連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第43回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 2022年7月30日~8月5日
電子署名/契約の利用率は1年で約2倍、「パワハラ防止法」の効力に悲観的な理由、ほか
2022年08月08日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2022年7月30日~8月5日)は、パワハラ/ハラスメントに関する意識調査、国内ITサービスベンダーランキング、電子署名/電子契約の利用率急伸、リモートワーク中の「学び」についてのデータを紹介します。
■[文化]「パワハラ防止法」の効力に多くが悲観的、なくならない理由は「加害者の無自覚」(ビッグローブ、8月1日)
・パワハラ防止法により日本のパワハラは「減る」は41.4%
・パワハラが減らない理由は「加害者の無自覚」が53%で最多
・「一気飲みを勧める」「ミスを皆の前で叱責」などはハラスメントと思う人が6割超
18歳~59歳までの有職者男女546人を対象にハラスメントについて聞いた調査。4月に「パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)」の施行対象が中小企業にも拡大されたが、同法により「パワハラが減ると思う」人は41.4%で、「思わない」58.6%が上回った。パワハラが減らない理由は「加害者がパワハラと自覚しないから」(53.1%)が最多、また36.6%が「被害者が言い出しづらい」を挙げた。ハラスメントだと思う行為を選んでもらったところ、「性的な噂話を広げる発言」「異性に対する差別的な言葉」「外見や身体的特徴への発言」などが多く選ばれた。
■[ITサービス]2021年ITサービスベンダートップは富士通、上位5社は2020年と変わらず(IDC Japan、8月1日)
・2021年国内ITサービス市場規模は前年比3.2%増、5兆8712億円
・ベンダー上位3社(売上高別)は富士通、NTTデータ、日立製作所
・10社中9社がマネージドサービスでプラス成長、包括的ITインフラアウトソーシングなどの需要が後押し
2021年国内ITサービス市場のベンダー売上ランキング。同市場は2021年、前年比3.2%増の5.8兆円。ベンダートップ5(富士通、NTTデータ、日立製作所、NEC、IBMの順)の順位は2020年と変わらず。IBMはキンドリルへの分社により売上とシェアが低下したものの、5位を堅守した。売上高の前年比成長率が最も高いのは7年連続でアクセンチュアとなった。サービスセグメント別では、プロジェクトベース市場とサポートサービス市場はトップ10社中8社がプラス成長、マネージドサービス市場は10社中9社がプラス成長だったという。
■[キャリア]リモートワークにより「学びに使える時間が増加」が半数(リクルートマネジメントソリューションズ、8月5日)
・「仕事に関する学びに使える時間が増加」が約半数、「対人ネットワークは減少」も約半数
・経験が多い学習機会は上司との1:1ミーティング、社員対象研修など
・リモートで増加した学習機会は「副業、ボランティアなど社外活動」
コロナ前から現在まで同じ会社に勤務し、テレワーク頻度が週/月半分以上に増えた社員832人を対象に仕事関連の学びについて調査し、「リモート下の会社員の学びに関する実態調査」としてまとめた。調査期間は1月中旬から2月上旬。仕事に関する学びに使える時間は48.5%が増加したが、社内/社外の対人ネットワークについては45%以上が減少したと回答した。学習機会は、「上司との1:1ミーティング」「社員対象研修」などが多いが、増加したという回答が多かったのは「副業、ボランティアなどの社外活動」で70%が増えたと回答している。テレワーク中心への変化は、仕事関連の学びにはプラスの影響が大きいとまとめている。
■[働き方][DX]電子契約/電子署名の利用率は71%、昨年から倍増(ドキュサイン・ジャパン、8月2日)
・電子契約/電子署名サービスの利用率は71%、2021年の37%からほぼ倍増
・導入率が最も高いのは金融・保険業
・導入/導入意向の理由は「事務処理効率化」が43%、「テレワーク対応」は38%
日本市場の電子契約/電子署名サービスの現状とニーズについて「電子署名レポート2022」としてまとめた。電子契約/電子署名サービスの利用率は2021年の37%から34ポイント増加して71%となった。利用意向についても88%が利用したいと回答している。企業・組織での導入率は18%から29%に、導入予定・検討中を入れると5割を超えた。導入率が最も高い業界は金融・保険業、続いてインフラサービス業、製造業と続いている。導入/導入意向の理由については、43%が「事務処理効率化」を挙げた。
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