最新ユーザー事例探求 第56回
社内向けのBIから社外向け「Yappli CRM」まで、primeNumber「trocco」採用でビジネスを加速
ノーコードアプリ基盤のYappli、そのデータ活用拡大を支えるのは「頑丈なtrocco」だった?
2023年07月14日 09時00分更新
社外向け活用:ログデータやダッシュボードの提供、CRMの新サービスにも展開
上述した社内のビジネスデータ可視化プロジェクトと並行して、社外向けのデータ活用サービス立ち上げプロジェクトも動いていた。その結果、誕生したのが「Yappli Data Hub」だ。
Yappli Data Hubは、Yappliを使ってアプリを開発/公開している顧客企業に対して、エンドユーザーの行動ログやイベントログ、属性データを提供するサービスである。顧客側のニーズに応じて、データそのものの提供、顧客システムとの連携、ダッシュボードによる可視化という形で提供する。
データ提供およびシステム連携のサービスは2020年7月にリリースできたものの、ダッシュボードでの可視化についてはBigQuery上でデータマートの作成が必要だったため、ここにtroccoを適用することになった。その結果、半年後の2021年1月にはダッシュボードの提供も可能になった。
「アプリログをBigQueryに入れて、データマートを作りながらお客様のニーズに合ったダッシュボードを提供する、あるいは扱いやすい形に成形してからデータを提供するといったサービスを提供したかったわけですが、troccoに出会ったことでこれらが実現できました」(古屋氏)
そして、さらに深いアプリログ活用を目指すサービスがYappli CRMだ。こちらのアプリログ連携でももちろんtroccoが活用されており、今後はさらに活用の幅を広げていきたいという。
「たとえば、お客様から提供いただいた会員ユーザーの購買データをCRMに取り込めば『最後に買い物したのはいつ』『最後に買った商品はこれ』といった情報が表示できます。ただし、そうした購買データの形式はお客様ごとに違うので、そこにtroccoを適用して取り込むことを考えています。さらに、CRMに蓄積されているデータを分析、可視化していくことにも取り組んでいます」(阿部氏)
顧客企業が持つデータの形式は、Yappli自身が持つアプリログとは違ってさまざまな形になっている。そこにtroccoを適用することで、“小回りの利く”データ活用が実現できる。
簡単に使えるtroccoは「データ活用仲間を作りやすいツール」
SaaS型のETL/ELTツールは数多くあり、実際にヤプリでも複数のツールを比較検討したという。その中からtroccoを採用した理由は何なのか。
「ツール選定の要件は『誰でも簡単に使えること』でした。わたしや古屋だけでなく、ビジネス部門のユーザーでも直感的に使えることが大事でした」(阿部氏)
それまでは、社内のデータを活用したいと思えば阿部氏か古屋氏に作業を依頼する必要があった。それは時間がかかるうえに、さまざまな角度からデータを分析して試行錯誤するインサイトの深掘りもできなかった。
「データを分析して課題を発見したら、分析方法を変えてさらに深掘りしたくなりますよね。課題を感じた人自身で変えられるのが一番理想ですし、生産性も高いはず。そういう環境を作ろうとtroccoを導入して、ちょっとずつ“データ活用の仲間”を増やしていった感じです。そうした仲間を作るうえでも、非エンジニアに優しいツールが欲しいなと思っていました」(古屋氏)
阿部氏は、最近「データの民主化」という言葉がよく聞かれるようになったが、「ビジネスユーザーも含めてSQLクエリを書けるようにする」ようなことを求められると、実現は難しいと指摘する。「troccoは、そのあたりを突破できるツールだと認識しています」(阿部氏)。
ヤプリ社内では現在8名がtroccoを使い、業務アプリからのデータ取り込みなどを自ら設定しているという。阿部氏を含むデータサイエンティスト3名のほか、Yappli CRMのチームで3名、さらにカスタマーサクセス部門、マーケティング部門に1名ずつという構成だ。
「国産ツールで日本語表示がわかりやすいということもありますが、こちらから社内ユーザーに使い方を教えたり、トレーニングしたりといったこともなく、みんなふつうにtroccoを使えています。『使っているうちに自然と使い方がわかる』ような感じで、それはすごいですね」(阿部氏)
「言い方は悪いですけど『勝手に使っている』状態(笑)。Yappli CRMのほうでのtrocco活用はCRMチームにお任せしているのですが、気がつけばtroccoの転送量の半分をCRMが占めるようになっていました」(古屋氏)
「頑丈」で「寡黙にゴトゴト動いてくれる」troccoがビジネス拡大を支える
阿部氏は、troccoのスケーラビリティを高く評価しているという。重い荷物を運ぶ現実のトロッコになぞらえて、こうコメントした。
「troccoはめちゃくちゃ『頑丈』なんです。Yappliの場合、お客様のアプリがたくさんあるので、そのぶんデータ転送も多数発生するのですが、これを毎日実行しても失敗がほぼなくて。たまに失敗しても、もう1回ボタンを押せばふつうに動きますし、スケールが大きくなっても全然へこたれない。プラットフォームが飛躍的に大きくなっても、今のところ問題なく対応できているのが驚きです。まさに石炭を運ぶトロッコのように、寡黙にゴトゴト動いてくれるイメージですね」(阿部氏)
これに加えて、troccoが転送に対応するアプリやデータの種類が急速に増えている点も評価していると語った。実際導入後に、ヤプリとして使いたかったデータに対応したケースもあったという。
古屋氏は、primeNumberの企業ミッションである「あらゆるデータをビジネスの力に変えていく」を現実化したひとつの例が、まさにヤプリにおけるtrocco活用ではないかと語った。
「社内向けでは、非効率なものをできるだけ削減して生産性を上げ、ちゃんと本業に注力するのがポイント。一方、社外向けでは、お客様が望まれるデータ利活用の形に合わせてアプリデータやダッシュボードをサービス提供する。この2軸が実現できたのは、primeNumberさんのtroccoに出会ったからですし、結果的にヤプリのビジネスにも還元できたと考えています」(古屋氏)
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