アスキーで家電などを担当しております盛田諒(39)ですこんにちは。
2月1日、フィリップスは若者向けの新しいシェーバー「5000X」を発表(レポ記事はこちら)。発表会には「Z世代座談会」というコーナーがあり、3人のZ世代の男性が専門家と一緒にステージに呼ばれ、彼らの美容や時間の意識がどのように変わっているのかを話しました。コーナーの目的はあくまでも新製品がZ世代にどの程度受け入れられているのかコメントをもらうことなのですが、実際に話された内容は非常に面白く、「へええ〜〜」と感心させられてしまいました。
シェーバーで大事なのは「ながら剃りができること」
最初に話題になったのは当然ですがシェーバーです。たくみさん、だいきさん、しょうさんという3人の男性がそれぞれシェーバーで気になっているところをあげていくのですが、シェーバーでおなじみの「深剃り」は登場しません。代わりに出てきたのは「剃り残しのなさ」「肌へのやさしさ」「ながら剃りできること」などでした。
「剃り残しを気にせず剃れるようになったのが大きい。部位によってV字シェーバーと使い分けていた。手鏡が手放せなかった状況から、回しているだけでキレイに剃り切れるようになった。朝に『ながら』で剃り切れるのがありがたい」(たくみさん)
「僕のお気に入りポイントは肌へのやさしさ。T字かみそりを使ったあと肌がヒリヒリしたり肌荒れしたり血が出てしまったり。5000Xはずっとサラサラしていてちゃんと剃れる。朝の時間がストレスフリーになった」(だいきさん)
「ヒゲ脱毛をしていて、シェーバーを使ったことがなかった。とはいえ部分部分でヒゲが生えていて、狙ってカミソリで剃っていたが、5000Xに変えてからはぐるぐる回しているだけで剃れるので時短になった。肌へのやさしさも気に入っている」(しょうさん)
みなさん好評価なのはまあそういうものとして、新シェーバーはヘッドがマイクロビーズというめちゃくちゃ小さな粒で覆われていて肌に優しいことが売りなのですが、それ以上にフィリップスのシェーバー特有の「肌につけて時計回りにくるくる動かすだけでヒゲが剃れる」という点が高く評価されることが新鮮でした。昔ながらの男性的なシェーバー像とは全然違うのですね。
清潔になるのは「周りに迷惑をかけたくないから」
そしてヒゲ脱毛の話から「Z世代は美容意識が高い」という話題になり、世代・トレンド評論家の牛窪恵さんは「Z世代がメンズコスメ市場を引っ張っている」という話に。
メンズコスメねえ〜と思っていると、ヒゲ脱毛をしていると話していたしょうさんが「デートなどのときにはBBクリームとか血色のよくなるリップを使って気合いを入れている」とさらさら話すので口あんぐり。ヒゲが生えていると肌が汚く見えてしまうということでファンデーションで剃り跡を隠したりもしているそうです。確かに剃り跡は気になるけどそこでファンデが選択肢になるのか。
司会者が我々のような旧世代を引き合いに出して「洗顔後に化粧水さえ付けないと言うのは?」と問うと、「付けるのが普通なので付けないとそわそわしてしまう」としょうさんは答えていました。こっちは洗顔フォームさえまともに付けていないというのに。
「Z世代が美容に積極的な理由は?」と聞かれた牛窪さんの答えもかなり印象的なものでした。
「周りに迷惑をかけたくない、イヤな思いをさせたくないというニュアンスがある。恋愛シーンもあるが、職場でも、友達と会うときにも清潔感を意識している。美容情報をどうやって手に入れるかと言うと、昔は詳しい人に聞くしかなかったが、いまは動画やSNSでどんどん情報が手に入る。情報を目にして『ちょっとやってみようかな』というハードルが下がっている。肌をいたわることが習慣化している」(牛窪さん)
まじですか。不潔なのは迷惑だと。ピッグペンが聞いたら目を丸くしそうな台詞ですが言われてみれば確かにそういうところはあるかもしれないですね。むしろ肌のつやがなくなってくる中年のほうが気にしたほうがいいんじゃないかという気もしてきました。
映画はあらかじめSNSであらすじを調べてから見る
最後に話題は「ながら剃り」から時間効率の良さ、いわゆるタイパについて。Z世代がどういう時間意識をしているのか牛窪さんが語ります。
「効率よく時間を使うのが特徴。『ググるよりタグる』と言うが、イチから検索するのではなく、SNSにハッシュタグで登録しておいた情報を見に行き、効率よく情報をとる。その上、『ながら』で何かをする場面、ゆるゆると過ごす場面を気持ちによって使い分けている。癒されたいときは動画やゲームをゆるゆるとやる。一方で、忙しいときは動画を『ながら』でスピーディーに見ている」(牛窪さん)
倍速動画やファスト映画が流行っているのはそういうことなのかと納得。効率化の権化なのかと思いきや場面によって時間の使い方を分けているというのも納得。場面に応じて態度をスパッと切り分ける考え方なのだなーとも感じました。
そんなZ世代が実際に映画を見るときはどんなふうに行動しているかという話になり、しょうさんは「まずSNSで検索する」と回答。
「検索すると上位に広告ページが出てくる。記事を開いても広告だらけで情報が多くてたどりつけないのがイヤ。SNSで検索すると必要な情報にすぐたどりつける。体験した人の声や動画でわかりやすく伝えられる。SNSで検索するほうが早いのでググらないようになった」(しょうさん)
SNSも広告やステマであふれているような気がしますが気持ちはわかります。どちらにせよレビューを見るまでの時間が早いことが大事なんだろうなと。
さらにすごかったのがたくみさんです。
「映画1本見るのも時間がかかるので、あらかじめSNSであらすじを調べる。いくつか候補をあげた中、既視感があるものや、結論が予測できるものは見てもムダかなということで1つの映画に絞るようにしている」(たくみさん)
えええマジですか。いやこれはもはやZ世代というか個人的な考え方だろとは思いつつ「マジかああ」と発表会でつぶやいて危ない人になってしまいました。確かにあらすじで見たい映画を決めることはあるけど、ムダかどうかはあらすじだけじゃわからないんじゃないか。いやそういう考え方が古いのか、などとモヤモヤが募りました。
知り合いは普通にそんな生き方をしていた
という感じで、世間で言う「Z世代」の声に触れることができました。
世代論自体には疑問があるというか、多様性を象徴するような世代がそんな乱暴なカテゴリーでくくれちゃうのかよという気もするのですが、実例としてこういう傾向があるよという話としては面白かったです。フィリップスのライバルであるブラウンが化粧水を浸透させやすいシェーバーを出したときは「はー、メンズコスメねえ」くらいに思っていましたが(レビューはこちら)、思った以上に若い男性の美容意識は浸透しているのだなと感じさせられました。
そんなことをツイッターに書いたら、同年代の知り合いが「私Z世代じゃないですがこんな感じに生きています」と返してきました。えええマジですか。どうしよう、無印とかマツキヨで化粧水と日焼け止め買ってきたらいいんですか。いやまずは5000Xを試せばいいのか。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ。5歳児と1歳児の保護者です。Facebookでおたより募集中。
人気の記事:
「谷川俊太郎さん オタクな素顔」「爆売れ高級トースターで“アップルの呪縛”解けた」「常識破りの成功 映画館に革命を」「小さな胸、折れない心 feastハヤカワ五味」
アスキーキッズメルマガ 毎週土曜に配信中
アスキーキッズは毎週土曜、一週間ぶんの記事をまとめて読めるメールマガジンを配信中。人気連載「ほぼほぼ育児」をはじめ、ニュース、イベント、プログラミング教育入門、みんなの子育て体験談など、子育ての参考になる情報満載です。ご登録はこちらから。