ゲーム、まちおこし、教育に活用が広がる3D都市モデル。第3回PLATEAUライトニングトーク開催
「3D都市モデル PLATEAU LT 03」レポート
PLATEAUをより使いやすくするテクニック
青山学院大学の古橋大地氏は、「PLATEAUデータをより使いやすくするためのスケールアップの方法」と題し、PLATEAUからOpenStreetMapへインポートする活動に取り組んでいる。
PLATEAUの3D都市モデルは、データのダウンロードや手持ちのツールで使うための変換作業に手間がかかる。CityGMLデータをOpenStreetMapへ変換すれば、OpenStreetMapデータを利用しているさまざまな地図APIからPLATEAUの建物情報にアクセスできるようになる。具体的にはポケモンGOなどの位置情報ゲームを支えているNianticのLightshipやFacebook Mapといったサービスで使えるようになると期待する。
現在、古橋氏のチームではLOD1のインポート作業を進めており、CityGMLからOpenStreetMapへインポートする方法を説明したマニュアルを近日公開予定とのこと。また引き続き、全国の都市のOpenStreetMapの変換作業を実施していく計画なので、興味のある方はぜひ作業に参加してほしいそうだ。
PLATEAU LT 01に続いての登壇となったれごん氏は、趣味でメタバース空間を作っており、特徴的な建築物にPLATEAUのモデルを活用している。前回はPLATEAUのデータをOBJ形式に変換する手順を紹介。
今回は、PLATEAUの3D都市モデルをデータベース化して扱う方法を発表した。
PLATEAUのほかにOpenStreetMapなど複数の地図を組み合わせる際に、重複している幾何形状を検索する必要がある。これまではCityGMLのデータから必要な要素を直接抽出し、SQLで処理していたが、直接CityGMLをデータベース化する方法を考案。PostGISベースの3DCityDBを用いることで、PLATEAUのデータを直接データベースにインポートできるようにした。これにより、座標や面積などを検索・解析できるようになった。今は個別の3D都市モデルを様々な形式で出力する方法を模索しているとのこと。
株式会社デナリパムは、PLATEAUをWebARで簡単に表示する方法を紹介した。3D都市モデルをダウンロードし、必要な建物情報を選択してGLB形式(Android)またはUSDZ形式(iOS)に変換。「model-viewer」を使用するとブラウザーで簡単にAR表示ができる。スマホで簡単に都市モデルが動かせるので、観光事業などに活用できそうだ。
初めてのハンズオンやハッカソンの参加でここまでできる!
阿部(べちお)氏は、PLATEAU Hack Challenge 2022で人生初のハッカソンに挑戦。UnityとPLATEAUに初めて出会い、簡易的な経路表示システムを開発した。UnityのNaviMesh機能で段差や傾斜の大きさによって通れる場所を設定すると、目的地までの最短経路が描画できる。これにPLATEAUを組み合わせることで、実際の街の簡易ナビゲーションが簡単に作れるという。
東 陽輝氏は、PLATEAUのハンズオン参加の経験から、VR空間をベースにバーチャル豊洲を制作している。これまでの成果として、データの変換、Simplygonを用いた軽量化、Blenderでの地面編集、Clusterへのアップロードの手順を紹介してくれた。東氏は「PLATEAUデータの都市デザインでの実用化に関する研究」を大学の研究テーマにしており、これから現実空間と仮想空間との街歩きを比較できるように仕上げていくそうだ。
島津 尚弥氏は、「PLATEAU Hack Challenge 2022 in ヒーローズリーグ」で制作した街中で花火が見られる場所を予測するアプリ「マチハナビ」を紹介。島津氏はPLATEAUデータの建物の高さや地形から花火が見られる場所を判定し、Unityで可視化する部分の開発を担当。「ハッカソン初参加でPLATEAUに触るのも初めてだったが2日間で形にできた。チームのみんなで取り組むのは楽しく、とてもいい経験だった」と語った。
長田 達彦氏は、福岡で開催された「PLATEAU Hack Challenge 2022 in Engineer Cafe(福岡)」で制作した「SFロボットを用いたまちおこし」の企画を紹介。商業施設や観光地の現地とリンクしたARスタンプラリーやアニメグッズの配布・販売イベントを開催することで街の活性化や観光客の誘致に利用できそうだ。
以上でそれぞれのプレゼンを振り返ってみた。プレゼン資料は、Connpassの本イベント募集ページのフィードから確認もできる。
ハンズオンやハッカソンの参加者は、PLATEAUやUnityを使ったことのない初心者も少なくないがチームメンバーやメンターのサポートで簡単に使いこなせるようだ。
また国土交通省では、3D都市モデルを活用したサービスやアプリ・コンテンツの作品コンテスト「PLATEAU AWARD 2022」の応募を11月30日まで受け付けている(詳しくはPLATEAU AWARD特設サイトを参照)。ハッカソンで作成した作品や、未完成のプロトタイプでもOK。アイデアが良ければ入賞の可能性もあるので、ぜひ応募しよう。