現代劇+『ザナドゥ』の融合から生まれた日本ファルコムの挑戦作
アオハルな気持ちがよみがえる!?Switch版『東亰ザナドゥ eX+』は若い人もかつて若かった人も遊んでほしい快作
日本ファルコムが2023年6月29日にNintendo Switch向けに発売した都市型神話アクションRPG『東亰ザナドゥ eX+ for Nintendo Switch』。本作は2015年に日本ファルコムが初めて現代を舞台にした作品としてPlayStation Vita向けに発売した『東亰ザナドゥ』に、ストーリーやクエスト、より遊びやすくなる機能などを追加して2016年にPS4向けに発売した『eX+』のNintendo Switch移植作。
もともと携帯機で発売されたタイトルだけに、据え置き機としても携帯機としても遊べるNintendo Switchとの相性は抜群! しかも遊び込める要素も盛りだくさんで、まさに大型連休に遊ぶのにも最適なタイトルとなっている。ここでは、本作を遊んだことのない人向けに、その魅力をお届けしていこう。
「東亰ザナドゥeX+ for Nintendo Switch」デモムービー
『ザナドゥ』との関係は?
アスキー読者の中には『ザナドゥ』という名前を聞いて懐かしい! と思った人もいるだろう。『ザナドゥ』は1985年に日本ファルコムがPC向けに発売したアクションRPG。まだカオスだった時代のPC市場で、40万本のヒットを飛ばした化け物タイトルだ。
本作はタイトルに「ザナドゥ」と付いているものの、ダンジョンを探索するという部分以外はまったくシステムが異なっている。もとの『ザナドゥ』を挫折してしまった人、また、そもそも『ザナドゥ』を知らない人でも安心して楽しめる。
その日、“日常”に穴が空いた――
現実世界と《異界》、2つの世界で展開する物語
本作の物語は、ひょんなことからグリードと呼ばれる怪異の存在する異空間《異界》にまつわる事件に関わることになった主人公の男子高校生・時坂洸(ときさかこう)と仲間たちの活躍を描いている。
ゲームは複数の話で1つの大きな物語を描く形式となっており、ひとつの話の中で現実世界を探索して事件に迫るアドベンチャーパート→異界で怪異と戦うバトル(アクション)パート→事件解決となるボス戦という流れで進んでいく。
アドベンチャーパートでは物語の舞台となる杜宮市の各所を探索して、グリードにまつわる事件の調査をしていく。
仲間や学校関係者、そして町の住人たちとの交流をはじめ、ソウルデヴァイスと呼ばれる武器の強化や装具/アイテムの購入なども基本的にはここで行なう。
物語のテイストはジュブナイルもので、事件の起こる中で主人公の洸の成長を描きつつ、友情や葛藤、仲間たちとの絆などが語られる。ちょっと恥ずかしいセリフが飛び出したりもして、大人になった人はどこか懐かしく、リアルで若い人は主人公たちに共感できたり、ライトノベルを読んだりするような気分で楽しめるだろう。
個人的な印象だが、登場キャラクターはみな個性的だけれども、一部のゲームやラノベに見られるような行き過ぎた個性ではないので、ちょうどいい塩梅に感じた。プレイしたら、登場人物みんなが好きになれるのではないかと思う。
メインシナリオ以外にも、町の住人らから依頼をされるクエストや、仲間同士の好感度を上げられる絆イベントなど、ストーリーをより深く楽しめる要素も用意。
クエストでは報酬がもらえるうえに依頼者の人物像が深掘りされたり、絆イベントではその名の通り、仲間同士の絆が深まっていくのが感じられたり……。本作の世界にどっぷりと浸れる要素があるのもポイント高し。
それ以外の個人的な推しポイントは、ストーリーの進行にあわせて町の人々の会話が細かく変化していくこと。この会話の変化のおかげで、人々の生活がより身近に感じられる。「RPGはNPCとの会話も大切」と思ってる人はとくに注目してほしい。
なお、本作では各話の間にサイドストーリーが挿入される。ここでは本編の裏で起こっているもう1つの事件が描かれる。
これは『eX+』から追加された要素で、本編ではまだ登場していないキャラクターを操作することになったり、ダンジョンでは強力なグリードが出現したりする。
ASCII.jpの最新情報を購読しよう