連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第96回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 8月16日~8月18日
今後1年で「どこでも生成AI」に、喫煙者の離席時間は平均10分、メール認証技術では脅威を阻止できない? ほか
2023年08月21日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2023年8月16日~8月18日)は、2023年上半期の家電小売市場動向、生成AIや空間コンピューティングといった未来指向型技術トレンドのハイプ・サイクル、国内のハイブリッドワーク実施状況、オフィスにおける喫煙者の意識、フィッシング脅威の現状についてのデータを紹介します。
■[家電]2023年上半期の家電市場は前年比3%減の約3.4兆円、PCは4%減/タブレット2%減(GfK Japan、8月17日)
・2023年上半期の家電小売市場は約3.4兆円、前年比3%減
・PCは前年比4%減、タブレットは同2%減
・前年同期の規模を上回ったカテゴリは「カメラ関連」のみ
全国の有力家電・IT取扱店の販売実績データから2023年上半期(1~6月)の家電およびIT市場の販売動向を割り出した。同期、家電小売市場は前年比3.7%減の約3.4兆円。巣ごもり消費で伸びた2021年上半期から、2年連続での減少に。観光やイベントの再開により、カメラ関連のみが前年同期の規模を上回った。薄型TVは前年比16%の220万台。携帯電話は同13%減の1340万台で、そのうちスマートフォンは同13%減、フィーチャーフォンは14%減。ウェラブル端末も同6%減の160万本となったが、そのうちフィットネストラッカーは前年比2割増となった。
■[トレンド]生成AIは「過度な期待のピーク期」に(ガートナージャパン、8月17日)
・生成AIと分散型アイデンティティは「過度な期待」のピーク期に
・2022年に「過度な期待」のピーク期だったメタバース、Web3などは幻滅期に
・今後12ヶ月以内に生成AIの組み込みが進み「どこでも生成AI」状態に
企業にとって重要なテクノロジートレンド40項目を取り上げた「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2023年」より。新たに9項目(生成AI、分散型アイデンティティ、サステナビリティ管理ソリューション、デジタル免疫システム、LLMプラットフォーム・サービス、ポスト量子暗号、空間コンピューティング、量子機械学習、商用核融合炉)が追加された。中でも生成AIは、今後12カ月以内にほとんどのテクノロジ製品/サービスに組み込まれ「どこでも生成AI」状況になると予想している。
■[働き方]ハイブリッドワークを実施している企業は33%、自動化テクノロジーの導入率は50%に満たず(IDC Japan、8月17日)
・ハイブリッドワーク(柔軟な働き方)ができている企業は33%
・柔軟な働き方ができているのはサービス業で41%、柔軟ではないのは流通
・自動化テクノロジーの導入は全項目で50%を下回る
従業員数100人以上の企業に勤務する国内980人の意思決定者を対象にした「Future of Workstyle(働き方の未来)」に関する動向調査より。データのバックアップ、経費/旅費精算など15項目以上について自動化テクノロジーの導入状況をたずねたところ、導入率が5割に達したものはなかった。またハイブリッドワーク(柔軟な働き方)の実施状況について、「非常に柔軟」と「かなり柔軟」の合計は33.4%。サービス業はその合計が41.7%と最も高かった。一方で「あまり柔軟ではない」と「柔軟ではない」の合計は28.1%。その合計が最も高かったのは流通業で35.9%だった。
■[生活]喫煙者の69%が勤務中の喫煙休憩に「後ろめたさを抱いている」、平均離席時間は約10分(BATジャパン、8月17日)
・1回の喫煙でデスクを離れる平均離席時間は「9分48秒」
・次に多いのは6分未満
・喫煙者の69%が勤務中喫煙休憩に対して「後ろめたさを抱いている」
東京23区内のオフィスビルに勤務する喫煙者750名への意識調査。喫煙のために席を立ってから業務に戻るまでの具体的な時間を調査し、加重平均で算出したところ、平均離席時間は「9分48秒間」となった。勤務中の喫煙休憩について、非喫煙者に後ろめたさを感じるかという質問については69%が「感じる」「どちらとも言えない」と回答、「感じない」は31%だった。
■[セキュリティ]フィッシング詐欺で最もなりすましに利用されているブランド「Microsoft」(Cloudflare、8月17日)
・フィッシング脅威のカテゴリ1位は「悪意あるリンク」(35%)
・個人情報を詐取する脅威は14%、前年の10%から増加
・なりすましに利用されたブランドは「Microsoft」
同社が2022年5月~2023年5月に処理した約130億通のメールについて、脅威を分析した「フィッシング脅威レポート2023」より。検出された脅威のうち最も多かったのは「悪意のあるリンク」(35.6%)、次いで「新規に登録されたドメイン」(30%)。攻撃者は1000社以上の組織偽装、10億回以上のブランド偽装を試みており、そのうち51.7%が20の有名ブランドのいずれかを騙っていた。最も悪用されたのは「Microsoft」で、「Google」「Salesforce」「Notion」なども多かった。また迷惑メールの89%がSPF、DKIM、DMARCの認証チェックを通過しており、「メール認証技術では脅威を阻止できない」としている。
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