同一番号でどちらの回線も使えるように?
宮川社長によれば「全然、知らない番号からかかってきたら、身内でも電話を取ってもらえないのではないか。自分でも息子からの電話だと気がつかずにとらない可能性がある。できれば発着信は同一番号で提供したい。すでにiPhoneとApple Watchは同一番号で提供しているし、テクノロジー的には不可能ではない」というのだ。
Apple Watch単体でも、iPhoneに入っている携帯電話番号で発着信できるのは同じキャリアで契約しているから当然とも言える。しかし、宮川社長が語るには、auとソフトバンクというデュアルSIMであっても、auのユーザーがソフトバンク回線を使ってもauの電話番号、ソフトバンクのユーザーがau回線を使ってもソフトバンクの電話番号で使えるというかなり画期的なサービスだ。
ただ、この内容は「どこまで現場が準備しているかは置いといての話。こうした話し合いを現場でしていないのであれば議論を詰める必要がある。いまのところは僕の思いつきだ」(宮川社長)のようで、あくまで構想的な考えであるようだ。
実際、関係者に話を聞くと「中身はなにも決まっていない」とのことで、3月には単なるデュアルSIMで、将来的に宮川社長の考えるサービスにアップデートしていくという可能性が高い。
ただ、本当にauとソフトバンクのデュアルSIMサービスが同一番号で使えるようになると、業界に与えるインパクトも大きいだろう。
まず、これまで予備回線としての需要を一生懸命に掘り起こしてきたMVNO、特にIIJなどに与える影響は甚大だろう。IIJはフルMVNOとして、eSIMサービスを提供し、KDDIの通信障害時には、加入者を一気に増やした。しかし、データ専用と言うことで音声通話は提供できていなかった。その後キャリアからの回線を提供することで、音声通話もできるeSIMサービスを始めている。
MVNOとして新たな市場を開拓したのに、auとソフトバンクがデュアルSIMサービスを始めれば、ユーザーが逃げてしまう恐れもある。
KDDIとソフトバンクとしてはデュアルSIMサービスをメインブランドのみの提供として、サブブランドのワイモバイルやUQモバイルでは提供はしないのではないだろうか。

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