ポータブルオーディオ分野では、Astell & Kernのデジタルオーディオプレーヤー(DAP)やCHORDのポータブルUSB DAC「Mojo 2」などを取り扱っているアユートが、独自ブランドの「SHO-U」(ショー・ユー)を立ち上げた。ラインナップは完全ワイヤレスイヤホンの「SHO-U D1」をはじめとして、USB充電器やモバイルバッテリーなど幅広い。USB充電器はUSB PDやQuickChargeなどの高速充電規格に対応している。
アユートはなぜ独自ブランドを持ち、完全ワイヤレスイヤホンだけでなく、モバイルバッテリーやUSB充電器など幅広いラインアップを揃えたのかに興味を持ったので、アユートに伺った。
ポータブルオーディオと一緒に使えるアクセサリーを扱いたい
アユートはもともとPC関連商品の総合代理店であり、オーディオ機器もPC関連商品として取り扱い始めた。Astell & Kernブランドを作ったアイリバーも、もともとはパソコンとつないで使うMP3プレーヤーで知られたブランドだった。現在でもアユートの柱としてPC事業部とオーディオ事業部がある。アユートが独自ブランドを立ち上げた背景には、幅広い自社取り扱い製品と一緒に使うと役に立つが、今までは取り扱っていなかった、かゆいところに手が届くものを扱いたいという考えからだという。
ラインナップになぜ充電器があるかというと、扱っているオーディオ製品はバッテリー搭載機が多く、ユーザーから「製品に対応し、高速充電ができる充電器を教えてほしい」といった質問に答えやすくするためだ。検証をしていない他社製品は勧めにくい。そこで自社で取り扱うことと合わせて、Astell & KernやCHORD製品との接続テストをしているそうだ。確かにユーザーにとってもメリットはあるだろう。仮にQuickChargeやUSB PDといった規格に対応していると言われても、店頭に並んでいるどの充電器を買えばいいのかわからないユーザーも多いと思う。
若い人の趣向に合った、小音量でも低域がやせないサウンドを
完全ワイヤレスイヤホンのSHO-U D1については、元々アユートが取り扱っていたのは高額製品が多いこともあり、手にしやすい価格の製品を用意したかったためだそうだ。新生活を迎える学生や新社会人でも買える価格を設定したという。また、ベテランの人に対しては、クッションに包んで大事に持たなくてもよい、手軽なサブ機にしたかったそうだ。
面白いと思ったのは、SHO-U D1を開発する際になるべく小音量で聴ける製品をポイントにした点だ。これは耳をいたわるという意味だけではなく、最近の若い人たちの間では、我々のようなおじさん世代に比べて、イヤホンの音量を低くして聴く傾向があるかららしい。若い人ほど耳の感度がいいせいかもしれないし、高音域の聴きやすさの問題かもしれないが、なかなか興味深いポイントだ。
音質のチューニングについては特に注文を付けず、低い音量でも低音が消えないことと、全体のバランスがいいものにしてほしいという点だけを伝えたという。
3000円程度の製品としてみれば音はまずまず
SHO-U D1の音を聴いてみた。再生時間は実測で約4時間と少し短めだが、筐体はかなりコンパクトだ。
音傾向はいわゆるドンシャリではあるが、3000円程度の価格としては、音がわりと引き締まっている。確かにマニアがサブ機として使っても、違和感が少ないかもしれない。低音は量があるというよりも打撃感があって迫力とかパワーを感じる。ヘビーメタルを聞くリスナーは「鋭い打撃感が欲しいので、高級イヤホンが本当はいいのだ」という人もいる。しかし高級イヤホンは音傾向が上品でフラットにチューニングされていることが多い。ドンシャリでかつ低音がタイトなイヤホンはそうしたリスナーにも歓迎されるように思う。また、アコースティック楽器の再生で重要な中高域の音色が美しく響くので、クラシックの再生にも悪くはない。
もちろん高価なイヤホンに比べて音は甘いのだが、コストパフォーマンスはいいと言える。低音も高音も比較的鮮明なので、音量を下げていても聞き取りやすいという目標は、実現できていると思う。
これから新生活を迎える社会人や学生は多いだろう。SHO-Uにはこうした人々に喜ばれそうなラインナップが揃っている。ビギナーにとっては単語すらわからないケースも多いと思うが、そうしたユーザーが安心感も一緒に買うことのできるラインアップであるとも言えるだろう。
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