クラウドツール活用でバックオフィス業務を支援するタスキーが考える「Dropboxの良い点、足りない点」

中小企業のバックオフィス業務改善にDropboxが活躍する理由とは

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

提供: Dropbox

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 仙台を中心拠点として、中小企業やスタートアップのバックオフィス業務を総合支援する新たなアウトソーシングサービスを展開するタスキー(TASKY)。同社は、Dropboxを積極的に活用しながら新しい働き方を模索する「バーチャル・ファースト・アンバサダー企業」の1社だ。

 タスキーでは、さまざまなクラウドサービスを駆使することで、顧客企業のバックオフィス業務をリモートから効率良く支援している。ただし、顧客企業とタスキーの双方で使うツールになるため、クラウドサービスの選択時には使いやすさや機能を慎重に検討する必要もある。そんなタスキーが選んだファイルストレージサービスのひとつが「Dropbox Business(以下、Dropbox)」だった。

 “クラウドサービスの目利き”として、ユーザー視点からDropboxのどこを高く評価しているのか、実際にどう使いこなしているのか、また足りないと感じる部分はどこか。今回はそんなテーマで、タスキーグループのCSOを務める色川大輔氏に率直な意見をうかがった。

タスキーはバックオフィス業務支援のほか、経営コンサルティング、HRソリューションなどの事業を展開。中小企業の経営課題を解決する専門家集団だ(画像はWebサイトより)

タスキーグループCSOの色川大輔氏

中小企業に合った「パッケージ型」のバックオフィス支援サービスを展開

 会計事務所を母体として誕生したタスキーでは、前述した中小企業のバックオフィス業務支援サービスを中心にビジネスを展開している。グループ会社としてタスキー税理士法人、タスキー社会保険労務士法人の2社もあり、グループとして展開するのは仙台、東京、茨城、静岡の4拠点だ。

 タスキーが企業ビジョンとして掲げるのは「LOCALから新たな価値を」という言葉だ。もっとも、この「LOCAL」には「地方」以外の意味も含まれると、色川氏は説明する。

 「もちろんひとつは『地方』という意味で、タスキーは地方の志ある中小企業の成長を支える存在でありたいと考えています。ただしそれだけでなく、LOCALという言葉には『それぞれの会社』『それぞれの個人』という意味も込めています。それぞれの会社、個人が本当にやりたいことに集中できる環境づくりをお手伝いすることで成長を支援していく――そんなビジョンですね」

タスキーは「LOCALから新たな価値を」というビジョンを掲げる(画像は同社Webサイトより

 現在特に注力しているのが、中小企業やスタートアップのバックアップ業務支援サービスだ。従来、大企業向けにはBPOなどのアウトソーシングサービスが存在するが、色川氏は「それでは中小企業の抱える課題になかなかアプローチできない」と説明する。

 「中小企業のバックオフィスが抱える本当の課題は、人手不足による『一人経理、一人バックオフィス』状態だと考えています。なので、バックオフィス業務の一部だけを切り出してプロ人材にアウトソースするような(主に大企業向けの)サービスは、中小企業ではなかなか使いにくいのではないかと考えました」

 中小企業の課題をそうとらえてタスキーが展開するのは、経理、労務、総務といった幅広いバックオフィス業務をオールインワンで委託できるような「パッケージ型」のアウトソーシングサービスだ。将来的には、採用管理や人材評価といったものまで対応業務を拡大していきたいと語る。

 「パッケージ型」に加えて、もうひとつの特徴としているのがクラウド活用による「データの同期」だという。顧客企業とタスキーがクラウドを介して業務データを同期/共有することで、効率的な業務支援ができる仕組みだ。

 「これまでの中小企業のバックオフィスは“紙”の世界だったので、社外の人に作業をアウトソースするためには、オフィスに来てもらうか紙(書類)を送るかしかありませんでした。でも今の時代は、クラウドにデータを上げていただけたら社外からでも遜色のない仕事ができます。お客様には『このツールにこういう情報を入れてください』とお願いするだけで、あとはタスキーの専門家がまとめて作業を請け負う。お客様側では専門知識が不要になりますし、タスキー側も個別対応が減らせるので効率良くサービスが提供できます」

ハイブリッドワークを実現するさまざまなクラウドサービスの使いこなし

 タスキーはDropboxのバーチャル・ファースト・アンバサダー企業を務めており、現在はオフィス勤務と在宅勤務を組み合わせるハイブリッドワークを実践している。その大きなきっかけになったのは「やはりコロナ禍でした」と、色川氏は振り返る。

 「(ハイブリッドワークは)コロナ前からやりたかったことではあり、実際にいろいろと試してもいる段階でした。ただし、タスキーには以前からの(会計事務所時代からの)長いおつきあいのお客様もいらっしゃるので、なかなか簡単にはやり方を変えることができず、やはり基本は出社していました。それを一気に変えたのがコロナです」

 ちょうどオフィスの移転時期にも重なったため、それまで壁一面を埋め尽くしていた紙資料をほぼすべて廃棄し、フリーアドレスのデスクを備えるなど、働く環境を大きく変えた。出社するかどうかは個人の裁量に任せており、だいたい毎日半数前後の社員が在宅勤務をしているという。

 「入社直後の3カ月間を除いて、出社して働くか在宅勤務するかは基本的に本人の自由にしています。『家のほうが仕事がはかどる』『出勤したほうがやりやすい』といったことは、個々人の性格や好み、自宅環境などによりますし」

コロナ禍とオフィス移転を機にハイブリッドワーク実践に乗り出した(タスキーYouTube「社員のとある1日」より

 ハイブリッドワークを実現するために、タスキー社内でもさまざまなクラウドサービスを積極活用している。たとえば最近はバーチャルオフィスサービスの「oVice(オヴィス)」を導入しており、4拠点のグループ全社員が、どこで働く場合でも“oViceに出社”するルールにしているという。

 「oViceだと誰かに話しかけるのがすごく楽なんです。わざわざ時間調整をしてWeb会議を開くほどではない用件でも、oViceだと(バーチャル空間内で)近寄っていけば話しかけられる。特に若手社員が相談しやすい環境が作れるので、とてもいいと思っています」

“バーチャルオフィスに出社”することで、社内のコミュニケーションが活発化している(タスキーYouTube「社員のとある1日」より

 タスキーではそのほかにもAsana(タスク管理)、マネーフォワード(経理)、SmartHR(人事)、ジョブカン(勤怠管理)、Chatwork(ビジネスチャット)といったクラウドツールを利用している。こうしたツールは顧客企業に推薦して導入してもらうこともあるため、サービス選択の際は使いやすさや機能性を慎重に見極めているという。

 「たとえばAsanaの場合でも、そこにたどり着くまでに3つくらいのツールを乗り換えました。中小企業のお客様はITリテラシーがあまり高くないケースが多いので、サービスの使いやすさは大切なポイントです。そのほか、なるべく多くの職務の人が使えるもの、拡張性が高いものなど、いくつかの判断基準を持ってクラウドサービスを比較検討しています」

 さらに、ITリテラシーの低い顧客にとっては「プライベートでの利用経験」に近いツールも導入しやすいという。「たとえばChatworkを導入していただきたいときに、『LINEと同じようなものですよ!』と説明すると、お客様の心理的なハードルがぐっと下がります」と色川氏は笑う。

DropboxとGoogleドライブ、それぞれをどう評価して使い分けている?

 そんなタスキーが、ファイル保管や社内や顧客とのファイル共有に利用しているファイルストレージサービスがDropboxと「Googleドライブ」だ。それぞれに固有のメリットがあり、現在は2つを併用するかたちになっているという(DropboxはAdvancedプランを利用中)。

 「ファイルストレージなら、ほかにBoxやOneDriveといったサービスもありますが、ITに詳しくない中小企業のお客様には少しハードルが高い。中小企業向けだと、やはりDropboxかGoogleドライブの二択だと思います」

 もともとタスキーではDropboxのみを使っていた。色川氏の入社後、まずは社内のファイルサーバーをDropboxに移行して業務改革を図り、同時に顧客企業とのやり取りもDropboxに集約させていった。

 「Dropboxを選んだ理由は、圧倒的に使いやすいからです。特に、WindowsのエクスプローラーからDropbox.com(Webインタフェース)のフォルダを開く、その反対にDropbox.comからエクスプローラーのフォルダを開くという、PCとクラウドの行き来がとてもスムーズです。お客様の多くは物理PCのデスクトップ操作にしか慣れていないのですが、Dropboxとはすごく相性がいいですね」

 また、すでにプライベートでDropboxを利用している顧客も多く、それも大きな選択理由になったという。実際に利用した経験があれば、顧客への教育コストが大きく抑えられるからだ。

 一方で、Googleドライブを利用するケースもある。グーグルには強力なオフィススイート(Google Workspace)があるため、顧客とのやり取りがGoogleスプレッドシートとGoogleドライブで完結するようなケースであれば、こちらを利用してもデメリットは少ないと評価する。

 「グーグルのオフィスツールは非常に強力で、GAS(自動化ツールの『Google Apps Script』)を使いたいがためにGoogleドライブを入れたようなものです。ただし、Googleドライブには“独特の味”があって、Windowsのデスクトップ操作に慣れたお客様にはややなじみにくいとも感じます。クラウド側からデスクトップのフォルダは開けませんし、保存してあるExcelファイルをスプレッドシートで開いてしまって書式が崩れるといった事故も起こります。そうしたことを考えると、ファイルストレージサービスとしてはやはりDropboxのほうが使いやすいです」

 そうした評価に基づき、スポット的な顧客企業ではDropboxを、タスキーのやり方に業務を合わせられる長期の顧客企業ではGoogleドライブを利用する、といった組み合わせ活用していると説明した。

 「ファイルストレージ単体として考えた場合は、やはりDropboxが好きですね。今後もGoogleドライブと併用していくことになると思いますが、もしもGoogleスプレッドシートのファイル(データ)そのものがDropboxに保存できて、Googleドライブと同じように使えるのであれば、Dropboxに一本化したいと思っているくらいです」

Dropboxを使いこなすための「ルール」と「便利な機能」

 顧客企業との間だけでなく、タスキー社内でのファイル管理や共有にもDropboxを使っている。それだけでなく「ファイルをPCのデスクトップ、物理ドライブに保存しない」というルールを設けており、人事関連資料など一部のファイルを除いては全社で共有もしているという。

 「このルールには(PCの盗難などに備える)セキュリティ的な意味もありますが、それよりも『本業をさぼらずにやる』という意味合いが強いですね。わたしたちの仕事を突き詰めて言うと『お客様から情報を受け取って、処理して、アウトプットする』というもの。つまり『情報を受け取ったら、ちゃんと所定の場所に保存する』、きちんと整理整頓することが業務の第一歩なんです」

 このルールを習慣づけるために、色川氏が社内メンバーのPCを見回って、デスクトップにたくさんのファイルが放置されていないかどうかをチェックすることもあるという。「冗談めかして“デスクトップパトロール”と呼んでます。みんなわたしにパソコンを見られるのを嫌がりますけどね(笑)」。

 Dropboxのその他の機能やツールも積極的に活用している。たとえば「ファイルリクエスト」の機能だ。ファイルリクエストは、ファイルのアップロード専用の(ほかの人がアップロードしたファイルにはアクセスできない)フォルダを作成する機能だ。

 「通常の業務でお客様用に作成する『共有フォルダ』は、お客様企業の代表者や役員、管理者の方だけにアクセス権限を設定します。しかし、たとえばお客様企業の各店舗から納品書を集めたいといった具合に、従業員の方からファイルを収集したいケースもあります。ここでファイルリクエスト機能が使えるのは便利ですね」

 上述のとおり、顧客とのやり取りはDropboxの共有フォルダ経由で行うが、顧客の取引先との一時的なやり取り、たとえば取引銀行などに提出する書類の送付などには「Dropbox Transfer」を利用している。タスキー側で書類をまとめてDropbox Transferにアップロードし、そのダウンロードURLを取引先に伝えるというかたちだ。

 色川氏に、Dropboxで対応してほしい機能、足りない機能を尋ねたところ、今後のバックオフィス業務で必須となる「電帳法対応」を挙げた。さまざまなレイヤー(ツール)での対応が考えられるが、ファイルストレージサービスで対応するのが一番効率的だと、色川氏は考えている。これについては、電帳法のどの部分の対策をしたいのかによるが、Dropboxの法人向けプラン+エムティーアイ「PlusFind」での対応を推奨していることがDropboxから説明され、色川氏は興味深そうに聞き入っていた。

 「われわれもお客様に合うクラウドサービスを常に探していて、機能比較もしっかりやるのですが、Dropboxはファイルストレージサービスとして本当に使いやすく、使えば使うほど機能がすごいなと感じます。今後もきちんと機能を研究しながら使っていきたいですね」

(提供:Dropbox)

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