今年度は“申請の狙い目”! 補助金で「Dropbox Business」や「Dropbox Sign」の導入を進めよう
「IT導入補助金」制度の使い方を行政書士にわかりやすく聞いた
提供: SB C&Sコンソーシアム、Dropbox
「Dropbox/Dropbox Business」や電子署名サービス「Dropbox Sign」(HelloSignより名称変更)は、経済産業省 中小企業庁「IT導入補助金2022」(以下、IT導入補助金と略)の補助対象となるITツールとして登録されている。つまり、中小企業や小規模事業者がこれらを導入した際には、導入費用の一部に対して補助金を申請することができるわけだ。
せっかくの補助金制度ならば使わない手はない。しかし、申請の手続きは何やら複雑そうで、どこから手をつければよいのかわかりづらい。そこで、これまで中小企業・小規模事業者の補助金申請を数多く支援してきたサポート行政書士法人の井浪竜馬氏に、“IT導入補助金の使い方”と“ポイント”をわかりやすく解説してもらった。
まずはIT導入補助金制度のポイントを知る
IT導入補助金の申請に必要な情報は、同事務局の運営するポータルサイト(https://www.it-hojo.jp/)に掲載されている。ただし説明が詳細にわたりわかりづらい部分もあるので、ここでは理解しておくべき基本事項と、注意が必要なポイントをまとめたい。
○制度の目的、補助金額、申請期間
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者 ※注 (個人事業主も含む)が業務効率化や売上アップなどを目的として行うITツールの導入に対し、国から補助金を交付する制度だ。導入するITツールの種類や数、全体の導入額などにより異なるが、5万円から最大450万円の補助金額となる。事業計画書を作成して申請し、採択されれば補助金を受け取れる仕組みである。
※注:「中小企業・小規模事業者」の定義は、中小企業庁のサイトを参照いただきたい。
申請受付は毎月1回~2回の締め切りがある。今年度(2022年度)の最終受付は、通常枠(A類型/B類型)が2022年12月22日(木曜日)17時まで、デジタル化基盤導入類型が2023年1月19日(木曜日)17時までだ。年度事業と言っても来年3月まで申請できるわけではない点に注意してほしい。
○補助対象となるITツール、導入目的
導入補助の対象となるITツール(ソフトウェアやクラウドサービス)は、国から認定を受けたIT導入支援事業者(ITベンダー:IT販売代理店、SIerなど)があらかじめ登録したものに限られる。あらゆるITツールが導入補助の対象というわけではない。
井浪氏は、IT導入補助金では大きく2つ、「労働生産性向上(業務効率化や売上アップ)」か「インボイス制度を見据えたデジタル化推進」のいずれかの目的に沿ったITツールを補助対象にしていると説明する。
「労働生産性向上が目的のITツール導入は『通常枠(A類型/B類型)』、インボイス制度対応が目的の導入は『デジタル化基盤導入類型』として補助金を申請できます。ちなみにデジタル化基盤導入類型は、今年度から追加されました」
なお通常枠のA類型かB類型かは、導入するITツールの数(正確にはプロセスの数、後述)によって決まる。デジタル化基盤導入類型のほうも、2ツール(2機能)以上の導入であればより大きな補助額枠が適用できる。
○補助金額の補助率、上限額/下限額
上図に示したとおり、補助金には類型ごとに「補助率」や「上限額/下限額」が設定されている。補助率は、かかった導入費用に対して(最大で)どれだけの補助が受けられるかを示す。補助金の上限額/下限額はその名のとおりだが、「下限額」に満たない導入案件は補助対象にならない点には注意が必要だ。
「たとえばA類型の場合、最大で導入費用の半分(1/2)が補助されますが、補助金の下限額は30万円となっています。つまり導入費用が60万円以上でなければ、下限額を満たさないので申請できません」
○ITツールの分類(プロセス、機能)
通常枠(A類型/B類型)で申請できるITツールは、そのツールが適用される業務プロセスに応じて分類され、それぞれ番号が割り当てられている(IT導入支援事業者が登録時に選択)。たとえばDropbox/Dropbox Businessは「汎P-07」、Dropbox Signは「共P-05」というプロセス分類で登録されている。
「ただし、汎用プロセス(汎P-07)のITツールは単体で申請することはできず、必ず業務プロセス(共P-01~06)のITツールと組み合わせる必要があります。したがってDropbox単体では申請できませんが、たとえばDropboxとDropbox Signをセットで導入して電子署名ワークフローを構築する、といったかたちならば申請可能です」
また前述のとおり、導入するITツールが4プロセス以上にわたるのであれば、補助金額の大きいB類型で申請することができる。
一方でデジタル化基盤導入類型の場合は、各ITツールが「会計」「受発注」「決済」「EC(電子商取引)」のどの機能を備えているかがあらかじめ登録されている(1つのツールが複数の機能を備えていることもある)。複数機能を導入する場合の補助額はやや複雑な計算となるので、ポータルサイトの簡易シミュレーターを活用するのがよいだろう。
補助金交付申請までの流れ
IT導入補助金の申請から補助金交付、それ以後の事業実施まで、全体の流れは下図のようになっている(最下段が中小企業・小規模事業者のフロー)。
○まずはIT導入支援事業者(ITベンダー)に相談を
このうち、申請する企業側にとって重要なのが「交付申請」のステップだ。申請時には事業計画書を提出し、それに基づいて補助金交付の可否(採択するかどうか)が判断される。初めての申請となると、事業計画書に何を書くべきなのか悩んでしまうだろう。
ただしIT導入補助金の申請は、申請企業単独ではなくIT導入支援事業者と共同で申請内容を作成して、申請を行うかたちとなっている。「したがって、まずはIT導入支援事業者と相談するところから始めてください」と井浪氏は語る。
「まずはIT導入支援事業者にご相談いただいて、制度についてしっかり理解するとともに、採択された場合の補助額や自己負担額はいくらなのかを見積もる、採択後に必要な手続きを把握する――。先にそうしたことを行ったうえで、問題がなければ交付申請に進むのがよいでしょう」
なおIT導入補助金のポータルサイトには「IT導入支援事業者・ITツール検索」というページが用意されている。「Dropbox」「Dropbox Sign」といったITツール名で検索すると、そのツールを登録した(取り扱っている)事業者名や問い合わせ先などが表示されるので、そこに相談すればよい。
○採択されやすい交付申請のポイントは?
井浪氏は、交付申請を行う際の重要な注意点として「『採択後、交付決定の連絡が届いてから』ITベンダーとの契約・発注を行うこと」を挙げた。交付決定前に契約・発注や納品、支払を行った事業は補助金の対象にならないので注意してほしい。
さて、採択されやすい申請の“コツ”のようなものはあるのだろうか。これまで数多くの申請をサポートしてきた井浪氏は、「審査は『加点方式』で行われます。点数を積み上げて、上位の事業者から順に採択する仕組みです」と説明したうえで、採択の可能性を高めるいくつかのポイントを挙げた。
まずは申請時の事業計画書で示す内容が、IT導入補助金制度の趣旨と目的に沿ったものであることが大切だ。たとえば通常枠(A類型/B類型)の場合は、前述のとおり「労働生産性向上(業務効率化や売上アップ)」を目的としたIT導入が対象である。したがって、審査時には「自社の経営改善に向けた具体的な問題意識があるか」「改善すべき業務プロセスと導入するITツールがマッチしているか」「目標とする労働生産性(KPI)の設定率が適切か」といったことがチェックされる。こうした内容を、できるだけ具体的に盛り込まなければならない。
「補助金申請で一番難しいのは、この事業計画書の作成です。審査員は、企業が自社の強みや弱みを認識し、自己分析した上でどのようなITツールを導入するのか、そのITツールを導入することでどのようにプロセス改善と効率化に寄与するのかが知りたいわけです。事業計画書には選択回答項目だけでなくフリー記入欄もありますので、積極的に活用してアピールするとよいでしょう。また、審査員も個別の分野においては詳しくない可能性がありますから、誰が見てもわかりやすく、要点を押さえた内容を記載することが大切です。文章を書くのは苦手だが採択率を上げたいと言う方は、専門家に依頼するのもひとつの手段です。弊社はITベンダーと連携して企業を紹介いただき、事業計画書の作成を支援しています。相談料は無料なのでお気軽にご相談ください」
また、国の掲げる方針に沿った事業計画は加点対象になる。たとえば今年度(2022年度)の場合、2023年4月~2026年3月の期間で「従業員の給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる」、「事業場内最低賃金を地域別最低賃金比で30円以上増加させる」の2つの賃上げ目標を設定して従業員に表明することで、審査において加点となる。
同じように、国の“クラウドファースト”方針に沿って、導入するITツールとしてクラウドサービスを選択するのも加点対象になるという。井浪氏は「今年度の申請採択結果を分析すると、賃上げ表明を行っていない、あるいはクラウド製品ではないものについては採択が厳しい状況にあります」と語る。そのほか、インボイス対応製品の導入も加点対象だと説明した。
○申請時に必要なものは早めの準備を
申請時には上述の申請内容(事業計画書)以外にも必要なものがある。特に、取得に時間がかかるものには注意が必要だ。
「申請ポータルサイトへのログインには『gBizIDプライム』という事業者IDが必要です。IDを発行してもらうにはGビズID Webサイトの「gBizIDプライム申請書作成」ページで申請書を作成したうえで、印鑑証明書と登録印鑑を押した申請書を運用センターに郵送する必要があり、ID発行までにはおおむね2週間程度かかります。ほかにも法人の履歴事項全部証明書、直近の納税証明書などが必要 ※注 ですので、申請に必要なものを把握して、早めに準備することをおすすめしています」
※注:上記は法人の場合。個人事業主の場合は「運転免許証または運転経歴証明書または住民票」「直近の所得税の納税証明書(その1またはその2)」「直近の確定申告書Bの控え」が必要。
補助金交付採択以後の流れ
○補助金を受けた後には2つの報告義務がある
申請が採択されたかどうかの結果は、申請の締め切り後およそ1カ月で発表され、申請者のアドレスに通知が届くほか、Webサイトでも公開される。無事に採択され補助金交付が決定したら、IT導入支援事業者との契約・発注を行う。そして、その後のプロセスとして「実績報告」と「効果報告」がある。
実績報告は、ITツールの納品や支払が完了したことをIT導入補助金事務局に報告するものだ。申請したとおりにITツールを導入していれば、特に問題になることはない。実績報告の検査を経て、実際に補助金が交付されることになる。
もうひとつの効果報告は、補助金を受けてITツールの導入を行った結果としてどのような効果が得られたかを同事務局に報告するものとなる。通常枠(A類型/B類型)の場合は、翌々年度(2024年度)から3年間にわたって効果を報告する(計3回)。デジタル化基盤導入類型の場合は、ITツール導入後から2023年10月末までの効果を報告すればよい(計1回)。
なお効果報告を怠った場合は、補助金の返還(全額または一部)が求められる。また申請時に賃上げ加点を行った場合は、実際の賃上げ状況についての報告も求められる(3年間の事業計画期間後に、賃上げの実施状況等について報告が必要)。
* * *
井浪氏は、国の予算などの関係から「今年度の申請採択率は直近3年間で一番高くなっている」と述べた。言葉を選ばずに言えば“今年度は申請の狙い目”である。ITツール導入を検討している企業は、ぜひこのチャンスを有効活用していただきたい。
「コロナ禍以後、補助金についてのご相談件数は圧倒的に増えました。それでもまだまだ『自社がどの補助金を使えるのかわからない』『IT導入補助金って何ですか』といった声も多いです。国としては、もっと多くの企業に補助金を申請してもらって、ITツールの導入を進めてほしいと考えています。ぜひ積極的に活用していきたいですね」
(提供:SB C&Sコンソーシアム、Dropbox)
【お問い合わせ先】
SB C&SコンソーシアムSB C&S株式会社 IT導入補助金活用支援窓口
メールアドレス: SBCASGRP-hojokin-support@g.softbank.co.jp
この記事の編集者は以下の記事もオススメしています
-
sponsored
Dropbox Businessを使った共同作業への「招待」を完全理解する -
sponsored
Dropbox Businessの「チームフォルダ」と「共有フォルダ」はどう違う? -
デジタル
Dropbox、2023年の戦略と新製品「Capture」「DocSend」を紹介 -
デジタル
DropboxとCELF活用でExcelデータを自動集計するサービス、SCSK -
sponsored
無料でも使える電子署名「Dropbox Sign」の使い方 -
デジタル
機械・部品メーカーのイハラ製作所がDropbox Businessを導入。重要データの消失・欠損リスクを大幅低減 -
sponsored
動画マニュアルやプレゼン動画の作成が簡単! 「Dropbox Capture」の使い方
過去記事アーカイブ
- 2013年
- 11月