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子ども向けマイクラ災害マップや3D空間思い出アプリ、都市でマウントなどが登場! 仙台で今年最後のPLATEAUハッカソンを開催

「PLATEAU Hack Challenge 2022 in enspace(仙台)」レポート

特集
Project PLATEAU by MLIT

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自分だけの観光マップで思い出を保存

 MIERUNE賞を受賞したのは、突貫工事チームの「PLATEAUげっちゅ」。観光地で写真や動画を撮るように、PLATEAUデータを用いて3Dで思い出を保存するアプリだ。観光名所のモデルを取得して自分の仮想空間への設置や、仮想空間に配置したモデルを現実空間にAR表示が楽しめる。また、仮想空間は他の人と行き来ができ、自分の思い出の建物を見せたり、誰かの思い出の建物を見ることができる。

「突貫工事」チーム-PLATEAUげっちゅ

PLATEAUの3D都市モデルを使った新たな旅の記録を提案

 Geospatial APIを用いて、現実の建物とPLATEAUモデルの重ね合わせを行ない、AR画面上から取得するPLATEAUモデルを選択。該当のPLATEAUモデルをプレハブ化して、画面遷移で消えないオブジェクトとして保存する、という仕組みだ。建物の名前など詳細情報は、CityGMLから取得し、仮想空間の共有はPhotonを用いて実装している。

 ただし、前半のPLATEAUモデルをARアプリ側に持ってくる箇所の実装が終わらず、デモは、Photonを使った仮想空間の共有と、ARアプリとして観光名所の取得・表示部分のみとなった。

スマートフォンアプリで作成した環境を同期することでPhoton上に仮想空間を設置する。ホストとゲストに分かれており、ゲストはホストの仮想空間に入り、自由に動き回れる

アプリ上で自分で配置したモデル(最終的にはこれがPLATEAUモデルとなる想定)をARで表示

 今後の発展として、NFTでの収益化を考えているとのこと。例えば、イベントなどによって手に入るモデルが変化することでコレクション性を持たせたり、現地でしか入手できないという制限を持たせることにより経済活性化・地域活性化につながる。

 内山氏は発表後のコメントで、「Ingress的な何かになりそうな可能性を感じる。実装面でがんばってほしい」とアイデアを高く評価した。

 メンターとして参加した西尾悟氏(株式会社MIERUNE)はMIERUNE賞受賞のポイントとして、「GIS的な解析を加えるとおもしろくなりそう」とサービスとしてのポテンシャルを挙げた。人気のある建物や名所がヒートマップ的に表示される、あるいは、NFTで展開するのであれば、そこでの人気(価値)と組み合わせてVR空間上の価値を明示するなど、おもしろい発想ができそうだ。

 また、惜しくも受賞を逃したが、その他にも個性的な参加作品が発表された。

「逃げるは恥じゃない!」チーム-避難先ど~こだ?超人ロボでぜ全力避難!(避難先探しゲーム)

 カーソルの移動キーで黄色の閃光が目印になっている避難先に向かい、建物に到着したらジャンプして屋上に避難するというゲーム。ゲーム中の軌跡を振り返ることで、より近い避難経路などの検討にも使える。将来的にプレイデータが大量に集まれば、災害対策にも役に立つとする。

 内山氏は、「災害時の避難訓練などにおいて3次元の特性を活かせる仕組みになっている」と評価。また、柴山氏は「避難場所は複数あるので場所による得点だったり、障害物や殺到する群衆など、時間などの要素を入れてもっとゲーム性を出すとおもしろい」とコメントした。

「デジタルツインカーレーシング」チーム-AI搭載ラジコンカーと連動! 仙台市街デジタルツインレース

 都市をジオラマと見立てたコースを走るAI搭載のラジコンカーと連動し、仮想空間上でバーチャルな車が走る作品。デモではミニ四駆ベースのAIカーTatamiRacerを使用し、仙台市街の周回コース(仙台駅前通り→青葉通り→愛宕上杉通り→広瀬通り)を走行した。仮想空間としてはPLATEAUの仙台市街の3Dデータを使って構成している。

 今回はカメラを使ってラジコンカーをトラッキングするシステムまでは作りきれていない。ラジコンカーの走るジオラマコースと地図に4つのチェックポイントを設置し、同時にチェックポイントを通過することで同期させている形だ。将来的には仮想空間側を大画面に移したラジコンカーレースを開催するなど、地域の活性化につながるイベント開催なども考えているとのこと。

 簗瀬氏からは、「デジタル空間とリアルな空間がつながるというところがおもしろい。だからこそオーバルコースになっているのが残念」とのコメントがあった。街並みの広がりが活かせるような見せ方があればもっとよいだろう。

 Kula氏は、「ハードとソフトの双方が絡むプロジェクトで、ハッカソンで作るには非常にハードルが高い作品だが開発を続けて欲しい」とエールを送った。

チーム「街のキモチ」-Y SHE

 3D都市モデルで作られた空間内で、ビルなどの建物が街の情報を話したり、ユーザーからの問い掛けに答えたりしてくれるサービス。実現した機能としては、「通り過ぎるとビルが発話する」機能と「発言しているビルが動く」機能、そしてユーザーからの問いかけにアクションを返す「コール&レスポンス」機能だ。

 今後、インタラクティブなチャットボットやビル自体のAR装飾(看板やポップなど)を行うAR広告プラットフォームを目指すという。

 簗瀬氏からビルのキャラ付けがあるともっとおもしろいのではないかとの指摘があった。またKula氏からは、ARでビルのアクションを組み合わせるとよいのではないかとのコメントがあった。内山氏も「発想が突き抜けていて良い。これまでにない街紹介アプリ、ご当地PRアプリになるようなポテンシャルを感じる」と評価した。

「未満建築デザイン・ファーム」チーム-(仮)どいてよ、そのビル!by Plateau

 花火大会の鑑賞をサポートするアプリ。仙台七夕前夜祭である花火大会は都市の中心部で行われるため、場所によっては高い建物で花火は見えないことがある。それをAR技術を用いてビルを消し、リアルタイムの花火映像を投影して解決しようというもの。建物は繰り返しタップすると消えるが、築年数が古いものほど消しやすく、新築に近いと連打が必要、文化的価値のある建築物は消せないなど、消す難易度も段階的になっているのがおもしろい。

 内山氏からは「おもしろそうだが、実装が難しいのではないか」との指摘があった。また、Kula氏からは、「見えないことも含めて街全体で花火大会という体験を楽しめる展開にしてはどうか」とアドバイスした。

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