ハイエンドCPUの性能を限界まで絞り出すためのCPUクーラー!
暑い夏、高温のPCを冷やすCPUクーラーを選ぶなら水冷がよいのか空冷がよいのかを検証
今回は夏企画の第二弾。シンプルにCPUクーラーを選ぶなら水冷がよいのか空冷がよいのかを検証してみたい。
【夏企画の第一弾:夏に自作したい、MSIで作る涼しげなホワイトゲーミングPC! 各パーツも高性能にこだわったホワイトで統一】
一方、ここ数年でPCパーツの発熱量も絶賛上昇中だ。上昇中なのは主にハイエンドクラスのCPU&GPU。とくにハイエンドCPUにはCPUクーラーが付属しなくなったため、ユーザー自ら最適なCPUクーラーを選ぶ必要がある。インテル、AMDからリリースされている、ここ数年の「9」グレード(末尾「K」や「X」)CPUは、およそ100W前後のTDP/PBPが設定されているが、肝心なのはそれらのCPUがブースト駆動している際の発熱量だ。ブースト時の最大クロック、その持続時間はCPU温度(と電力)の余裕で決まる。冷えるCPUクーラーほどブーストが持続し高い性能が得られる。
こうした理由もあり、ハイエンドCPUの冷却は、インテル、AMDとも簡易水冷CPUクーラー(以上)を推奨している。もちろん空冷CPUクーラーを選択される方も多いと思われるが、実際のところ性能面で簡易水冷CPUクーラーと空冷CPUクーラーでどれだけ違いがあるのだろうか。まずは知っておくことがCPUクーラー選びで重要だろう。
MSIの簡易水冷フラグシップ「MEG CORELIQUID S360」
今回は簡易水冷CPUクーラーと空冷CPUクーラーのハイエンド対決を行なう。MSIからお借りしたのは同社の簡易水冷CPUクーラーでフラグシップとなる「MEG CORELIQUID S360」(実売価格:3万6000円前後)だ。
同社のマザーボードと同様、製品名アタマの「MEG」は最上位グレードを示している。「MEG CORELIQUID S360」は「MEG CORELIQUID」シリーズの36cmラジエータ搭載モデルである。特徴的なのがヘッド部に搭載された2.4インチディスプレー。好みのイメージ(静止画/アニメーション)を表示させたり、ハードウェアモニターとして利用したり、システムクロックを表示させたりと活用できる。意外にもイルミネーション的な機能はこの部分のみで、ファンはLED非搭載。同社で言えばUNIFYマザーボードのようにブラックを打ち出した硬派なデザインだ。
ファンは同社12cm角ケースファンの「MEG SILENT GALE P12」。冷却性能に優れつつ静音性も高い。搭載ファンはもう1基ある。ヘッド部のディスプレー裏に6cm径ファンが搭載されており、これがCPUソケット周辺パーツの冷却を行なっている。一般的な簡易水冷CPUクーラーはCPUソケット直上のファンがなく、マザーボード上の発熱箇所であるVRMが効果的に冷却できないところが弱点といえる。「MEG CORELIQUID S360」の6cm径ファンはこの弱点を解消してくれる。小径なので風量は限られると思われるが、ないよりはあったほうがよいだろう。
比較対象の空冷CPUクーラーについても、某ハイエンドモデルを用意した。冷えると評判のデュアル12cm角ファンモデルだ。空冷CPUクーラーは、ヒートシンクの大きさやファンの風量などが性能の目安となる。そのほかにヒートパイプとヘッド面、ヒートパイプとヒートシンクのロウ付けなど加工精度も冷却性能を左右し、とくに後者が価格帯やメーカー間で差のつくところだ。
実際にPCケースに組み込んで検証
今回はできるだけ実運用に近い計測を行なってみよう。まな板上のバラックではなくPCケースに組み込んだ。こちらの検証環境についても紹介しておこう。
検証環境 | |
---|---|
CPU | インテルCore i9-12900K(16コア/24スレッド ※PBP:125W、MBP:241W) |
メモリ | Corsair DOMINATOR PLATINUM RGB(CMT32GX5M2B5200C38) |
マザーボード | MSI MPG Z690 FORCE WIFI |
ビデオカード | MSI GeForce RTX 3070 Ti VENTUS 3X 8G OC |
ストレージ | Seagate FireCuda 530(ZP1000GM3A013)1TB |
ケース | MSI MPG QUIETUDE 100S |
電源 | Deepcool PQ1000M(80PLUS Gold、1000W) |
OS | Windows 11 Pro |
まず肝心なのがCPU。せっかくなのでCPUクーラーに負荷がかかる、発熱量の大きなモデルを用意した。インテルCore i9-12900Kだ。PBPが125W、MBPが241Wと、LGA1700 CPUの中でも消費電力が大きく発熱も大きい。また(高性能CPUクーラーとの組み合わせが必須だが)マザーボードのUEFI設定からPL1&PL2を無制限に設定することもできることは知られている。
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