地域課題解決と起業家たちの考えるエコシステムの形
堺市「中百舌鳥イノベーションシンポジウム」レポート 後編
堺市が描くエコシステムの全体像
登壇者によるパネルディスカッションの後、モデレータを務めたりそな総合研究所の藤原氏がパネルディスカッションを総括した。
「登壇者に共通しているのは、目の前にある自分が関わる社会課題にデジタル技術を適用して課題解決を目指しているところだ。課題にはユーザー目線で、かつ自分のスタイルを持って取り組んでいるところに強みがあり、成功の要因があったのではないかと思う。
エコシステムについてお話しいただいたが、皆さんおっしゃっていたのがM&Aを含めた連携や協力。そのためには出会いや深いつながりが不可欠だし、自分の価値を高めていくことも大事になる。
今後は地方都市でエコシステムを回していく必要があるが、社会課題の解決を目指すなら自治体や非営利団体との連携は重要な意味を持つ。それでブランド感を獲得できれば成長も加速できる。
パートナーとの連携にはESGなどの指標が有効だが、経済的な価値はわかりやすいが社会的な価値はわかりにくい。それらをどうやって示していくかも今後の課題になる」(藤原氏)
「今日のディスカッションをまとめると、皆さんそれぞれが持っているスタイルや強みを持っており、それらにデジタルを活用して身近な社会課題の解決に結びつけている。
その際、シェアリングや協働を引き起こしていくためには支援機関や自治体などによる協働先の実態把握や、(海外も含めて)どんな協働先があるか、そういったことがすぐわかるような支援が必要ではないか。
エコシステムを回すには『共感』によるネットワーク形成が必要であり、自治体や支援機関には信用補完を含む環境整備の役割が重要となる。
ユーザーの価値観もどんどん変化していくので、それらを踏まえてユーザー視点の選択肢を提示していかなくてはならない。そうして循環を引き起こしていけば、中百舌鳥イノベーションにつながるエコシステムが形成できると考えている。
今日のシンポジウムに参加している皆さんも、身近な社会課題を解決するという視点で、このエコシステムに参加してほしい」(藤原氏)
永藤市長の挨拶からパネルディスカッションまで、情報満載のシンポジウムを通じて、堺市が目指すエコシステムの全体像が浮かび上がってきた。実際にそれが循環を始めるまでには、まだまだ多くの支援策と政策が必要になると思うが、全国的に見ても堺市はスタートアップのサポートに極めて積極的ということができる。
これから起業しようと考えている方、投資先を探している投資家の方は、一度NAKAMOZUイノベーションコア創出コンソーシアムにコンタクトを取ってほしい。きっと新しい手掛かりが見つかると思う。