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会員企業のデータ・テック、兼松、NTTデータが語る共創とモビリティデータ活用

虎の子のドラレコデータをビジネスに結びつけたMD communet

2023年03月27日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: NTTデータ

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交通環境情報ポータルを謳う「MD communet(エムディコミュネット)」は、モビリティ分野の多種多様なデータを提供・活用したいプレイヤーを結びつける官民一体での取り組みだ。MD communetの構築・運営を手がけるNTTデータ、そしてMD Communetに参加したことでドラレコデータのビジネス化に歩みを進めたデータ・テック、兼松の各担当者に話を聞いた。

交通環境情報の活用で新しいモビリティビジネスを生み出す

 本格的な自動運転の時代を迎え、「交通環境情報」と呼ばれる地理系データの利活用に注目が集まっている。ここで言う交通環境情報とは、自動運転を実現するための高精度3次元地図データや道路交通データ、車両の走行で取得されるプローブデータなどを指す。これらのデータを活用することで、既存の物流・流通業界における業務改善はもちろん、自動運転やMaaS(Mobility as a Service)などの新しいサービスを生み出すことができる。

 これらの地理系データを利活用するためのアーキテクチャを設計し、データ検索やニーズ、シーズのマッチングを実現するポータルがMD communetになる。MD communetを運営するNTTデータの中島紋衣氏は、「多種多様な交通環境情報を、いろいろな形で検索・発見できる仕組みを作ることによって、社会課題の解決やサービス創出ができると考えています」と説明する。

NTTデータ 社会基盤ソリューション事業本部 ソーシャルイノベーション事業部 スマートビジネス統括部 営業企画担当 課長代理 中島紋衣氏

 MD communetはもともと内閣府が進める「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」自動運転領域における地理データ活用を促進する取り組みとしてスタートした。2019年度、NTTデータが内閣府の実施した公募に採択され、2020年11月にサイトの試験運用を開始。2021年4月30日から一般公開されている。

 MD communetが提供するのは、数多くの交通環境情報を検索できるデータカタログ、データを持つ企業やサービス事業者のマッチング、そして技術コンサルティングの大きく3つだ。基本となる交通環境情報は、検索可能なカタログという形で提供される。「データの価値やニーズがわからない」「販路を広げたい」といった提供者側の課題、「使いたいデータが見つからない」といった利用者の課題を解決するため、さまざまな検索やレコメンドが用意される。

MD communetのサービス概要

 現在、MD communetでは自動運転に関わる高精度な地図や車両センサーから取得したデータ、人流データや公共交通機関の時刻表データ、大型車両に対する規制データ、天候・災害の情報などの交通環境情報が網羅的に集められており、現在は80項目、8000件を超える。ニーズとシーズを組み合わせるマッチング、多種多様な交通環境情報をどう使いこなすべきかという技術的なサポートを組み合わせることで、新しいモビリティ分野のビジネスを創出するというのがMD communetのスキームだ。

事故の起きやすい運転をレポートするデータ・テックの安全運転診断

 MD communetに参加することで、自社データを有効活用したビジネスを生み出そうとしているのが兼松傘下のデータ・テックだ。1983年に創業したデータ・テックは、世界で初めてドライブレコーダーを世に送り出した国産メーカー。現在はデジタコ(運行記録計)の機能を含んだ「セイフティレコーダ(SR)」を主力製品とし、商社の兼松傘下でさらなる事業拡大を進めている。

 物流業界における事故はわれわれが思っているより深刻で、荷物の積み替えやスケジュールの変更、保障問題にまで発展する。それこそ人身事故になったら大問題だ。これらの事故を予防するため現在、最大積載量4トン以上の物流用トラックなどはデジタコの搭載が義務化されている。具体的には、位置情報を把握するためのGPS、傾きを知るためのジャイロセンサー、加速度センサーの3つから得たデータを収集し、速度、距離、時間といういわゆる法定三要素を取得する必要がある。

 データ・テックのセイフティレコーダはこれらの情報に加え、独自に取得した100項目以上の走行データを元に運転をスコア化した「安全運転診断」を提供する。データ・テックの田野通保社長は、「われわれのデータでは、何時に、どこで、どんなハンドル操作・ブレーキ操作を行なったか、どの位の速度で走行したかがわかるようになっています。これらを使って、事故の起きやすい運転をしているかどうかレポートをするのが目的です」と語る。

データ・テック 代表取締役社長 田野通保氏

 同社が提供する業務用セイフティレコーダは、物流会社におけるトラックでの事故予防と省燃費運転を支えており、すでに20万台を超えるトラックに搭載されている。安全運転により、物流業者、荷主、顧客、すべてがハッピーになり、さらに燃費もよくなるという副次的な効果もある。実に社会意義のあるプロダクトと言えよう。

 セイフティレコーダのレポートを元に、今まで見返りのなかった安全運転に、インセンティブを付けることで、事故を減らした会社もある。田野社長は、「安全運転診断をドライバーのボーナス査定に組み込んでいる引っ越し会社もありますし、保険料を安くしているレンタカー会社もあります。運転がソフトになるので、事故削減率40%を実現したお客さまもいます」とのこと。実際、データ・テックの安全運転診断をいち早く導入したのは、物流業者ではなく、実は損保会社とのことだ。

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