堂々としてるので、これは猫目線で撮らねば、と這いつくばってスマホを構える。

 そして、5xから、さらにぐぐっとズームアップして撮ったのが冒頭写真だ。270mm相当にしてこのクオリティなら使える!

 実はこのキジトラ、ものすごく人に慣れてたようで、しゃがんでじっと見てたら、こいつは敵意を感じないから大丈夫と思ったのか、むくりと起き上がり、とことこと歩いてくるではないか。慌ててカメラを「1x」に切り替え、指を差し出して、こっちへおいでと誘導しようとしたら、無視してずんずんと来る。

いきなりこっちへ歩いてきたので、指を差し出したのに無視されたの図。2023年10月 アップル iPhone 15 Pro Max

 指を無視して足元へ来て、何がしたいんだおまえは、と思ったら、なんと私の靴で爪を研いでいるではないか、おい。

いきなり人の足元に来て、爪を研ぎ始める猫ってはじめて見たー。人懐こいにも程がある。2023年10月 アップル iPhone 15 Pro Max

 人懐こくて、近寄ってくる猫はよくいるけど、人の靴で爪を研ぎ始めるやつは、はじめてだ。そして、さすがにそこで爪は研がないでね、と首筋を撫でてやったら、気持ちよさそうに大あくびをしたのであった。

めっちゃ気持ちよさげな大あくび。しかも、「ポートレート」モードなので、背景がいい感じにボケてくれた。スマホで撮ったとは思えない。2023年10月 アップル iPhone 15 Pro Max

 つまり、スマホ1台で、広角から望遠まで自在に猫を撮れる時代がやってきたのだ。しかも、広角でも望遠でもいい感じに背景をぼかすことができて、今までのスマホ写真とはひと味違う仕上がりが期待できる。すごいよねえ。

 実際に猫を撮ってみると、iPhone 15 ProやiPhone 14 Pro/Pro Maxが搭載していた3x望遠カメラ(77mm相当)と、今回、iPhone 15 Pro Maxが搭載した5x望遠カメラ(120mm相当)って、ずいぶん違う。3xから5xになることでここまで差が出るのか、というくらい撮影の幅がグッと広がったのだ。

 円安が吹き荒れる中、無理してPro Maxを選んでよかったなと思った次第である。

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筆者紹介─荻窪 圭

 
著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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