業務を変えるkintoneユーザー事例 第184回
福岡開催のクラウドガーデンで聞いた支援する側、支援される側のリアル
内製化と外注開発のいいとこどり 第三の選択肢「伴走支援」とは?
2023年07月03日 10時00分更新
2023年6月8日、サイボウズは福岡国際会議場でkintoneを中心とするエンタープライズ向けクラウドサービスの展示イベント「クラウドガーデン」を開催した。展示ブースに加え、企業のDX事例やトレンドが聞けるセッションも開催され、今回はその中から「ユーザーが語る「伴走支援」のリアル!」というテーマの講演レポートを紹介する。
kintoneアプリの開発は内製と外注の選択肢がある
まずは、サイボウズ 営業本部 リージョナル第3営業部 九州営業グループ 山崎佑美氏が登壇し、kintoneアプリの開発手法についてプレゼンしてくれた。
kintoneでアプリを作る場合、自分で作る、つまり内製とプロに外注するという選択肢がある。
kintoneを内製化する場合、何から手をつけていいかわからない。連携サービスが多すぎて選べない、kintoneやプラグインを学習する時間が取れない、といった壁が立ちはだかってしまうことが多い。また、頑張ってアプリを作ったのに社内に浸透しない、というケースも多い。特に、kintone担当者が一人の時に、このような状況に陥りがちだという。
とは言え、プロに外注する場合も一筋縄ではいかない。作業の流れとしては、まず担当者が課題を整理し、作ってもらいたいシステムの要件を作り、ITベンダーに要件を定義してもらい、開発してもらう。完成したら受取、動作するかテストをして、運用管理をする……結構大変だ。
「誰かにお願いしようと思っても、意外と要件をまとめるのは難しいのです。完成したシステムがイメージと違ったり、社内浸透がうまくいかなかったり、アプリを直そうとしたら、また外注が必要というケースをよく聞きました。じゃあどうするか。そこでご案内するのがkintoneの伴走支援です」と山崎氏。
kintoneの伴走支援とは、自社だけでは解決できない課題について、kintoneの専門家にアドバイスをもらい、継続的にDXを進める方法のこと。いわゆる、業務改善のパーソナルトレーナーのような存在だという。
トレーニングジムでパーソナルトレーナーを付ける理由は、自分だけで筋トレするよりも、プロに教えてもらった方が早く効果が出るためだ。kintoneも同じで、自社に合ったアドバイスをプロにもらうことで、早くゴールにたどり着けるようになる。
実際、kintoneのユーザー事例共有イベント「kintone hive」の登壇企業の中にも伴走支援を受けているところは多いのだ。
伴走支援を行うSACCYと導入企業エンドラインの3年半
後半は、伴走パートナーであるSACCSY 代表取締役 行武正剛氏と伴走支援を受けているエンドライン 管理部 山下栞菜氏との鼎談形式で進められた(以下、敬称略)。
行武:SACCSYの行武です。私たちは、業務改善で心を豊かにする、というミッションを掲げ、日々、kintone開発伴走サポート事業のみを行なっている会社です。2019年設立で、現在はスタッフ数9名、全国で全員がフルリモートワークしています。
導入実績は100社以上でいろいろな業種のお客様をご支援させていただきました。サービス内容は、業務改善したい業務の内容をお聞きして、どういった目的・目標を設定するかを議論させていただきます。その上で、kintoneアプリを制作し、お使いいただき、フィードバックいただいてブラッシュアップをしていきます。
山下:エンドラインの山下です。「モリアゲアドバイザー」という屋号で業務をしており、のぼり旗や横断幕、屋外広告物といった企画から提案、販売を行なっています。今、一番力を入れている業務は、プロスポーツチームの支援です。
私は大学を卒業してエンドラインに入社しました。当時は営業でしたが、途中でインサイドセールスに配置換えされ、その後バックオフィスの部署に移動しました。ちょうどそのタイミングでkintoneの導入が始まりました。
山崎:早速、kintoneを導入する前の課題と、現在の活用状況をお聞かせください。
山下:顧客や案件の管理のところと、そこに紐づく請求書の発行の業務で一番活用しています。それ以外では、社内の部署間をまたぐような依頼などのコミュニケーションでも利用しています。導入して3年くらい経ちました。
導入前の課題は請求書の業務です。それまでは手入力したあとにプリントアウトして、紙に印鑑を押して、封筒に封入して郵送で送っていました。やはり、作業に時間がかかるので、そこの効率化が課題になっていました。社内でも、部署をまたぐような連絡は紙に指示を書いて手渡ししていたので、外出している営業は依頼ができないことがありました。依頼数の可視化もできておらず、時間配分ができません。
弊社はのぼりや横断幕を販売していますが、制作は外注しています。その取引先さんへの発注書も手書きで作成してFAXを送って、その紙をスキャンしてデータで保管していましたが、ここも手間がかかってしまいまうのが課題でした。
山崎:アナログ感がけっこうありますね。kintoneを導入して、どう変わりましたか?
山下:請求書に関しては見積書の作成からkintoneで行なうようにしました。入力したデータを反映して請求書を発行し、メールするシステムを構築していただいたので、格段に作業効率が上がりました。社内連絡もkintoneで依頼できるようになったので、外出からでも問題なく依頼ができるようになりましたし、依頼数も一覧で表示されるので、時間効率が上がりました。SACCSYさんがいなかったら、ここまでできてなかったと思います。
出会いは、請求書のシステムをマネーフォワードに切り替える際、その相談をしていた会社から、kintoneとSACCYさんをセットで紹介してもらったのがきっかけです。
行武:これが、最初にご提示した構成図になります。SFA部分が顧客、企業情報を中心に、それに紐づいた名刺管理、それに紐づいた案件の管理、案件に紐づいた営業活動、発注業務、見積もり、請求業務、 その辺りをkintoneですべて管理することになりました。
請求まで行った情報はマネーフォワードに連携し、請求消し込みを行ない、その結果をkintoneに戻す仕組みにしましょうと、スタートしました。
山崎:ここからは、気になる伴走パートナーの支援内容についてお伺いします。行武さんと出会ってから、どういった支援を受けられましたか?
山下:2019年秋にご相談して、当時使っていたシステムの説明から、kintoneでも同じようにしたいですって丸投げしました。そこからは、定期的に毎月打ち合わせをさせていただき、都度、使いながら、ここはこう変えたいとか、この連携を追加したいと相談をして、徐々に組み上げていきました。
山崎:最初は業務整理から入っていただいたのですね。行武さんは、他システムからの移行を2ヵ月間で完了しているのですが、この辺りはけっこうスムーズに進みましたか?
行武:完了とは言っても、私の意識としては、とりあえず、前のシステムを使わないで、最低限業務が動かせる状況に持っていったっていうところです。この段階では、まだまだ機能も乏しい状態ですが、業務は回ります。そこからkintoneをブラッシュアップしていきました。
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