AIに5G、未来を支える「Sapphire Rapids」のスゴさとは
今だから知っておきたい「インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー」のイロハ
2023年02月23日 10時00分更新
Xeonを買った編集部員に聞く、自作er目線のXeonとは
ここまで、第4世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーについて解説してきたが、やはりデータセンター向けのCPUについて知識がなければ、あまり身近には感じづらい。
そこで、編集部で唯一“個人”でインテル® Xeon®プロセッサーを購入した経験のある「ジサトライッペイ」に、Xeonについて聞いてみた。自作er目線でのXeonとは、実際のところどういった存在なのだろうか。
――まず、イッペイさんはインテル® Xeon®プロセッサーシリーズをいくつ持っているのですか?
イッペイ:最初は、2012年に買ったインテル® Xeon® E5-2687W(8コア/16スレッド、最大3.8GHz)だね。次が2013年のインテル® Xeon® E5-2697 v2(12コア/24スレッド、最大3.5GHz)で、その次が少し開いて2016年のインテル® Xeon® E5-2699 v4(22コア/44スレッド、最大3.6GHz)。最後が2019年のインテル® Xeon® W-3175X(28コア/56スレッド、最大3.8GHz)かな。
――イッペイさんのXeon搭載PCと言えば、アスキー上では「大紅蓮丸」の名で親しまれています。たびたびアップグレードされながら、記事や生放送にも登場していますね。
●ジサトライッペイのXeon搭載PCの歴史
・100万円PC“大紅蓮丸”で新世界へボン・ヴォヤージュ!!
https://weekly.ascii.jp/elem/000/002/612/2612651/
・CPUとマザーで62万円使ったら通帳の呼吸が止まったでござる
https://weekly.ascii.jp/elem/000/002/619/2619101/
・「誰かー!!」CPUとマザーボードに104万円もかけて作ったPCが起動しない
https://ascii.jp/elem/000/001/186/1186533/
・4/4(木)19時~公開生放送決定! ジサトラKTU100回記念、自腹50万円CPU「Xeon W-3175X」で生自作
https://ascii.jp/elem/000/001/825/1825089/
――そもそもXeonを買おうと思ったきっかけはどういったものだったのですか?
イッペイ:理由はいろいろあったけど、結局一番は「ウケ狙い」だね。当時はインテルの担当になってまだそんなに経ってなかったし、PCについて今ほど詳しく知っていたわけでもなかったんだけど、そんな人間がインテル® Xeon® プロセッサーを買って何に使うのかと。当時ほかに自腹で買ってPC組んでやろうなんて人もいなかった中、秋葉原のPCパーツショップの展示を見て「コレだ!」と思ったんだよね。
――実際に買ってみて、どうだったのですか?
イッペイ:かなり反響はあったよ。Xeonの記事を作ってから、PC業界内外の人に「あの記事見ましたよ」って声をかけられることが多くなった。それに、Xeonみたいな特殊な環境での自作だと普通のPCとは違った難しさもあって、その度に自作の知識も増えていった実感があるよ。今の自分があるのは、Xeonで自作した経験のおかげって部分もかなり大きいね。
――これまでの記事を見ると、Xeon周りにかなり投資しているように感じますが、実際のところこれまででどのくらいの予算がかかっているのでしょうか。
イッペイ:Xeonは専用のマザーボードも必要だから、買い換える時にはCPU+マザーボードを新調してきたんだけど、1システムに2つCPUを搭載するものもあったりするからね。CPU+マザーボードだけで自腹で購入したものなら……大体250万円ちょっとかな。うん、自分でも引くね。
――そんな超高額のシステム、一体何に使っているのですか?
イッペイ:結構役立ってるよ。例えば、日本の現役プロ棋士に初めて公式戦で勝った将棋プログラム「Ponanza」の開発に関わっていたり。その時は、AIの学習フェースで「大紅蓮丸」の計算リソースを利用してたし、後は新型コロナウイルス感染症が流行し始めた時に、ワクチン開発のための分散コンピューティングに参加したこともあるね。
・電王・Ponanza開発者が語る、理由がわからないけどスゴイ“怠惰な並列化”
https://ascii.jp/elem/000/001/253/1253340/
・モンスターPCでFolding@home、新型コロナ研究に貢献してみた
https://ascii.jp/elem/000/004/008/4008887/
――社会貢献に一役買っていたのですね! 自身ではどういったことに使っているのですか?
イッペイ:え? Twitterとか……?
――全然活用できていないじゃないですか! では、もし最新のXeon環境が使えるようになったら、やってみたいことはありますか?
イッペイ:もし個人的に使えるなら、やっぱりAI開発とかかな。最近はイラストの自動生成AIや「ChatGPT」みたいな対話型AIが話題になることが多くなって、一般人にも身近になってきたから、今後は個人でもAIの開発がしやすいような世の中になってくると思う。ただ、ハードウェアはやっぱり個人差があるから、最新のXeon環境があればその最先端に居られるからね。
――なるほど。ではやはり、第4世代インテル® Xeon®も狙っているのですか?
イッペイ:いや、それが……本気で貯金がヤバくてさ……。さすがにちょっと節約しないとまずいんだよ。実は最近は使っていないPCパーツとか私物を売りに出してて、今持っているXeonも最新のやつ以外は売りに出そうかと思っているんだよね。
――え!? 大丈夫なんですか?
イッペイ:大丈夫大丈夫、なにせ当時100万円とか出して揃えた製品だからね。それなりの値段にはなるでしょ。そのお金でまた新しいパーツが買えるなら、過去のパーツたちも浮かばれるってもんよ。
そういってガハハと笑うジサトライッペイ。その能天気な様子に、一抹の不安を覚えざるを得ない。
とはいえ、ジサトライッペイの言うように、以前よりもAIなどのテクノロジーが身近になってきた昨今、より広いフィールドでの活躍が見込めそうだ。今までデータセンター向けのCPUには縁がないと思っていた人も、これからのIT業界においては第4世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを頭の片隅に置いておくべきだろう。
(提供:インテル株式会社)