新規作成フォルダの名前を日付時間にする
標準では、新規フォルダを作成すると「新しいフォルダー」というデフォルトの名前がつく。これを現在の日付/時刻からなる名前に変更する方法を解説することで、ShellNewの機能をみていくことにしよう。
新規フォルダ作成の動作は、HKCRのFolderキー(HKEY_CLASSES_ROOT\Folder)にあるShellNewに登録されている。標準状態では、ここに名前「Directory」が登録されていて、新規ディレクトリを作成するようになっている。
これを削除するか、名前を変えて(たとえば、「xDirectory」など)、新規に「Command」を文字列タイプで作成する。値には、以下のリストのコマンドを指定する。
conhost.exe powershell.exe -WindowStyle Hidden -noprofile -nologo -command "&{New-Item $(join-path -path (split-path $args[0] -parent) -childpath (get-date -Format 'yyyyMMdd-HHmmss-ff')) -ItemType Directory}" '%1'
コマンドを簡単に説明しておこう。先頭にあるconhost.exeは、PowerShell.exeをWindows Terminalではなく旧コンソールで表示させるもの。旧コンソールで表示させることで、PowerShellの起動オプションである「-WindowStyle Hidden」が有効になり、コンソールウィンドウを隠すことができるようになる。
「-noprofile -nologo」は、プロファイルの読み込みなどを禁止し、ロゴ表示を抑制するもの。わずかだが起動時間を短縮できる。
「 -command」以下のダブルクオートで囲まれた部分がPowerShell.exeで実行されるコマンドである。この部分は、PowerShellではなく、WindowsのAPIで管理されるため、全体をダブルクオートで囲み先頭に「&」を置いて、中にスクリプトブロック(「{」と「}」で囲まれた部分)を置く。この中は、通常のWindows PowerShellのコマンドである。先頭のjoin-pathは、作成するディレクトリのフルパスを合成して作るためのもの。フルパスのうち親パス側は「-path」以下、ディレクトリ名は「-childpath」以下にある。
Windows側からの引数は、「$args[0]」でアクセスする。フォルダの新規作成用に指定されるフルパスには、末尾に「新しいフォルダー」という標準のフォルダ名があるため、これをsplit-pathで落とし、親パスのみを取得したら、日付文字列をget-dateコマンドとフォーマット演算子(-Format)でディレクトリ名にふさわしい形式にする。
なお、「yyyyMMdd-HHmmss-ff」を書き換えることで作られる日付時刻を含むディレクトリ名を変更することも可能だ。ここでは、10ミリ秒(「ff」)まで含めているので、連続して作成しても名前が重複する可能性はないはずだ。
もし、もう少し複雑なコマンドを実行したければ、スクリプトを作って、それを起動させるといいだろう。その場合、commandには、以下のようなものを登録する。
powershell.exe -file "<スクリプトのパス>" "%1"
この状態だと、スクリプトを実行するウィンドウが表示される。スクリプト内で、read-hostコマンドなどで実行を止めてコンソール出力を見ることができる。スクリプトが完成したら、上記リストの先頭部分を使って、コンソールウィンドウを隠して実行する。最初からスクリプトが正しく動作するとは限らないのが普通なので、デバッグが終わるまではコンソールウィンドウを表示したままにする。
フォルダーの新規作成のデフォルト値を日付時刻に変更するだけでも、ファイル管理が効率化する。特に、大量のファイルを整理しようというとき、重複せず、作成順に並ぶフォルダを簡単に作れるのは便利だ。

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