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業務を変えるkintoneユーザー事例 第176回

EVモーターズ・ジャパンはアメとムチでkintoneを利用促進

構築に600時間かかるシステムもkintoneなら3時間

2023年05月19日 11時30分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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 「kintone hive 2023」の第2弾が福岡で開催された。kintone hiveはkintoneのユーザー事例を共有しあうイベントで、優勝した企業は「kintone AWARD」に進出する。福岡会場はいつものZepp福岡で、登壇したのは5社。今回は3番手のEVモーターズ・ジャパンの浦田哲也氏によるプレゼンの様子をレポートする。

EVモーターズ・ジャパンの浦田哲也氏

全従業員が積極的に情報を共有しようと前向きに考えることが重要

 EVモーターズ・ジャパンはエネルギー問題を解決しようとしている、環境エネルギー企業で、新しい技術を生み出して、次世代に引き継ぐという理念を大事にしているという。

 浦田氏は昨年3月に入社し、決算も終わって10月になると業務量が増え、情報が足りないと感じたという。全従業員が積極的に情報を共有しようと前向きに考えることが重要で、そうすればみんなが欲しい情報が入ってくるようになる。

 前職のシステム導入で知り合った営業の方に連絡し、そのために必要なシステムを聞いたところ、kintoneを紹介され、導入することになった。

入社後、7ヵ月経って作成したマインドマップ。情報共有が必要だと考えるようになった

 kintoneの導入結果は大きかった。現在、73日間に渡って社員の教育を行ない、52個のアプリが稼働しているという。レコード数は4476、現在は5000を超えている。

「私、自身がOfficeが大好きで、VBAが好きで、データベースが好きですが、元々はSUM関数しか使えませんでした。そこから、保守・管理・運用まで段階を踏んでやるとなると、だいたい600時間くらいかかります。対して、kintoneは3時間です」(浦田氏)

 VBAやアクセスでデータベースを作るとなると、約20時間はかかるという。しかし、その程度であれば、kintoneなら30分でぽんぽんとできてしまうそう。

kintoneなら短時間でシステムを構築できる

VBAで開発したコードの画面

 経費精算もkintone化した。従来は、紙の領収書を受領して、精算のための用紙を印刷して、会計処理をして、集計し、突合して、とりまとめて、支払いを行なう7ステップだったが、経理担当は二人しかおらず、従業員が増えたことで対応できなくなった。

 そこで、領収書はクラウドに保存して、kintoneで処理することで、受領と印刷、とりまとめのステップをなくし、4ステップに削減できた。さらに、5月からは会計処理のデータを変更することで、直接支払いのステップに飛べるようになるという。従来は3日かかっていたステップが、0分になるので費用対効果はとても大きい。

経費精算処理を効率化した

 取締役会の資料作成も効率化した。従来は、データを集計し、合っているかどうかを営業担当に確認し、Excelで作表して、視覚化できるようにグラフ化して、それをPDFに貼り付けるという5ステップを踏んでいた。これが、kintoneを活用することで、BIで出ている情報をPDFに貼り付けるだけで資料化が完了するようになった。

取締役会用の資料作成も1ステップで行なえるようになった

人が動く要因はアメとムチ

「人が動く要因は2つです。1つは痛みで、もう1つは快楽です。アメとムチですね。そこで、痛みを伴って、なおかつ自己実現ができる仕組みを作ります。たとえば、kintoneで取引先と連絡先、商談、報告のマスターを作り、出張申請と経費申請を行なっています。Sansanから情報が入り、kintoneの中でSFAが周り、領収書はBoxに、経費精算はマネーフォワードに入り、freee会計にお金を入れていくという仕組みを作っています。kintoneがないと動かないようになっていて、出張のためには連絡先があって、取引先があって、申請という段階になっています。そのため、出張申請をしないと経費が精算されないのです」(浦田氏)

kintoneできちんと申請しないと清算できないので、社員は強制的にデータを入力することになる

 情報はとても重要な経営資源なので、大事にしなければなず、そのためには、巻き込む営業を行なわなければならない。人は強制しても動かないので、組織を動かすためには、コミュニケーションと方向性、熱意が必要だという。

「今の組織は基本的にピラミッド型が多いと思いますが、EVモーターズ・ジャパンはティール型組織を狙っています。個人が意思決定できるフラットな組織を作ろうと動いています。ただ、これは理想論なのでどうしても、現状では、管理する側と実行する側があります。そこで、どんな人にでもきちんと動いてもらえるような組織づくりをして、kintoneを回していくことが情報資源の元になると思っています」と浦田氏は締めた。

EVモーターズ・ジャパンはティール型組織を目指している

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