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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第203回

MMCXや2pin対応のイヤホンをワイヤレス化できる、Bluetoothアダプター

両耳に高性能DAPを入れる感覚、iFi audio「GO pod」を試す

2023年07月09日 09時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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GO pod

GO podの装着例

 4月に開催された「春のヘッドフォン祭」に合わせて、iFi audioのBleutoothアダプター「GO pod」の国内発売が発表された。そのときはFitEar MHシリーズ製品とのバンドル販売のみとされていたが、単体販売が決定した。7月7日に発売済で、価格は5万9400円だ。FitEar MHシリーズとのバンドルは終了する。ちなみにバンドル版を先行販売するのは海外と同様で、まずはハイエンドのイヤホンと組み合わせた状態で音を確かめてほしいという意気込みを表しているようだ。

 GO podは、有線イヤホンを完全ワイヤレスイヤホン化できる製品だ。手持ちの有線イヤフォンのケーブルを外し、イヤーループでつなぐことになる。イヤー・ループは交換式で、2ピン端子でアダプターに差し込む形式になっている。MMCX、IEM 2pinの2種類の端子に対応するイヤー・ループが標準で付属しているので、使用できるイヤホンの選択肢が広い。ケーブル交換ができないイヤホンでは使用できないが、GO podは基本的に高性能イヤホンとの組み合わせを想定してるので、あまり問題にはならないだろう。なお、Pentaconn、T2、A2DCの端子を備えたイヤー・ループも販売する予定としている。

多彩な高音質コーデック、アンプとDACは独立仕様

 GO podは、ハイエンドイヤホン向けのBluetoothアダプターと言える。実際にGO podは高音質設計が徹底されている。通常の安価なワイヤレスアダプターであれば、Bluetoothチップメーカーが用意する汎用のSoCをそのまま利用するが、GO podは独立したシーラス・ロジック製のDAC ICや独自設計のアンプ回路を搭載する。つまり、小さなDAPが中に入っているようなものだが、アンプ回路の設計がバランス構成になっている点には驚かされる。

GO pod

 また、GO podでは装着したイヤホンのインピーダンスを自動検知し、16Ω/32Ω/64Ω/300Ωの4段階に分けて、それぞれ最適なパワーで鳴らすという。iFI audioの独自技術「IE Match」に由来する機能だろうか。いずれにせよ、かなり凝った設計がなされている。

 また、GO podではワイヤレスイヤホンとしての機能も充実している。クアルコムのハイクラスSoC「QCC5144」を採用し、主要なBluetoothコーデックに加え、LDACやLHDC、aptX HDなどのハイレゾ系のコーデックにも対応している。LHDCは日本オーディオ協会のハイレゾワイヤレスロゴを取得したコーデックだ。GO podは「Snapdragon Sound」の認証も受けている。

 ここでのポイントは、クアルコムのSoCを使用しているのに、LDACやLHDCにも対応している点だ。これはQCC5100シリーズが持つ、SoCのライブラリー拡張機能を使用し、ソフトウェアで実現しているのだと考えられる。クアルコムのTrueWireless Mirroringに対応し、左右独立の伝送ができる。

 GO podには専用アプリが用意されていて、デジタルフィルターの選択ができる。選べる中では「Phase CompensationFilter(位相補償フィルター)」が音質的に優れている。また、「低遅延モード」も用意されている。ハイエンドイヤホンでゲームをしたいという人も増えている。

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