このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第695回

遅延が問題視されるSapphire Rapidsは今どうなっている? インテル CPUロードマップ

2022年11月28日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

課金すると機能が有効になるIntel On Demandを開始
膨大なSKUを整理するのが目的

 さてSapphire Rapidsというか第4世代Xeon Scalableに関してもう1つ。この件に関してはプレスリリースがないままインテルは11月22日にIntel On Demandというプログラムを開始した。これはなにか? というと、「お金を支払うと機能が有効になるサービス」である。

第4世代Xeon Scalableに対してサービスが開始された「Intel On Demand」

 具体的に言えば、Sapphire Rapidsに搭載されているさまざまなアクセラレーター(Quick Assist Technology、Dynamic Load Balancer、Data Streaming Accelerator、In-Memory Analytics Accelerator、Software Guard Extensions、etc...)は、出荷時にはソフトウェア的に無効化されている。

 これらの機能はシステムインストール後に、プロバイダーに対してアップグレードリクエストを出すと、プロバイダーから(ライセンス料と引き換えに)ライセンスが送られてくる。これをインストールすることでそのアクセラレーターが以後有効になるというものだ。

Intel On Demand模式図。ユーザー(COMPANY)は、PROVIDERにリクエストしてライセンスを取得し、これを自身のデータセンター(のXeon Scalable)にインストールする

 ちなみにプロバイダはほぼサーバーベンダーであり、現時点ではH2C/HPE/Inspur/Lenovo/phoenixNAP/Supermicro/Variscaleとインテル自身の名前が挙がっている。ここにDellの名前がないのは不思議だし、またライセンスにはActivation ModelとConsumption Modelの2つがあるあたりもよくわからない。

 具体的な説明がないのではっきりしないが、おそらくActivation Modelは一度ライセンスを購入すると以後はその機能をずっと使えるという形態、Consumption Modelはその機能の利用時間に応じて課金される形態だろう。

 ただ例えばActivation Model、将来Sapphire Rapidsベースのシステムを廃棄し、それが中古品市場に流れたとして、中古で買ったユーザーはその機能が使えるのか? という疑問がある(さらにBIOS更新やOS入れ替えなどで無効になったりするのかも不明である)。Consumption Modelだと具体的にどういう形でそれを課金するのかのシステムもまだわからない。

 この手の話だと、大昔のIBM(System/360の時代)のビジネスを思い出す。例えばシングルプロセッサーのシステムを納入する場合でも、ハードウェア的にはマルチプロセッサーのものを最初からインストールして、ただし1プロセッサーのみ有効としておく。後でマルチプロセッサーへのアップグレードが顧客から寄せられたら、プロセッサーを有効化することで対応するというもので、当時わりと評判が悪かった(ハードウェアインストールしてるなら使わせろよ、という話だったと思う)記憶がある。

 もっともIBMの例で言うなら、シングルプロセッサーの場合の価格が十分低いのであれば別段非難されるいわれはない話だし、使わない機能のために高価格になるよりも合理的という考え方は真っ当だとは思う。

 あとインテル側の事情で言えば、これによってSKUを減らすことが可能である。これに関しての良い例が今年2月に発表になった通信機器向けのXeon D-1700/2700であるが、発表時には36、現在は40ものSKUが存在する

 なんでこんなことに? というと、コア数や動作周波数のみならず、アクセラレーターの有無や機能の違いで細かくSKUを分けた結果である。Xeon Dを購入して機器を構築するユーザーにとっては、無駄なアクセラレーターを搭載されて価格が上がるより、それを省いてコストを下げたいという強いニーズがあるわけで、それに応えた結果がこれである。

 しかしオンデマンド方式にすれば、コア数や動作周波数別にベースとなる製品を用意し、あとはアクセラレーターの分だけ追加コストを支払えば有効化できるという形で、SKUそのものを大幅に減らすことが可能になる。SKUが増えるとそれだけ管理も大変なわけで、インテルとしてはIntel On Demandでこうした手間を少しでも減らしたかったのだろう。

 個人的にはIntel On Demandそのものには別に思うところはないが、それよりもいつSapphire Rapidsの発売が開始されるか、そちらが気になる部分だ。これに関して現状は一切アナウンスがない。

 Xeon MAXが2023年1月にリリース(これも、この時点で量産製品が出荷されるという意味か、単に受注可能になるという意味かもはっきりしない。なんとなく後者の可能性が高い気がする)ということや、今年はもう間もなく12月という時期を考えると、第4世代Xeon Scalableの出荷はやっぱり2023年にずれるのは必至な気がする。

 ということはやはり対抗馬はMilan/Milan-Xではなく、Genoa/Genoa-Xになるわけだ。なかなか大変そうである。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

最新記事

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン