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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第98回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 8月26日~9月1日

生成AIの“次”に来る技術トレンド、製造部門の8割超でサポート切れOS、CentOS移行先問題は続く、ほか

2023年09月04日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

今回(2023年8月26日~9月1日)は、今後利用したいLinux OS、デジタルな仕事環境技術のトレンドサイクル、急伸する国内の画像認識市場、製造業へのサイバー攻撃とセキュリティ対策の実情、大規模災害に対する意識変化についてのデータを紹介します。

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2023年8月26日~9月1日)は、今後利用したいLinux OS、デジタルな仕事環境技術のトレンドサイクル、急伸する国内の画像認識市場、製造業へのサイバー攻撃とセキュリティ対策の実情、大規模災害に対する意識変化についてのデータを紹介します。

■[Linux]利用したいLinux OSは「AlmaLinux」がトップ堅守、前回2位の「Rocky Linux」は激減(8月24日、デージーネット)
・今後利用したいLinux OSは「AlmaLinux」(26%)がトップ
・「Rocky Linux」は前回20%から3%に大幅減少
・「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」は17%から24%に増加

 7月27日に同社が開催したLinux OS関連セミナー参加者87人を対象に、今後利用したいLinuxについてたずねた。2022年調査と同様に、今後利用したいLinuxは「AlmaLinux」が首位。ただしその比率は36%から26%に減少した。前回2位(20%)だった「Rocky Linux」も6%と減少。一方で「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」は前回の17%から24%に増加した。なお、2番目に多かった回答は「検討中」(26%)。利用者の多かった「CentOS 7」の公式サポート終了が迫っており、一方では6月にはRed HatによるRHELソースコードの公開停止が発表され、CentOSからの移行先を巡る混乱が続いている。

「今後利用したいLinux OS」2022年の結果(左)と2023年の結果(右)(出典:デージーネット)

■[トレンド]デジタルな仕事空間の技術トレンド、次は「空間コンピューティング」「人間中心のAI」(ガートナージャパン、8月28日)
・生成AI、DEM(デジタル体験モニタリング)などが「過度な期待のピーク期」
・メタバース、AR、MR、没入型ワークスペースなどは「幻滅期」入り
・「黎明期」に「空間コンピューティング」「人間中心のAI」など

 デジタルな仕事空間を支援する技術やトレンドの成熟状態を「日本におけるデジタル・ワークプレース・イノベーションのハイプ・サイクル:2023年」としてまとめた。「黎明期」には「空間コンピューティング」「人間中心のAI」などが、「過度な期待のピーク期」には、「生成AI」「DEM」「音声認識自動議事録作成ツール」などが入った。成熟までに5~10年を要する技術がある一方で、生成AI、リアルタイム音声翻訳サービス、DEX、空間コンピューティングなどは急速に浸透しており、今後2~5年で成熟するものも多くあるとしている。

日本におけるデジタル・ワークプレース・イノベーションのハイプ・サイクル。生成AIは「過度な期待のピーク期」と位置付けている(出典:ガートナージャパン)

■[AI][画像認識]2022年の画像認識市場は前年度比32%増、2023年も同レベルの成長を予想(アイ・ティ・アール、8月29日)
・2022年度の画像認識市場規模は93億円、前年度比32%増
・医療、自動運転、セキュリティ監視などの分野で活用進む
・2023年度は前年度比33%増の見込み

 画像認識市場は2022年度、前年度比32.9%増加の93億円規模に到達した。医療、自動運転、セキュリティ監視など、さまざまな産業分野で活用が進んでおり、ベンダーの参入も増加傾向にあるという。2023年も同様の傾向が続いており、市場はさらに33.3%拡大すると予想している。2022~2027年まではCAGR 29.6%で成長し、2027年には現在のおよそ3倍、340億円規模に達すると見ている。

画像認識市場規模(2021年、2022年)と予測(2023年以降)(出典:ITR)

■[セキュリティ]過去1年以内にサイバー攻撃を受けた製造業は68%、サポート切れのOSを使う製造部門は83%(8月29日、BlackBerry Japan)
・国内製造業の68%が過去1年以内にサイバー攻撃を経験
・83%の製造部門がサポート対象外のレガシーOSを使用
・61%が「ITインフラよりもOTのセキュリティ対策が困難」

 国内250人を含む製造業のIT意思決定者1500人を対象とした「BlackBerry製造業サイバーセキュリティ調査」より。国内製造業の68%が「過去1年以内にサイバー攻撃を受けた経験がある」と回答した一方で、国内製造部門の83%においてサポート切れのOSが稼働していることもわかった。国内回答者の72%(世界は75%)が国家によるサイバー攻撃を、また57%(世界は65%)はスパイ活動への懸念を示している。全体の61%は「ITよりもOTのセキュリティ対策のほうが困難」と考えている。

OTインフラで懸念するサイバーセキュリティ脅威(出典:BlackBerry Japan)

稼働しているOSを聞いたところ、サポート切れのOSが使われていることがわかった(出典:BlackBerry Japan)

■[生活]災害情報の入手は7割が地上波でSNSは13%、地震保険の加入率は3割弱に(ビデオリサーチ、8月24日)
・防災情報の入手経路「地上波民放テレビ」が最多の70%
・「ブログやSNS」は13%、2014年から6ポイント増加
・地震保険加入率は28.2%に

 9月1日の防災の日にちなみ、全国12~69歳の男女1万1000人近くを対象に「防災意識の変化」について調べた。災害情報の入手経路としては、テレビメディア(「地上波民放」70.3%、「地上波NHK」41.1%)が多いが、「ブログやSNS」も13.5%と、前回(2014年)から6ポイントアップしている。特に「女性・50代」では10ポイント増加するなど、40~50代で「ブログやSNS」の回答が増えている。この10年間で震度5弱以上の地震は120回発生しており、地震保険の加入率も前回比5ポイント増の28.2%となっている。

災害情報、事件、事故情報の入手経路(出典:ビデオリサーチ)

震度5弱以上の地震発生回数 ※気象庁「震度データベース検索」のデータを元に加工(出典:ビデオリサーチ)

地震保険の加入率は28.2%、2014年の23.5%から5.3ポイント増えた(出典:ビデオリサーチ)

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