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アップルのARグラス「Vision Pro」でスマホの次がハッキリ見えた! 「WWDC23」特集 第29回

15インチMacBook Airは「余裕たっぷりの画面サイズ」で実用度No.1

2023年07月07日 07時30分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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MacBook Air 15インチはキーボードの左右にスピーカーグリルはない

デザイン上の違いはスピーカーグリルの有無

 MacBook Proとの違いをもう1つ挙げるとすれば、キーボード左右のスピーカーグリルの有無だ。

 13インチモデルでは、ほぼ本体いっぱいにキーボードが配置されているため、スピーカーグリルがなくても不自然には感じられない。しかし15インチモデルでは、キーボード左右には、かなり大きなスペースが空いている。MacBook Proの14インチモデルの場合、その部分のスペースは、このMacBook Airの15インチモデルよりも狭いが、その部分はスピーカーグリルとして細かく穿孔されたデザインが採用されている。一方のMacBook Airの15インチにはグリルはなく、のっぺりとしている。

 この方がスッキリとしたデザインで好ましいと感じる人も少なくないだろう。ただしスピーカーグリルは飾りではなく、それなりの音響効果がある。15インチMacBook Airでは、スピーカー自体の音質は13インチモデルから大きく改善され、MacBook Proにかなり近づいたと言える。ただし、やはり音の出口となるスピーカーグリルがないことで、若干こもる感じがあり、MacBook Proに比べると音質がやや劣る印象は拭えない。

MacBook Air同士で基本スペックを比較する

 15インチサイズのMacBook Airの登場で、画面サイズのバリエーションでは、MacBook AirとMacBook Proがオーバーラップすることになり、選択の幅が広がったのは確かだ。しかしそれと同時に、どれを選ぶべきか決断するのが難しくなったのも間違いない。ここでは、話をMacBook Airに絞り、13インチと15インチ、どちらを選ぶべきかという難題を解決するヒントとして、両者の代表的なスペックを改めて比較しながら考察していこう。

 MacBook 13インチとMacBook 15インチを比較して、当然ながら大きく異なるのは内蔵ディスプレイの仕様だ。それにともなう本体サイズの増加はもちろんだが、容積の増加に合わせてバッテリー容量も増加している。また、それらとは直接関係ないと思われる部分では、すでに触れたように内蔵のスピーカーが改善されている。

MacBook Air 13インチと15インチ・主要スペック比較

 わずかながらでも変更があった部分をひと通り確認しておこう。まずApple Siliconチップ自体は、どちらもM2で変わらないが、内蔵GPUのスペックが微妙に違う。13インチモデルのGPUは、標準は8コアだが、+1万6000円のオプションで10コアに変更できたものが、15インチでは10コアが標準となった。13インチでも最初から10コアを装備するモデルもあったので、大きくは違わないが、15インチは13インチに比べると、わずかながら高性能志向だと言えるだろう。

 内蔵ディスプレイは、サイズが大きくなって、その分ピクセル解像度も13インチの2560×1664から2880×1864へと向上しているが、1インチあたりのピクセル数は、いずれも224で同じ。つまり単位面積あたりの情報量は同一ということになる。その他、表示色数や最大輝度、色域といった画質上のスペックも変わらない。実は、このディスプレイのスペックが、MacBook AirとMacBook Proが大きく異なる部分の1つなのだが、それについては後で改めて見ることにする。

 バッテリー容量は、13インチの52.6Whが、15インチでは66.5Whへと約26%も大きくなっている。にも関わらず、仕様上の最大持続時間は「ワイヤレスインターネット」で15時間、「ムービー再生」で18時間と、まったく変わらない。これでは、バッテリー容量の増加分は、大きくなった内蔵ディスプレイですべて消費されてしまっていることになる。なんだかがっかりするスペックだが、実際にはそんなこともないようで、使い方にもよるが、持続時間は伸びている。これについても後で確認しよう。

 スピーカーシステムは、13インチの4つから、15インチでは6つに増えていて、それだけでも音質は向上するだろうと期待できるが、それより重要なのは「フォースキャンセリングウーファ」を採用したことだ。これはすでにiMacやMacBook Proにも採用されているもので、2つのウーファを背中合わせに配置することで、ウーファユニット自体の余計な振動を抑えて、効率よく低音を再生しようというもの。この効果は絶大で、Macの起動音を聞いただけで、その有無を確実に判断できる。MacBook Airの場合、上で述べたようなデザイン上の制約もあるものの、このウーファが15インチモデルに導入されたのは大いに歓迎すべきことだ。

 本体サイズと重量については、上で述べたので、ここでは繰り返さない。

カスタマイズ範囲はMacBook Proに比べてかなり限られる

 上の表からも分かるように、MacBook Airでは、13インチでも15インチでも、メモリとストレージのオプションの範囲は同一だ。メモリは8、16、24のいずれか。ストレージは256GB、512GB、1TB、2TBのいずれかから選ぶ。同じモデルの中で、これだけ幅があれば十分なようにも思えるが、このカスタマイズ範囲をMacBook Proと比較すると、かなり大きな違いがあることに気付く。

MacBook AirとProのカスタマイズ可能スペックの違い

 まず大きく異なるのは、Apple SiliconのGPUのコア数だ。チップ自体のクラスも、MacBook AirとM2と、MacBook ProのM2 Pro、M2 Maxでは違いが大きいのは当たり前と思われるかもしれないが、CPUのコア数だけを比べると、最大1.5倍になっているだけで、それほど大きな違いはないように感じられる。1コアあたりの処理能力は、ほとんど変わらない。しかし、GPUのコア数はMacBook Airが最大10なのに対して、MacBook Proでは最大38となっていて、4倍近い違いとなっている。

 メモリもMacBook Airの最大24GBに対して、Proでは最大96GBと、やはり4倍だ。さらにストレージも、MacBook Airの最大2TBがProでは最大8TBで、こちらも4倍だ。

 ほとんど同じようなデザインで、外観からは同じようなクラスに見えるノートブックでも、中身のスペックが最大4倍も違うというのは驚きだ。ただし、それはMacBook Proを最大限にカスタマイズした場合の話であって、MacBook Proはカスタマイズしてこそ意味のある機種だということになる。逆に考えれば、メモリやストレージが比較的小容量の範囲で間に合う用途であれば、MacBook Airでも十分と言える。これは実際に使ってみた印象とも一致する。

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