課題は目玉タイトルが用意できるか
そんなPlayStation VR2ですが、既に課題も見えはじめています。最大の課題は発売までにタイトルが用意できるのかということです。
今のところ目玉タイトルとして出ているのは、ソニー傘下のゲリラゲームズが開発する「Horizon Zero Dawn」シリーズ続編「Horizon Call of the Mountain」のみ。「バイオハザード ヴィレッジ」の対応も明らかになっていますが、初代PlayStation VRのときと同じように既存のタイトルをVR上で動くようにしたものにすぎません。
初代PlayStation VRからタイトルをそのまま移植することもできません。PlayStation VR2は、PlayStatin VRとの互換性がないとされているためです。新たにインサイドアウト方式のトラッキングなどが使われてくるので、初代とは要求されるものが変わり、内部の仕様を分ける必要があるんですね。
VR最大の市場はMeta Quest 2ですが、仕様が異なるQuest 2向けのタイトルをそのまま移植するわけにもいきません。人気タイトル「Beat Saber」のPlayStation 2版が出るのかも謎です。Beat Saverのツイッター公式アカウントはPlayStation VR2リリースの知らせに「Exciting!」と返していますが、よくわかりません(笑)。
PlayStation VR2のライバルになってくるのはどちらかというとPCVRですが、PCVR向けには有力タイトルが出ておらず、ランキング上位は「Half-Life Alex」「VRChat」「Rec Room」「Blade and Sorcery」など、以前から同じタイトルが並んでいる状態。今年に入って有力な新作は出てきていません。
PCVRは求められるグラフィックス品質が上がってしまうので、ゲームを開発するほうも大変なんですよね。世界的にコロナが落ち着いてきた影響もあり、巣ごもり需要が一段落したのか、市場の成長が緩やかになっている傾向も見られます。新作タイトルの開発に積極的に取り組むのが難しい市況でもあります。
ここ数年で有力なハードも出ておらず、いまもっとも人気があるValve Indexも既に発売されて5年が経っています。後継機を開発しているという噂も出ていますが、開発販売元のValveも最近ではPCVRよりもSteamを動かせるモバイルゲーム機「Steam Deck」に注力しているように見えます。今回の東京ゲームショウでもSteam Deckには大きなブースが出て一般日では長い行列ができていました。

この連載の記事
- 第17回 「AIトレパク」が問題に
- 第16回 ゲームそのもののあり方を変えてしまった「Steam Deck」
- 第15回 来場者100万人 世界最大級のメタバース即売会「バーチャルマーケット」
- 第14回 ソニー「mocopi」が革新的だった理由
- 第13回 画像生成AIの激変は序の口に過ぎない
- 第12回 追いつめられたザッカーバーグ 年末商戦に生き残りかかる
- 第11回 メタ「Quest Pro」一般人にはおすすめできないが、可能性は感じる
- 第11回 メタバース的な未来を感じる「Wooorld」が面白い
- 第10回 ザッカーバーグの焦りを感じる「アバター問題」ふたたび
- 第9回 メタ「Quest Pro」仕事に使えるかは疑問だが、とりあえず予約した
- 第8回 今年最大のヒット作? VRゲーム「BONELAB」
- この連載の一覧へ