京都に1万人集結 スタートアップカンファレス「IVS 2023 KYOTO」が開幕

　国内最大級のスタートアップカンファレンス「IVS 2023 KYOTO / IVS Crypto 2023 KYOTO」が2023年6月28日に京都市で開幕した。IVS KYOTO実行委員会（株式会社Headline Japan / Infinity Ventures Crypto、京都府、京都市、一般社団法人京都知恵産業創造の森）が主催し、6月30日まで3日間にわたって、京都市勧業館「みやこめっせ」と「ロームシアター京都」をメイン会場に、セッションやピッチイベント、ブース展示などが行なわれる。

　2007年に始まったIVSは今回で通算30回目の開催。3日間でセッション数が約250、京都市内を中心にパートナーなどが開催する関連するサイドイベントが約100、登壇者数約700名（海外からの登壇者約100名以上）という、これまでで最大の規模となり、開催当日には主催者から予定参加者は約1万人（海外参加社2000人）を超えると発表された。その通り会場は熱気に包まれ、数多い各種セッションも大入りの状態、各所でネットワーキングが盛んに行なわれていた。

　28日のオープニングセッションでは主催者を代表して、株式会社Headline Japan 代表取締役（IVS担当）の島川敏明氏、京都府知事の西脇隆俊氏、京都市長の門川大作氏が登壇し、挨拶を述べた。

　島川氏は今回のIVSが過去最大規模になったことを紹介し、「これまでは主に経営者や投資家の方々向けにIVSを提供してきたが、いまや、スタートアップを立ち上げようと思っている方や『スタートアップに関わりたい、スタートアップにJOINしたい』という方々がどんどん多くなってきていると感じている。そうした方々を応援するために、この『IVS KYOTO』という場を設けている」と話した。

株式会社Headline Japan 代表取締役（IVS担当） 島川 敏明氏

　そして、「自分たちが目指しているのは、日本のスタートアップ・エコシステムをグローバルに飛躍させること。IVSとしては、多くの海外の企業家や投資家も巻き込んで、ここで交流を深め、資金調達や業務提携を決めていただけるような場を提供したい。この場で『ディールを切る』ような、この場でビジネスを進めていこうという思いをもって臨んでいただければ」と語った。また、「今後もぜひみなさんも巻き込ませていただいて、一緒に日本のスタートアップ・エコシステムを盛り上げていければと思う」と来場者たちに呼びかけた。

　続いて、京都府知事の西脇隆俊氏が登壇した。西脇氏は、「京都といえば、『古都』をイメージする方が多いかもしれない。しかし、『都が都であり続ける』ためには、時代に応じて、絶えず変化を続けなければならない。そうした革新の力を、悠久の歴史の中で培ってきたのが京都だ」と語った。

京都府知事　西脇 隆俊氏

　そして、「これまでのイノベーションの積み重ねの上に、現在は企業の創出、支援者の集積、協業の促進などの取り組みを強化している。こうした動きをさらに発展させ、世界に開かれたスタートアップ・エコシステムへと転換をするために、この度、IVSとタッグを組んで、こうした国際的なカンファレンスに踏み切った」と述べた。

「この場には、企業の成長に必要な要素が国内外から集まっている。これをエコシステムにするためには、それぞれのみなさんが有機的につながっていかなければいけない。起業家の方、支援者の方、新しい産業に携わるみなさんには、いつものネットワークから外に踏み出し、新たなネットワークをつくっていただきたい」とメッセージを送り、「この場をきっかけに多くの起業、投資、協業が生まれることを期待している」と締めくくった。

　最後に、京都市長の門川大作氏が登壇。門川氏は「コロナ禍があけつつあり、街には国内外から観光客の方々がたくさん来られている。もちろん京都は観光も大事にしているが、私は、京都はベンチャーの街であり、スタートアップの街であり、ものづくりが京都の最大の特徴だと思っている」と語った。

京都市長　門川 大作氏

　また、「文化とサイエンスでスタートアップしていく――それも京都の特徴であると思う」と述べ、例として日本におけるノーベル賞の自然科学系の受賞者の約半分は京都にゆかりがあることに触れ、「こうした歴史都市は世界に京都しかない。そしていま、スタートアップ・エコシステムの拠点になろうとしている。京都も国の『スタートアップ・エコシステム グローバル拠点都市』となり、すでに多くのスタートアップが立ち上がっている」と話した。

　そして、「いま世界にはあらゆる課題があるが、それらを解決し、持続可能な発展と、世界の平和に貢献していきたい」として、挨拶を締めくくった。

　オープニングセッションの最後には、岸田首相からのビデオメッセージも紹介された。ビデオメッセージでは、「スタートアップ育成5か年計画」において、スタートアップへの投資額を2027年度に10兆円規模とすることを打ち出したことや、経済財政計画の基本的な方針である『骨太の方針2023』でもスタートアップ支援が柱に位置づけられていることなどが語られた。

　ビデオメッセージを受けて島川氏は、「いま日本の行政は大きく変わってきていると感じている。海外のカンファレンスに参加して現地の投資家や経営者の方々と話してみても、いまの日本の動きはとてもポジティブだ、日本がいちばん熱くなるのではないか、と。グローバルの投資家から大きく注目されている」とし、これに応えるためにも、「今日ここに集まったみなさんと一緒になって日本のスタートアップ、経済、産業を盛り上げていきたい」と語り、セッションを締めくくった。

　28日の本イベント後に開催された、今回のアフターサイドイベントの目玉のひとつで世界遺産の二条城を貸し切って開催する最大規模のサイドイベント「Oasys Special Event」。SXSWなど海外のカンファレンスでは見られるサイドイベントも国内のスタートアップイベントとしては異例の数が大小合わせて実施されている。そこでのネットワーキングも魅力のひとつとなっている。IVS 2023は6月30日まで開催される。

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