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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第696回

第4世代EPYCのGenoaとBergamoの違いはL3の容量 AMD CPUロードマップ

2022年12月05日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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 前回はSapphire Rapidsの現状をお届けしたが、その対抗馬であるGen 4 EPYCことGenoaの話に触れていなかったので、こちらをお届けしよう。ただその前に1つ、こぼれ話をお伝えしたい。

PCI-SIGがPWR12VHPWに関して注意を喚起

 連載662回で12VHPWRコネクターについて説明した。現時点でこれを積極的に採用しているのはNVIDIA一社で、GeForce RTX 3000世代ではまだOEMベンダーの中には従来式の8ピンコネクターを使う所も目立ったが、GeForce RTX 4000世代ではこの12VHPWRコネクターを使うケースが圧倒的に多くなっている。

 問題はそのハイエンドであるGeForce RTX 4090で、12VHPWRコネクターの融解現象が報告されていることだ。(レビューの記事の写真5枚目のキャプションでKTU氏も言及されている)この融解現象に関し、ついに米国では集団訴訟が提起されることになった。

12VHPWRコネクター。TGP 450W超のGeForce RTX 4090において融解現象が報告されている

 こうした現象を受けて、12VHPWRコネクターの規格を策定したPCI-SIGはメンバー企業に対して以下の注意喚起を行なった。要するにポジショントークである。

「以前、あるメーカーが12VHPWRコネクターの利用に関し、安全上の問題がある可能性をPCI-SIGに報告したことをお知らせしたが、これに加えて最新の訴訟についてもお知らせする。」

「この訴訟で原告は、12VHPWRケーブルおよびプラグが『溶融し、深刻な電気的および火災の危険をもたらす』と主張している。PCI-SIGは、12VHPWRコネクターを含むPCI-SIGで策定された技術をもとに製造、マーケティングまたは販売するすべてのメンバー企業に対し、上記訴訟で報告された問題事例のテストを含め、エンドユーザーの安全を確保するために適切かつ慎重なすべての手段を講じる必要性を強く訴えたい。」

「PCI-SIGの仕様は相互運用性のために必要な技術情報を提供するものであり、適切な設計や製造方法、材料、安全試験、安全公差などに対応するものではないことに留意されたい。PCI-SIGの仕様に基づき実装を行なう際、メンバー企業がその製品の設計、製造、および安全性試験を含む試験に責任を負うことになる。」

 ちなみにNVIDIAは11月18日に「コネクタをきちんと根本まで差し込むこと」を対策として公開している。

 個人的に言えばあの小さなコネクターで50Aを流せるという方が信じられなかったりする。その意味では、8ピンコネクター×3や×4などにしてくれた方がよほど安心できるのだが、それはともかくとして、この注意喚起の声明に関してPCI-SIGに「ECN(Engineering Change Notice)あるいは仕様変更を発行する可能性は?」と確認したところ、「現在ワークグループが現象について調査中である」という返事が返ってきた。

 PCI-SIGとしては、別に12VHPWRコネクターはNVIDIAのGPU専用のものではなく、今後登場するであろうアクセラレーターカードなどで広く利用されることを期待しているわけで、今後も類似の現象が発生するのは避けたい以上、ここで問題の洗い出しと対策を徹底したいのだろうということは容易に想像がつく。

 ちなみに挿したことがある方ならおわかりだろうが、12VHPWRコネクターはきちんと装着されたかどうか、一見してわかり難い。前述のNVIDIAの対策ページでも「われわれは、GPUカードの電源を入れる前に、確実にコネクターが挿入されていることを確認できる方法について現在調査中である」という文章が入っているほどだ。

 なお、上述の訴訟はまだ提起されたばかりで、今後どうなるかは不明であるし、PCI-SIGがなんらかのECNを発行するかも不明である。とはいえ、なにかしらの対策が取られる気はするのだが。

Genoaこと第4世代EPYCが発表

 11月10日、AMDは第4世代EPYCプロセッサーを発表した。これまでGenoaとして呼ばれてきた製品である。この発表会の模様はYouTubeでも視聴可能であるが、こちらをベースに解説しておきたい。

 まずは製品ラインナップについて。今回EPYCは従来の7000番台から9000番台に番号が切り替わった。この理由については性能のバランスを考えて、という話であったが個人的にはBergamoとの関係を考えてGenoaを9000番台に持ってきたのではないか?という気がしている。

第4世代EPYCのSKU。おそらくは今後さらにSKUが増えていくことになるとは思うが、とりあえず当初のSKUがこの18製品である

 このBergamoは後述するとして、まずは製品ラインナップであるが、16コアから96コアまで全部で18製品となっている。ちなみに価格はここには掲載されていないが、プレスリリースの方には記されており下は1083ドル(EPYC 9124)から上は1万1805ドル(EPYC 9654)とかなりバラついている。

 ちなみに型番の定義が下の画像だ。おそらくだが、来年Bergamoが出るときには2桁目(100の位)に、128コアまでを示す7が追加されるような気がする。

これまではこの番号がわりと適当だったのが、今回改めて定義されなおしたとのこと

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